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「テルマエ・オトノキザカ」 ~ 8人の平たい顔族と1人のゲルマン 【後編】

2017/08/17 23:59 | CM(0) | ラブライブ! SS

258 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/19(土) 23:38:09.12 ID:Qa24WCkIO
さつき 「ありがとう、花陽ちゃん、凛ちゃん。お買い物付き合ってくれて」

花陽 「荷物持ち位しか出来ませんがそれでもお役に立ちたいんです」

凛 「真姫ちゃん誘ったら『そういうのは奴隷にさせればいいじゃない』だもん」

花陽 (今のモノマネ似てない)

凛 「まあ、真姫ちゃん作曲が大変そうだから仕方ないけど」

花陽 「この時代にある楽器を使うって前提だからこれまでと勝手が違うって言ってた」

さつき (色々考えているのね、この子達しっかりしてるわ)

さつき (私もしっかりしないと。この子達を守る為に)

行商人 「お嬢さん方、お安くしとくよ」




261 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 18:12:41.24 ID:SMNrh744O
希 「えりち、ちょっといい?」

絵里 「ええ、いいわよ」

希 「あのな、最近ルシウスさんとさつきさんの様子がおかしいと思わへん」

絵里 「特には思わないわ」

希 「ウチらの扱いに悩んどる気がするんよ。それは当然なんやけど、赤の他人といきなり同居することへの戸惑いやウチらを巻き込んだことへの後ろめたさは最初からあったと思う。ただ……最近は悩みの種類が違う気がするんよ」

希 「カード無いからこういう時困るわ」

絵里 「考え過ぎよ、といいたいけど希が気にするのなら何かあるのかもね」

希 「思いあたることは考えたらキリがないし」

絵里 「例えば?」

希 「失礼な話、ウチらのせいで家計が火の車とか」

絵里 「それはあるかもね。3階立ての自宅だから結構裕福なんでしょうけど、人数が一度に9人も増えれば真姫みたいな家庭でもない限りそうなるでしょうし。……後はご近所からも色々噂されてるかもしれない」

絵里 「私分かるのよ。近所に『ガイジン』が引っ越して来た時の隣近所の反応」

希 「えりちがそれ言うたら重いわあ。まあでもさつきさん含めて10人もおったらなあ。それと……」

絵里 「何?」

希 「ここだけの話、最近二人とも欲求不満かもしれん」

絵里 「ちょっと、希ったら何言いだすのよ!」

希 「さつきさんもきっとルシウスさんにわしわしされたくて……」

絵里 「もう、そんな話しないで」



262 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 18:32:26.54 ID:SMNrh744O
凛 「ただいまー」

花陽 「ただいま」

さつき 「ただいま」

ことり 「お帰りなさい」

絵里 「お帰りなさい」

凛 「行商のおじさんが魚勧めてきたけど断っちゃった」

さつき 「食べ物は買ったから次は日用品ね」

花陽 「またお出かけですか?」

さつき 「ええ。こういう時、車があると便利なのにね」

絵里 「私がお供します。凛と花陽は休みなさい」

さつき 「ありがとう、絵里ちゃん」

花陽 「うん」

凛 「気をつけてね」

ことり 「私もついていっていいかな? 衣装作りの為の布を探したいから」

さつき 「ええ、お水飲んだら3人で行きましょう」

ことり 「はい」



263 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/20(日) 18:46:31.77 ID:SMNrh744O
さつき 「ただいま……」

ことり 「エグッ、ヒック……グスッ」

絵里 「……」

希 「えりち!?……その髪」

穂乃果 「ことりちゃん?」

海未 「ことり、絵里、何があったのですか?」

さつき 「道を歩いてたら、男達がぶつかったって因縁つけてきたの」

ことり 「ごめんなさい、私のせいで……」

絵里 「ことりのせいじゃないわ。相手の方からぶつかってきたのよ」

穂乃果 「ことりちゃん、大丈夫?」

ことり 「……うん」

真姫 「一体何があったの? 絵里の髪は……」

さつき 「連中は手打ちの条件として彼女の髪を要求したの」

さつき 「ゲルマン人の綺麗な金髪は高値で売れるって……。ごめんなさい、私何も出来なかった」

希 「えりち、よう堪えたなあ。あんた立派や」

凛 (希ちゃんが絵里ちゃんを抱きしめてる)

絵里 「大袈裟ね、……髪なんてまたすぐに伸びてくるわ」

花陽 「酷い……」

海未 「警察に相当する機関は無いのですか?」

さつき 「警備隊はあっても私達異民族までは積極的に守ってくれないわ」

穂乃果 「そんな……」

さつき (まさか元老院が人を使って……杞憂であって欲しいけど)



265 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/20(日) 19:12:37.58 ID:HyMlAg38o
面白いなあこれ



266 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/20(日) 19:22:09.87 ID:CTMETlgIO
エリチ、ショートになっちゃったか



267 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/21(月) 20:16:31.94 ID:t0KmNTOUO
凛 「ただいまー」

花陽 「ただいま」

さつき 「ただいま」

絵里 「お帰りなさい……」

ことり 「……お帰りなさい」

凛 「今日は露店で肉と野菜買ってきたにゃ」

にこ 「さあ、にこにーのクッキングタイムよ」

さつき 「手伝ってくれるの? ありがとう」

にこ 「いいえ」

さつき 「?」

にこ 「ここはにこと絵里にお任せあれ。さつきさんはごゆっくり」

にこ 「行くわよ、助手」

絵里 「誰が助手よ! ちょっとどうしたの急に?」



268 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/21(月) 20:34:15.49 ID:t0KmNTOUO
トントントントントン

グツグツグツグツ

ジューッ

絵里 「私も料理するけどにこの手際のよさには負けるわ」

にこ 「あんたは妹と二人暮らしでしょ」

にこ 「作る料理の手間自体は人数が多少増えても大して変わんないけど、あたしの場合は弟や妹達の面倒見る合間で料理してたから。その分、時短に長けたのよ」

絵里 「時短か……。私、髪だけは短くなっちゃった」

にこ 「……絵里、聞いて」

絵里 「?」

にこ 「ことりがあんたの今の髪型に似合う衣装作るって言ってたわ。あの子をこれ以上悲しませたくなかったら、カラ元気でもいいから明るく振る舞いなさい。それから……」

にこ 「あんた、元がいいからショートも様になってんのよ! だから、自信持ちなさい」

絵里 「まさか、それを言う為に二人きりになろうとした訳?」

にこ 「悪い?」

絵里 (少しぶっきらぼうなにこの言葉。でもその言葉が冬に食べるボルシチのように暖かい)

絵里 (貴方の気持ちは伝わったわ)

絵里 「フフッ、ありがとう」

絵里 「伸びてきたら今度はツインテールに挑戦しようかしら」

にこ 「希と同じタイプならかまわないわ」



269 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/21(月) 21:22:58.16 ID:t0KmNTOUO
にこ 「いよいよローマでの初ライブよ」

ことり 「衣装も出来たし」

海未 「いきなりコロッセオは大き過ぎですし、まずはローマ市内の各地でライブをしながら知名度を上げましょう」

花陽 「この時代の人に受けるかなぁ?」

にこ 「勝算はあるわ、信じるのよ」

海未 「場所はルシウスさんが設計されたお風呂屋さんと聞きましたが」

穂乃果 「昨日下見とリハーサルで来た時はびっくりしたよ。ねえ、ことりちゃん」

ことり 「う、うん」



271 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 23:07:17.36 ID:vugGTLlHO
穂乃果 「あのお風呂ことりちゃんの昔のバイト先に似てたよね」

ことり 「うん、懐かしかった」

ことり (ルシウスさん、キュアメイドスパをモデルにお風呂屋さん造ってたんだ)

海未 「あっ」

穂乃果 「どうしたの、海未ちゃん?」

海未 「リハの時は営業時間外だったからお客様は居なかったですが……」

海未 「今日のライブはお客様が居る訳ですよね」

穂乃果 「うん」

海未 「風呂場ということは全員裸……」

希 「そこは開き直っていこ。海未ちゃんもルシウスさんの見たやろ?」

希 「それも元気な時の」

海未 「あれは不可効力です!」

ことり 「大丈夫だよ。私も慣れたから」

海未 「慣れてしまっていいのですか!? 私達嫁入り前ですよ!」

真姫 「前時代的ィ」

海未 「なっ!?」

穂乃果 「こっちが恥ずかしがってたら相手も恥ずかしがって見てくれなくなるよ」

凛 「こういう時は相手をジャガイモか何かと思うといいにゃ」

にこ 「駄目よ。ライブはきちんと観客の反応を見ながらーー」

海未 「反応!?」

にこ 「そういう意味で言ったんじゃないわよ!」



272 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 23:22:14.28 ID:vugGTLlHO
絵里 (この時代で初めてのライブが終わった)

花陽 「何とも言えない……」

にこ 「手応えは悪くない。観客も盛り上がり方を知らなかっただけ」

希 「初めてのライブでこれなら上出来やって」

真姫 「今回は楽団が居ないからアカペラでやるしかなかったけど、今後、楽団が付いたらもっと盛り上がるわ」

ほのか 「海未ちゃん大丈夫かな?」

ことり 「そっとしといてあげよう」

海未 (いっぱい見てしまいました。いっぱい見てしまいました。いっぱい見てしまいました。いっぱい見てしまいました。いっぱい見てしまいました。いっぱい見てしまいました)

海未 (形とか大きさとか色々個人差があるのですね)



273 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/22(火) 23:43:56.20 ID:vugGTLlHO
市民A 「MUSAって知ってる?」

市民B 「ああ、風呂で踊るっていう最近話題の踊り子だよね、何て名前の踊りをするんだったっけ?」

市民A 「AMOR VIVOだよ」

市民B 「詳しいね」

市民A 「実はこの前見に行ったのよ」

市民B 「へえ、で、どうだった?」

市民A 「凄いよ、あんな歌も踊りも今まで見たことも聞いたこともない。流石ルシウス・モディストゥスが考えただけのことはあるよ」

市民B 「ルシウスってあの建築家の?」

市民A 「うん、あの人が有名になる切っ掛けになった魔女のテルマエでその踊りを見たんだ」

市民B 「お前魔女のテルマエ出来た頃からルシウス贔屓だったよね」

市民A 「うん、あの人の才能にいち早く気づいたのが自慢だよ。ただ……」

市民A 「青みがかった黒髪の踊り子がえらい表情が強張ってた。緊張してたのかもしれん」



274 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/23(水) 00:38:06.34 ID:XgVND2AXO
市民B 「その顔が強張ってた子が一人で踊ってたの?」

市民A 「いや、全部で9人居たよ。一人はゲルマンと思うけど他の8人は見たこと無い顔立ちしてた」

市民B 「ところで複数だったらMUSAじゃなくてMUSAEじゃね?」

市民A 「あっ」



276 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/23(水) 22:18:12.59 ID:eG+fHvKmO
凛 「ただいまー」

花陽 「ただいま」

さつき 「ただいま」

希 「お帰りなさい」

ことり 「お帰りなさい」

凛 「今日は行商人のお婆ちゃんが勧めてきた果物が美味しそうだったから買ってきたにゃ」

ことり (ライブをする度に反響も段々大きくなってきたし、皆の笑顔も増えた……良かった)



277 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/23(水) 22:30:51.43 ID:eG+fHvKmO
カキカキカキカキ

真姫 「あ、間違えた」

カキカキカキカキ

真姫 「アーッ、もう!」

真姫 「何でこの時代シャープペンと消しゴム無いのよ!」

凛 「真姫ちゃんただいま」

真姫 「あら、お帰り」

凛 「真姫ちゃん、はい、これ」

花陽 「さつきさんが、作曲で頭使うだろうから少し糖分取った方がいいって」

真姫 「ありがとう、早速頂くわ」

真姫 (カットフルーツ、さつきさんのカッティングかしら?)

パクッ

真姫 「……ちょっと癖があるわね」

花陽 「どう、音楽の方は?」

真姫 「新曲を作る余裕はないわ。今迄の曲をこの時代で使える楽器でどうアレンジするかで精一杯よ」

真姫 「私が書いた楽譜をさつきさんがこの時代の楽譜に書き直してくれるっていうからそれは助かるんだけど……」

花陽 「けど?」

真姫 「私あの人のことよく分からないのよ」



278 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/23(水) 22:41:37.19 ID:eG+fHvKmO
花陽 「よく分からないって?」

真姫 「東大大学院卒、ラテン語どころか英語、イタリア語、フランス語も堪能でおまけに美人」

真姫 「本当ならエリート街道真っしぐらの筈よ。実際ここに来るまでは東大で歴史教えてたんでしょ? しかも日舞の腕前は海未が裸足で逃げ出すレベル」

花陽 「キャリア聞けば真姫ちゃんが憧れそうな人だね」

凛 「でも性格は正反対にゃ」

真姫 「どういう意味?」

凛 「さつきさんはおっとりしてて真姫ちゃんはプライド高いにゃ」

真姫 「失礼ね!」

真姫 「そんな人がこんな原始人みたいな暮らしに満足してるのが分からないのよ」

凛 「原始人は言い過ぎだよ」

花陽 「さつきさんは好きな人と一緒に暮らす幸せを選んだんじゃないかな」

凛 「さつきさんにとってのルシウスさんは真姫ちゃんにとってのサンタさんみたいなものだよ」

真姫 「今度その話したら怒るわよ」

凛 (怖っ!)

真姫 「だって最初ビックリしたんだから」

真姫 「自分のオ○ッコで髪洗うなんて!」

花陽 「この時代石鹸はあるけどまだ普及してないんだってね」

凛 「この時代の人もきっと、デザート食べながらオ○ッコの話する真姫ちゃんに原始人呼ばわりされたくないにゃ」

真姫 「ウップ!」

凛 「今頃気づいて気分悪くなっても遅ーー」

真姫 「ヴェエエエッ!」

ビチャビチャッ、ビチャッ

花陽と凛 「!?」

真姫 「ウグウゥゥ! 痛……」

凛 「真姫ちゃん!? どうしたの!?」

花陽 「さつきさん呼んでくる!」



279 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/23(水) 22:51:17.84 ID:eG+fHvKmO
行商人のオババ 「これでよろしかったですか?」

男 「ああ、これが報酬だ」

行商人のオババ 「これであたしは商売を続けられるんですね」

男 「ああ、口外さえしなければな」

行商人のオババ (いくら脅されたとはいえ、こんなことしたくなかった……)



284 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/25(金) 21:09:56.43 ID:ERPy9Zm7O
花陽 「真姫ちゃん、デザート食べたら急に吐いて……」

さつき 「これって……!?」

真姫 ガクガクビクビク

凛 「どうしよう!? 真姫ちゃん痙攣してる!」

希 「何があったんや!?」

ことり 「真姫ちゃん……!?」

さつき 「布を巻いた棒を噛ませて! すぐ戻るわ!」



285 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/25(金) 21:23:33.80 ID:ERPy9Zm7O
凛 「凛が余計なこと言ったから……グスッ」

花陽 「きっと凛ちゃんのせいじゃないよ」

凛 「でも!」

花陽 (さつきさんが戻ってきた)

さつき 「ちょっとどいて」

さつき 「真姫ちゃん、聞こえる? これ飲んで」

花陽 「それは?」

さつき 「解毒作用のある温泉水よ。私はこの後医者を呼んでくるわ。戸締りをお願い」



286 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/25(金) 21:58:31.83 ID:ERPy9Zm7O
ルシウス 「マキの容態は?」

さつき 「今は眠ってるわ。お医者さんの話では数日安静にしてれば治るって。すぐに嘔吐したのと温泉水が良かったって」

ルシウス 「そうか……」

ルシウス (やはり湯の力は偉大だ)

さつき 「それから……」

ルシウス 「どうした?」

さつき 「……お医者さんの見立てでは毒を盛られてるって」

ルシウス 「毒だと!?」

ルシウス (まさか元老院の仕業か!?)



289 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/26(土) 19:48:39.88 ID:afbU+R/CO
さつき 「……」

μ’s一同(凛除く) 「……」

さつき (無理も無いわね)

ルシウス (元老院め、私が気に入らないなら私だけを標的にすればいいではないか! こんな見下げ果てた連中が信用ならないから故ハドリアヌス陛下は元老院をアテにしなかったのだ。それとも私が服毒することを期待したのか?)

花陽 「凛ちゃんは真姫ちゃんに付き添ってます。皆で交代で付き添いしようって」

穂乃果 「さつきさん」

さつき 「真姫ちゃん食中毒だけど数日寝てたら治るってお医者さんは言ってたから」

花陽 「真姫ちゃん治るんですね。良かった……」

希 「ホンマに食中毒なんですか?」

さつき 「ええ」

希 「今日の真姫ちゃんといい、この前のえりちの件といい、ただごとやない。それにライブの時も、さつきさんと一緒にお出かけしてても目つきの悪い男の人がこっち見てることあるんです」

さつき 「21世紀の日本からこの時代に来たら治安や衛生面で不安を感じるのは仕方ないわ」

希 「それだけやない。さつきさん何か……」

希 「ウチらに言えなくて困ってることありませんか?」

さつき 「……」

さつき 「仕方ないわね」

さつき 「恥ずかしい話だし無責任なのは重々承知の上で言うけど」

さつき 「貴方達と暮らすようになってからやりくりが大変なの」



290 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/26(土) 19:57:48.59 ID:afbU+R/CO
希 「それはすみません。ただ、それだけじゃなくて他にも何かあるんやないかと思うて」

さつき 「無いわ。この世界に来て不安になるのは分かるけど心配し過ぎよ。それに……」

さつき 「仮にあったとしてもプライベートまで詮索して欲しくない」

希 「さつきさん何か無理しとる。お願いです。さつきさんがーー」

さつき 「もういいでしょ? ……流石に甘やかし過ぎたかしら」

希 「さつきさん?」

さつき 「貴方達がここで不自由な暮らしをする羽目になった原因はルシウスにあるからこれまで多少のことは受け入れてきた」

さつき 「そして確かに真姫ちゃんの食べたフルーツは私が切ったわ」

さつき 「ただ、それが原因と言わんばかりに婉曲にあてこすりはあんまりじゃーー」

希 「そんな、誤解や!?」

さつき 「貴方達の間では先輩禁止とか言ってるけどそれは他所では通用しないわよ」

絵里 「待って下さい。希だって悪気があった訳じゃーー」

さつき 「そこまで言うなら今後の食事は主人と私が先に摂ります。それで安全が確認出来たら貴方達も食べなさい」

海未 「先生!?」

さつき 「日舞の稽古も暫くお休みにしましょう。お互いに頭を冷やす時間が必要だわ」

海未 「そんな、一方的過ぎます!」

穂乃果 「海未ちゃん、待って」

海未 「穂乃果 !?」

穂乃果 「さつきさん、お願いします。どうか考え直して下さい!」

さつき (皆いい子達ね……)

さつき (でも……)

さつき 「考え直す気はないわ」



291 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/26(土) 20:29:54.99 ID:afbU+R/CO
ルシウス 「サツキ、大丈夫か?」

さつき 「ルシウス、私……」

ルシウス 「あの娘達と何を話した?」

ルシウス (何を言い争いしていたのだ?)

さつき 「今説明するわ」



292 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/26(土) 20:35:30.85 ID:9SQ/2Wk5O
才女やのう



293 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/26(土) 20:44:56.21 ID:afbU+R/CO
ルシウス 「そうか……」

さつき 「後で希ちゃんにだけは謝って真姫ちゃんが毒を盛られてたことを話すわ。今日思ったけどあの子カンの良さがあるし、しっかりしてる。事情を知った上で上手く皆の調整役になってくれると思う」

ルシウス 「分かった。マルクス・アウレリウス様は今晩ローマに戻られるそうだ。明日掛け合おう。マルクス様のことだ。きっと力になって下さる」

さつき 「頼んだわ、ルシウス」

ルシウス 「任せろ。それからサツキが毒見をする必要は無い」

さつき 「ルシウス……」

ルシウス 「そういうことは奴隷にさせればいい」



295 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/29(火) 00:32:10.19 ID:4uoceNwhO
マルクス 「よっ、色男!」

ルシウス 「私のことか?」

マルクス 「何言ってんの。美人のカミさんだけじゃ飽き足らず大勢の若い娘と一つ屋根の下で暮らしといて」

ルシウス 「……」

マルクス 「どうした? ルシウス」

マルクス (何を思い詰めた顔してる?)



296 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/29(火) 01:03:29.30 ID:4uoceNwhO
マルクス 「ふーん、カミさんと喧嘩したねぇ……。その、食中毒になった嬢ちゃんは気の毒だったな」

ルシウス 「幸い、数日で治るそうだ。私としては妻や妻の同胞が今後食中毒にならないようにと思って言ったことだが……」

ルシウス 「そしたらサツキは『奴隷だって人間なのよ!』って言って……滅多に怒らないサツキが感情を露わにした」

ルシウス (マルクスには毒を盛られたことは話さないでおこう。そのことを伝えたらマルクスをも巻き込むことになるやもしれん)

マルクス 「まあ、夫婦と言ってもたまには喧嘩だってするさ。今日はカミさんに何か土産でも買って帰ればいいって」

ルシウス (サツキのコスモスポリタニズムは奴隷をも対象にするものだったのだ。私は知識として知っていてもコスモポリタニズムを実際には理解していなかったのかもしれない)



297 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/29(火) 01:13:09.03 ID:4uoceNwhO
絵里 (ただでさえ真姫が寝込んでるのに私達とさつきさんとの間に亀裂が走った)

絵里 (希は大丈夫って言ってるけど……。こういう時こそ力になりたいのに)

花陽 「昨日、さつきさんとルシウスさんが喧嘩して、今朝起きたら奴隷さん達が皆居なくなってて」

花陽 「どうなっちゃうのかな、私達?」

ことり 「さつきさんとルシウスさんのことだがらきっと仲直りすると思うよ。海未ちゃんもまた日舞教えて貰えるって」

海未 「だといいのですが……あの時先生が突然希に対してあそこまで怒りをぶつけた理由が分からないのです」

穂乃果 「まあ、あの時希ちゃん結構喰い下がってたし、さつきさんだって機嫌が悪い時くらいあるよ」

凛 「ああいう頭が良すぎる人は一般人には計り知れない感覚があるのかも知れないよ」

海未 「同じ日本人同士でも中々上手くいかないものですね……」

にこ 「あんた達、何くつろいでんの?」

穂乃果 「にこちゃん?」

にこ 「奴隷が誰も居ないのよ。油売る暇あったらあんた達も家事しなさあい!」



303 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/29(火) 23:11:08.33 ID:LwUcjwfsO
穂乃果 (さつきさんは私達より先に食事を終えて自分の食器を洗ってる)

海未 (ルシウスさんが仕事を終えて帰宅するまでまだ大分時間があります)

ことり (この気まずい空気を何とかしたいけど話しかけられない)

花陽 (希ちゃんは務めて明るく振る舞ってる。さっきもさつきさんが食事を終えたと皆に伝えてくれたのは希ちゃんだった)

凛 (本当なら楽しい筈のごはんの時間が……あ、さつきさんがこっち来た……)

さつき 「ちょっとごめんなさいね」

にこ (後ろを通り過ぎるだけね)

穂乃果 (……)

穂乃果 「あの!」

さつき 「どうしたの、穂乃果ちゃん?」

穂乃果 「あの……やっぱり、こういうのってーー」

さつき 「昨日の話の続きならするつもりは無いわ」

穂乃果 「さつきさん、お願いします。せめて理由を聞かせて下さい」



304 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/29(火) 23:27:31.63 ID:LwUcjwfsO
穂乃果 「今、何ていうか家の中がギクシャクしてて、私達さつきさんと仲直りしたくて」

さつき 「それは私も同じよ」

穂乃果 「だったらこれからは食事一緒に食べませんか?」

さつき 「仲直りしたいのならそのことは蒸し返さないで」

絵里 「居候は場を弁えろということですか?」

さつき 「そんなつもり無いわ」

絵里 「穂乃果も言いましたが、気に入らないことがあるなら言って欲しいんです。何も言ってくれないとこちらとしても直しようがありません」

海未 「誰か食事中のマナーに問題があったのでしょうか?」

ことり 「誰も問題無かったと思うよ」

にこ 「にこにー以外はみんな大事なこと忘れてるわ」

凛 「大事なこと?」

にこ 「そうよ、今朝いきなり奴隷が居なくなったことと関係あるんじゃない?」

さつき 「……ウッ!」

花陽 (さつきさんが口を抑えた!?)



305 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/11/29(火) 23:55:06.38 ID:LwUcjwfsO
にこ 「その表情、確信を突かれたって顔ね」

にこ 「いくら東大出の頭脳でも、にこにーの名推理からは逃れられないわよ」

にこ 「さあ、奥さん! 洗いざらい吐いて貰いますよ」

さつき 「ウ、ウプ……」

さつき タッタッタッタッタッタッ

にこ 「……本当に吐きに行かなくても……」

海未 「何をしているのですか、にこ。先生の具合が悪くなるまで追い詰めるなんて」

希 「違う、毒や」

穂乃果 「また食中毒なの!?」

希 「食中毒やない! ホンマもんの毒や!」

絵里 「希、急に何をーー」

希 「皆、良う聞いてや。この前の真姫ちゃんは毒を盛られた」

花陽 「毒!?」

希 「今回も同じや。皆、さっき食べたもん全部吐くんや」

花陽 「トイレ2つしか無いよ。しかも1つは今さつきさんがーー」

希 「お椀の中でも、袋の中でもそこらへんの路端でもええ」

希 「死にとうなかったら一刻も早よ胃袋空にするんや!」

ことり (こんな真剣な表情の希ちゃん初めて見た)



309 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/04(日) 19:34:54.48 ID:XZt2mTwOO
ルシウス 「ただいま」

さつき 「お帰りなさい」

穂乃果 「ルシウスさん、お帰りなさい! 皆、ルシウスさんが帰って来たよ!」

ルシウス (今朝家を出た時とまるで雰囲気が違う。サツキも穂乃果も明るい)

ルシウス 「皆、どうした?」

ルシウス (皆集まってきた。一様に笑顔だ)

穂乃果 「みんないくよ、せーの」

μ’s一同 「GRATULATIO(おめでとう)!」

ルシウス 「え?」

さつき 「私、子供ができたの」

ルシウス 「……」

ルシウス 「やった、やったぞー!」



310 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/04(日) 19:55:57.47 ID:XZt2mTwOO
さつき 「それから……」

ルシウス (?)

さつき 「彼女達に全てを話したわ」

ルシウス 「そうか……」

ルシウス 「最後まで諦めずに最善を尽くそう。ただ、あまり無理をするな。お腹の子に障らないように」



311 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/04(日) 20:08:38.12 ID:XZt2mTwOO
希 「さつきさん、堪忍や。ウチおもいっきり『毒』って言うてしもうた」

さつき 「こちらこそ、他のみんなには秘密にしておいてって無理言ってごめんね」

にこ 「さつきさんのつわりを毒を盛られたと思いこんだ希が大騒ぎするなんて」

凛 「全部吐いたからきっと後でお腹空くにゃ」

海未 「先生は私達の為に毒味役を買って下さってた。それを私は『一方的』などと」

さつき 「その話はもう言いっこ無し。明日から日舞の稽古また頑張りましょう」

海未 「はい!」

さつき (結果論だけどお祝いムードの中で元老院の陰謀を話せたことで悲壮感が緩和された)

真姫 「で、これからのことはどうするの?」

花陽 「真姫ちゃん大丈夫?」

真姫 「本調子じゃないけど話する位なら。今は病気だ怪我だって言ってられないわよ」

さつき 「そのことだけどまず私がルシウスから話を聞くわ」

さつき 「ルシウス、マルクス様とは話せたの?」



312 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/04(日) 20:18:44.90 ID:XZt2mTwOO
さつき 「ルシウスから聞いた話をするわ」

さつき 「みんなにはティヴォリにある皇帝の別荘に住んでもらいます」

穂乃果 「皇帝の?」

海未 「別荘ですか?」

ことり 「凄そう……」

さつき 「ティヴォリには最近亡くなった故ハドリアヌス帝の別荘があるの。先帝の別荘内で毒殺なんてあったら騒ぎになるから元老院も迂闊に手出し出来ないでしょうし、大浴場も運動場もあるからライブの練習も出来るわ。護衛もいるしここより安全よ」

絵里 「それはありがたいですが根本的な問題、ライブに失敗したら剣奴にさせられる話は回避出来たのですか?」

さつき 「それは出来なかったわ。いざという時には政治的な手段を含めあなた達を守るけど、まずは催し物の成功を目指して欲しいというのが皇帝とマルクス・アウレリウスの回答だったそうよ」

ことり (そんな……)

花陽 「あの……」

さつき 「どうしたの?」

花陽「皇帝が元老院に命令出来ないんですか? 皇帝って一番偉いんじゃ……」

さつき 「今の皇帝は生れながらの皇帝じゃ無いのよ。前の皇帝の実子じゃないし、50歳過ぎてハドリアヌス帝の養子になるまでは元老院の一有力議員に過ぎなかったわ」

さつき 「皇帝の養子になる経緯も、先に皇帝の養子になった人が病死したことで順番が回ってきたから」

海未 「皇帝だからと言って絶対的な権力を持つわけではないのですね」

穂乃果 「海未ちゃんだって生徒会長の穂乃果の言うこと聞いてくれない時あるもんね」

海未 「それはあなたが生徒会の仕事で職務怠慢な時です!」



315 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/04(日) 23:43:47.22 ID:7ygkHJeKO
毒じゃなくてよかった



316 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/06(火) 22:58:22.93 ID:gxLW3SEwO
さつき 「さらに先帝ハドリアヌスが亡くなった時に元老院はハドリアヌス帝の神格化拒否と歴史抹消を行おうとしたの」

凛 「よく分からないです、さつきさん」

希 「例えて言うと、にこっちが高校卒業してアイドル研の部長を辞めた後に……」

希 「残った部員が、OG名簿からにこっちの名前を消してハナからそんな人は部におらんかったことにするようなもんよ」

凛 「分かりやすいにゃ」

にこ 「何よ、その例え」

希 「冗談やって。にこっちが皆に愛されてるからこういうことも言えるんよ」



317 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/06(火) 23:14:38.53 ID:gxLW3SEwO
さつき 「その神格化拒否と歴史抹消を阻止する為に涙ながらに元老院を説得したのが今の皇帝よ。それも今回元老院に対して皇帝が強く出られない理由の一つなの」

にこ 「なる程ね、話が読めたわ」

希 「要するに棚ボタで跡継ぎになった新米皇帝は即位していきなり元老院に大きな貸しを作ってしもうた訳や」

絵里 「今は元老院にとって発言力を大きくする好機ということね」

真姫 「何よそれ……ふざけないで!」

真姫 「ローマ人同士の権力争いで私は毒盛られたの!?」

花陽 「酷い。どうして私達が命を狙われないといけないの!? ライブに失敗したら殺し合いしろなんてことになるの!? 」

花陽 「私達はアイドルをやりたかっただけなのに、グスッ……」

凛 (かよちん……)



318 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/06(火) 23:40:25.81 ID:gxLW3SEwO
ことり 「いざという時に恩赦とか出ないんですか?」

穂乃果 「ことりちゃんナイスアイデア!」

さつき 「それも断られたの。ハドリアヌス帝崩御の際に恩赦があったばかりだから頻繁に恩赦は出せないって」

穂乃果 「駄目かあ……」

絵里 「いっそのこと式典への参加を辞退した方が……」

海未 「確かにそれが一番無難ですが、それでは私達を皇帝に推薦したルシウスさんの立場が……」

さつき 「私達夫婦のことは気にしないで。貴方達の命の方が大事よ。それに……」

さつき 「ルシウスも私もあなた達を巻き込んだことを申し訳ないと思っているわ」

穂乃果 「さつきさん……」



321 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/14(水) 02:35:13.80 ID:hDtWBIdc0
真姫 「私は嫌よ」

花陽 「真姫ちゃん……」

海未 「真姫、気持ちは分かりますがここは冷静に――」

真姫 「下を向いて生きるなんて真っ平よ。元老院が私達の邪魔をするなら私は連中を黙らせるだけの曲を作ってみせるわ!」

海未 「相手は元老院ですよ。国家権力と戦う気ですか?」

真姫 「パパが言ってた。『逃げることの楽さに慣れた人間は逃げ癖がつく』って。穂乃果だって一度逃げだしたことを後悔したからてμ'sに戻ってきたんでしょ?」

真姫 「やる前から諦めることなんかない」

穂乃果 「そうだね……やろう、みんな」

絵里 「ちょっと待って!? 今度は廃校どころじゃないわ。一歩間違えたら私達殺し合いさせられるのよ」

凛 「そうだよ、凛は死ぬのも殺すのも嫌だよ」

希 「ウチもそれには同意見やな」

希 「だからこそ式典でライブをしたほうがええと思うんよ」

絵里 「希?」



322 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/14(水) 02:47:02.87 ID:hDtWBIdc0
希 「仮にウチらが式典の参加を辞退して今後の活動を自粛してもそれで元老院が見逃してくれる保証は無い。むしろこのまま闇に葬られる可能性もあるっちゅうことや」

海未 「しかし戦って勝つ保証もありません」

希 「そこはまあ水かけ論になるわな。ただ見ようによっては今回のことはチャンスと思うとるんよ」

にこ 「チャンス? どこが?」

希 「さっきさつきさんがウチらを皇帝の別荘に住まわせる話をされた。ウチらはこの国ではどこの馬の骨ともしれん異民族や。ルシウスさんのコネがあったとはいえ、これは破格の待遇よ。そうでっしゃろ、さつきさん?」

さつき 「ええ、本来ならあり得ない話よ」

希 「つまり今回のことで皇帝とのパイプが出来た。ならばライブを成功させてこれから皇帝と仲良く――」

海未 「皇帝と元老院との権力争いに飛び込むつもりですか!?」

希 「争うつもりはないよ」

ことり (相変わらず茫洋とした人……)



323 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/14(水) 03:02:22.34 ID:hDtWBIdc0
希 「史実では今のアントニヌス帝は元老院と仲良く出来たんよ」

凛 「本当!?」

希 「そうよ、つまり今後皇帝と懇意になることでウチらと元老院の関係も改善される」

花陽 「でも今すぐって訳じゃないんでしょ?」

希 「そう、ただこれだけはみんなも考えて欲しい」

希 「ウチらがこの時代に来て結構な時間が経った。みんな頭のどこかで考えてるとは思うけど……」

希 「ウチらはもう元の時代に戻れんかもしれん」

絵里 「希……」

希 「ウチかて諦めとらんよ。でもその可能性を考えないといけない時期に来てると思うんや」

希 「いつまでも居候という訳にはいかん。生きる術が必要や。その時にこの9人で歌と踊りを仕事に出来たら素敵と思うんよ。それがウチの夢」

希 「それに元の時代のことを忘れへんように、音ノ木坂のことを忘れへんようにアイドル続けたいんよ」



324 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/14(水) 03:20:29.94 ID:hDtWBIdc0
にこ 「やるわ」

真姫 「にこちゃん?」

にこ 「この時代でナンバーワンアイドルになって歴史に名前を刻んでみせるわ!」

海未 「そんなにうまくいくでしょうか? 今もこうして命を狙われている以上、リスクを犯すのは……」

希 「今のウチらは例え殺されても文句も言えん立場や。それを帝国公認のアイドルになって大勢のファンが味方につけば元老院もウチらには簡単に手出し出来んようになる。何も元老院と張り合うことは無いんよ。排除するにはリスクが大きいと相手に思わせればええんや」

海未 「それは分かりますが……」

ことり 「どっちに転んでもリスクはあるよ。だったら私は好きなことをやってみたいな」

海未 「ことり……」

穂乃果 「それに海未ちゃんはまだいいよ」

海未 「どういう意味ですか?」

穂乃果 「仮にこの中で殺し合いになっても武道やってる海未ちゃんが最後まで生き残るよ」

パシィン!

穂乃果 (痛ッ!)

海未 「あなたは……私があなたを……あなた達を……」

海未 「殺せると思っているのですか!?」

穂乃果 「!」

海未 「ウッ……グスッ……」

ダッ! タッタッタッタッタッ

ことり 「海未ちゃん!」

凛 (海未ちゃん部屋飛び出しちゃった……)

さつき 「ことりちゃんは穂乃果ちゃんについてあげて。海未ちゃんは私が連れ戻すから」

真姫 「お言葉ですがさつきさんが間に入るの?」

さつき 「あの子は私の弟子よ。それに、たまには大人らしいことさせて頂戴」



327 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/14(水) 10:53:02.08 ID:7OFwcx9kO
無神経な発言は主人公の特権



328 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/18(日) 01:29:04.84 ID:kmLnRhYj0
海未 「ウゲェ……、ハァ、ハァ、ハァ……」

海未 「ウ、ウウ……」

さつき 「あら、あなたもおめでた?」

海未 「……先生」



329 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/18(日) 01:45:05.44 ID:kmLnRhYj0
さつき 「海未ちゃん」

海未 「先生、私……」

さつき 「悲しかったのね。ただ穂乃果ちゃんに悪意は無いわ。それはあなたも分かるでしょ?」

海未 「はい、分かっています。穂乃果は悪くありません」

さつき 「穂乃果ちゃんも少しデリカシー無かったし今の状況なら誰もがナーバスになってもおかしく無い。でも問答無用で手をあげるのは感心しないわ」

海未 「はい。私に穂乃果を責める資格はありません」

海未 「家を飛び出した後に思ったんです」

海未 「家族に会いたい。元の時代に帰って家族と一緒に暮らしたい。でも死んでしまったらそれも叶わない。もしライブに失敗して死ぬか生きるかの選択を迫られた時に果たして私は……」

海未 「仲間を、親友を絶対に手にかけないと言い切れるのかと」

海未 「胸に手を当てて自問自答して……」

海未 「断言出来ないんです。恐ろしいことを考えてしまう自分を振り払えないんです!」

海未 「切羽詰まった時こそ人間って本性が出るんですね。自分の醜さに文字通り反吐が出ました。……軽蔑……しますよね」

さつき 「いいえ」

海未 「どうしてですか!? 私は最低の人間ですよ!?」

さつき 「本当に最低な人間はそこまで葛藤しないわ」

さつき 「それに私もあなたと同じよ」



330 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/18(日) 02:26:57.08 ID:kmLnRhYj0
海未 「先生が……同じ? 私とですか?」

さつき 「ええ。家族の絆を大切にしたい、家族水入らずで一緒に暮らしたいという思いは当然のことよ。私も同じ。責められるものでは無いわ」

海未 「しかしその為に友達を殺めることになるかもしれないんです!」

さつき 「私だって家族か家族以外かの二者択一を迫られたら家族を選ぶわ」

さつき 「私、10歳の時点で両親が居なかったの」

海未 「先生!?」

さつき 「母とは死別、父はもっと前から居なくて。だから幸せな家庭を築くことへの憧れが人一倍強いんだと思う」

さつき 「だから今の幸せを絶対に失いたくないの。そしてあなた達にも幸せになって欲しい」

さつき 「このお腹の中の子が生きて、あなた達が死んでいい道理なんてない」

さつき 「一緒に歌って踊ることは出来なくても私はあなた達の支えになってみせる」

さつき 「だから海未ちゃんも諦めないで」

さつき 「現実から目を背けること無く精一杯足掻きなさい。現状を把握して分析して対策を立ててそれを実行する」

さつき 「諦めるのはそれからでも遅くないわ」



332 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/20(火) 20:55:39.35 ID:hkBTTlPp0
海未 「やる前から諦めるな、というのは分かります。それでも自分が怖いんです。希望が絶望に変わった時に自分が何をしでかすか……」

さつき 「大丈夫、あなたが思っている以上に勝算は十分にあるわ」

さつき 「元老院はあなた達のことを何も知らないのに対し、私達は歴史としてこの世界の行く末を知っている」

さつき 「さっき希ちゃんが言っていた、皇帝と元老院の融和に便乗すればいいという話も歴史を知っているからこそ思いつけるのよ」

さつき 「少なくともこの時代の歴史には私、自信があるわ」

さつき 「それに私の夫はこの時代でアポロドトスさんの次に有名な建築家よ。必ずあなた達の為に立派なステージを造るわ


さつき 「それだけじゃない。ローマ五賢帝のうち二人が私達の味方なんだから」

さつき 「今の皇帝は五賢帝の中で最も凡庸とされているけど決して暗君ではないわ。むしろ全盛期を過ぎたローマの実情を見極め、よく治めた人物よ。今は元老院に対して弱気なところがあるけど、マルクス・アウレリウスと共にきっと力になってくれる」

さつき 「それにあなたにはかけがえのない仲間がいるでしょ。何より彼女達のことも信用してあげなさい」

海未 「先生……」



333 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/20(火) 21:15:28.12 ID:hkBTTlPp0
さつき 「ただいま」

花陽 「お帰りなさい」

希 「お帰りなさい」

ルシウス 「サツキ、大丈夫か?」

さつき 「海未ちゃんのことならもう大丈夫と思う」

ルシウス 「そうか、良かった」

海未 「あの……穂乃果?」

穂乃果 「海未ちゃん……」

海未 「ごめんなさい! いきなりぶったりして!」

穂乃果 「まあ、私も悪気がなかったとはいえ海未ちゃんを傷付けるようなこと言っちゃったし」

海未 「穂乃果、私をぶって下さい」

穂乃果 「もういいよう、そんな気にしないでよ」

海未 「いえ、それでは私の気が済みません。……それとも……」

海未 「私は殴る価値も無い人間ということでしょうか?」

穂乃果 「いや、そういう訳じゃなくて……その……言い辛いというか……」

海未 「構わす言って下さい。今度は例え罵倒されても激昂しません」

穂乃果 「分かった」

穂乃果 「海未ちゃん、今ゲロ臭い」



334 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/20(火) 21:44:12.67 ID:hkBTTlPp0
海未 「ヴエエエエン!」

穂乃果 「ごめん、ごめんね海未ちゃん!」

真姫 「もう、なんであなたはそんなにデリカシー無いのよ!」

穂乃果 「でも誰かが教えてあげないといけないじゃん!」

にこ 「だからって言い方ってもんがあるでしょうが!」

穂乃果 「そんなぁ……。さつきさんならどうしてました?」

さつき 「私? 私だったら今の場合、さり気なくお風呂に入ることを促すわ。例えばお風呂に入ったら落ち着くよって言ったり」

希 「決まりやね」

絵里 「穂乃果と海未で仲直りにお風呂入ってきなさい」

穂乃果 「ウ……分かった」

にこ 「それじゃ二人がお風呂に入ってる間にクッキングタイムよ。おめでたい日だから豪勢にいくわよ!」

凛 「今日はご馳走にゃー!」

ことり 「海未ちゃん、お料理が出来るまでに穂乃果ちゃんとお風呂行ってきたら?」

海未 「はい……」

穂乃果 「行こう、海未ちゃん」

ことり (これできっと穂乃果ちゃんと海未ちゃん、仲直り出来るよね)



337 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/21(水) 20:22:54.73 ID:T1pPIlmF0
にこ 「さあ、お料理出来たわよ」

花陽 (わああぁぁっ、美味しそう)

凛 (かよちん目が輝いてる)

花陽 (これでお米があったら……)

海未 「お風呂お先頂きました」

穂乃果 「お待たせ、おおーっ、ご馳走だ。エスカルゴもあるし本場のイタリアンって感じ」

さつき (この時代、まだイタリアって概念はないのよ)

にこ 「で、どうするの? 毒味」

真姫 「毒味っ!?」

にこ 「そうよ。この祝いの席でまさかルシウスさんやさつきさんに毒味させるつもりじゃないでしょうね?」



338 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/21(水) 20:43:38.48 ID:T1pPIlmF0
μ's一同 「ジャンケンポン! あいこでしょ!」

にこ 「やったぁ、一抜け!」

穂乃果 「アーッ! にこちゃん後出し!」

にこ 「何? 言いがかり?」

海未 「私も今のは後出しだと思います」

にこ 「あんたら仲直りした途端同調し過ぎじゃない?」

絵里 「流石に今のは露骨よ」

にこ 「アーッ、もう! こうなったらくじ引きよ、くじ引き」

凛 「自分でくじ作ってズルする気でしょ?」

にこ 「何でよ! だったらさつきさんにくじ作って貰うわ。それで文句無いわよね」



339 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/21(水) 21:19:53.07 ID:T1pPIlmF0
希 「ウソや、こんなんウソや……」

真姫 (まさか希が引くとはね)

希 「カードが、カードさえあればこんなことには……」

絵里 (そういえば希ってくじでハズレを引いたことが無いって言ってたわね)

ことり 「毒が入ってるとは限らないし、そんなに落ち込まなくても」

希 「ウチが気にしてるのは毒味することやなくて運が尽きとることや。ウチのアイデンティティが……」

海未 「気の毒ですがこればかりは恨みっこ無しということで」

穂乃果 「毒と気の毒をかけたの? 流石μ'sの作詞担当」

海未 「違います」



342 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/22(木) 22:53:38.36 ID:7vHHUjpG0
穂乃果 (普段はティヴォリの別荘で練習し、ライブの時はローマに出掛ける日々。市内各所でライブを繰り返すうちに私達の知名度は少しずつ上がっていった)

穂乃果 (さつきさんのお腹が目立ち始めた頃にはライブは各地で好評となり、新皇帝就任記念式典に向け私達は手応えを感じていたけど……)

にこ 「今日という今日は言わせて貰うわよ! あんたこの時代に来て何回ライブやったと思ってんのよ!」

海未 「それはそうですが……」

にこ 「男風呂でライブする度にそんなんでどうすんのよ!?」

にこ 「いい加減オチ◯◯ンに慣れなさい!」

海未 「ストレート過ぎます!」

にこ 「ことりが作ったベールで顔を覆って視界をボヤけさせないと男風呂に入れないってこれからどうすんのよ?」

絵里 「式典はコロッセオで開催するからいいとして普段のライブでは問題よね」

にこ 「顔を隠してステージに上がるアイドルなんて聞いたこと無いわ。第一観てくれてる皆に失礼でしょうが」

海未 「はい……」



343 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/22(木) 23:05:21.17 ID:7vHHUjpG0
希 「にこっちの言ってることは尤もやけどただ責めるだけじゃ萎縮するよ。具体的に対策を立てんとね」

希 「みんな、何かええアイデアは無いやろか?」

真姫 「以前映画観た時にキスシーンすら正視出来なかった海未よ。対策っていっても……」

花陽 「やっぱり少しずつ慣れていくしか……」

ことり 「私も最初は凄く恥ずかしかったけどバイト先で日々見てるうちに慣れていったよ」

希 「定期的に見ることで文字通り見慣れるってことやね」

絵里 「でもそれならライブを繰り返すうちに自然と慣れる筈よ」

凛 「やっぱり知らない人だから緊張するってのがあるんじゃない?」

穂乃果 「そうだ!」

ことり 「何かいいアイデアが浮かんだの?」

穂乃果 「うん! 知らない人だから緊張するのなら……」

穂乃果 「海未ちゃんの為に毎日ルシウスさんに見せて貰おう!」

海未 「それだけは止めて下さい! 先生に合わせる顔がありません!」



344 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/22(木) 23:06:59.02 ID:YbfnlrI+O
絶対誰か言うと思ったけど穂乃果ぁ!



345 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/22(木) 23:16:20.00 ID:7vHHUjpG0
海未 「あの……」

にこ 「何?」

海未 「にこはどうやって慣れたのですか?」

にこ 「にこは男風呂でライブする時はファンの皆を虎太郎だと思ってるわ」

海未 「なる程、いいことを聞きました!」

海未 「身内だと思えばいいのですね」



346 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/23(金) 00:01:07.60 ID:KrWk4f6P0
にこ 「呆れてものが言えないわ……」

海未 「……」

にこ 「途中でライブを放り出して逃げ出すってどういうつもりよッ!」

真姫 「駄目ェ!」

花陽 (真姫ちゃんが止めに入らなかったら……)

凛 (にこちゃん、海未ちゃんに掴み掛かってたね)

絵里 「一体どうしたのよ、海未?」

海未 「……身内が観に来てくれたと思えば緊張しないと思ったのですが……」

海未 「風呂場の男性を全員父だと思ったら……」

海未 「余計駄目で……ウウウ……グスッ」

穂乃果 「もういい、もういいよ、海未ちゃん」

海未 「穂乃果?」

穂乃果 「これも海未ちゃんの個性だよ」

海未 「穂乃果!? いつもあなたに厳しく接する私にどうしてそんな甘いことを」

穂乃果 「私思ったんだ。オ◯ンチ◯に慣れてしまう海未ちゃんって海未ちゃんらしくないなって」

穂乃果 「穂乃果は慣れてしまったけど無理することないんだよ」

ことり 「いっそのことベールを必須アイテムにしてしまうのはどうかな?」

花陽 「ベールを被ることでキャラ付けするってことですか?」

にこ 「あんたらおかしいわよ」

にこ 「アイドルは顔と名前を覚えて貰ってなんぼでしょうが」

凛 「覆面レスラーで人気ある人だっているよ」

希 「ものは試しやね」

にこ 「あんた達どうかしてるわ!」

にこ 「あんた達がやるのは勝手だけどステージで顔も晒せない相手と組む気なんか無いわ」

にこ 「とおぉぉぉっても不愉快よ!」

真姫 「ねぇ、海未自身はどういう方向に向かいたいのよ?」



348 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/25(日) 21:28:16.90 ID:8zZ/Z5Lr0
海未 「私はもっと強くなりたいです。しかし強くなりたいといっても男性恐怖症を克服したいだけなんです」

穂乃果 「海未ちゃんのは男性器恐怖症だね」

凛 (酷いツッコミ)

希 「海未ちゃん、これまで男の人の裸を見て動揺せんかったことは無いの?」

海未 「動揺しなかった時ですか?」

希 「そうや、よく思い出すんや」

海未 「動揺しなかった時……」

ことり 「思い出した」

穂乃果 「ことりちゃんが思い出したの?」

ことり 「うん、この世界に来る直前に露天風呂に現れたルシウスさんをみんなで捕まえようとした時の海未ちゃんは落ち着いてたよ」

希 「海未ちゃん、今の話はホンマ?」

海未 「はい、そういえばそうでした。私自身すっかり忘れてました」

希 「あの時平気やったのは何でやと思う?」

海未 「はい……きっと怒りが羞恥心を上回っていたからだと思います」

希 「ちゅうことは羞恥心を上回る感情を持てばええんや」



349 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/25(日) 21:57:10.81 ID:8zZ/Z5Lr0
絵里 「海未、ダンスに思いを込めなさい」

海未 「ダンスに思いを……ですか?」

絵里 「そう、自分の思いをダンスに込めるの。理不尽にこの世界に飛ばされた不条理への怒り。望郷の念。ライブへの不安。死への恐れ。自らの理想と現実の相違への葛藤」

絵里 「それら全てを全身で表現するのよ。目の前の光景が気にならなくなる位に」

ことり 「気持ちを昂ぶらせて羞恥心を忘れさせるというのは分かるけど、海未ちゃんにそれをさせたら百面相になっちゃうかも」

絵里 「構わない」

にこ 「ステージは笑顔が基本よ。突拍子もない顔されても困るわ」

絵里 「それも考え様よ」

絵里 「シンクロ元日本代表の奥◯史子さんは現役時代『笑わないシンクロ』で世界を驚愕させたのよ」

海未 「『笑わないシンクロ』ですか?」

絵里 「そう。シンクロにおいてもアイドルのライブ同様、笑顔での演技がセオリー。しかし奥◯選手は女の情念や怒りを表情やしぐさで現した『夜叉の舞』をフリー演技で披露して、シンクロ世界選手権ソロ史上初の芸術点オール満点を達成、銀メダルを獲得されたわ」

海未 「シンクロ出身の絵里らしい発想ですね。ありがとうございます。ただ、やってみる前に相談したい人が……」

絵里 「分かったわ。しっかり考えなさい」

絵里 (そういえば奥◯さんが銀メダルを獲得したのは奇しくもローマでの世界選手権だったわ)

にこ 「まっ、きちんとやってくれさえすればにこから言うことは無いわ」

海未 「はい!」

絵里 「あと勿論、今の話は基礎体力や技術あっての話よ」

海未 「はい、練習も頑張ります」



350 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/25(日) 22:17:06.99 ID:8zZ/Z5Lr0
さつき 「正直感心しないわね」

海未 「はい……」

さつき 「あなたも日舞やってるから分かると思うけど『顔で踊る』のは敬遠されるのよ」

さつき 「でも日舞でなくてライブなら有りかもね」

海未 「先生……」



351 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/25(日) 22:27:47.77 ID:8zZ/Z5Lr0
ことり 「海未ちゃん、本当にベール無しで大丈夫? いざという時の為に付けるだけ付けておいた方がいいんじゃ……」

海未 「ことり、ありがとうございます。でも自分の中の甘えを断ち切りたいのです」

ことり 「うん、分かった。応援するよ」

穂乃果 「その意気だよ、海未ちゃん!」

海未 「はい、今日こそは踊りきって見せます!」

海未 (私はもう絶対に、男性器なんかに負けたりしません!)



352 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/25(日) 22:37:15.30 ID:8zZ/Z5Lr0
市民A 「今日のAMOR VIVOどう思った?」

市民B 「キレッキレの動きしてた娘がいたな」

市民A 「俺も気付いた。気の強そうな娘だが、あの刺すような視線がたまらん」

市民B 「きっとベール被ってた娘と入れ替えで新規加入したんだろう。前居た娘は気の毒だが」

市民A 「そこは弱肉強食なんだろ。踊り娘の世界も大変だ」



356 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/26(月) 22:24:04.64 ID:rpX2hfZ70
セルギアヌス 「密偵の報告ではウミ・ソノダは復活を果たしたとのことです」

アッティリアヌス 「これではウミに揺さぶりをかける案は白紙ですな」

アッティリアヌス 「連中は普段ティヴォリに居るし、移動時や男風呂で歌う際も護衛が付いている。迂闊に手が出せん」

アッティリアヌス 「式典まで日が無いというのに……」

セルギアヌス 「いや、むしろここ最近あの者達に手が出せなかったのは好都合かもしれませぬ」

アッティリアヌス 「どういうことですか、セルギアヌス殿?」

セルギアヌス 「今頃連中は油断している筈です。式典当日自分達の催物の番まで何もなければ妨害は無いだろうと」

セルギアヌス 「その裏をかきましょう」



357 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/26(月) 23:01:20.49 ID:rpX2hfZ70
穂乃果 (覚醒した海未ちゃんがオ◯◯チンに初勝利した日、別荘に戻ってから皆でお祝いした)

穂乃果 (ワールドカップで南アフリカに勝ったラグビー日本代表のように海未ちゃんは讃えられた。これまでの海未ちゃんの苦悩を皆知っていたからだ)

穂乃果 (この記念すべき勝利はμ's改め私達MUSAIの結束をより強くし式典へのモチベーションを上げた)

穂乃果 (それから幾日か過ぎ、今私達は式典のリハーサルの為にコロッセオに訪れている)

穂乃果 (いよいよ明後日……)

花陽 「外からは何度か見たことあるけど中に入るのは初めてだよ、凛ちゃん」

凛 「うん、今日と明日がリハーサルで明後日が本番かぁ……」

花陽 「……凛ちゃん、絶対ライブ成功させようね」

凛 「うん!」

さつき 「入り口はこっちよ。さあ、入りましょう」



358 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/27(火) 00:15:11.83 ID:YlQDy+h80
穂乃果 「うわぁー凄い、凄いよ!」

絵里 「これがコロッセオ内部……。ハラショー……」

海未 (穂乃果がはしゃぐのも無理はありません。ラブライブの最終予選会場が小さく感じます)

ことり (初ライブは学校の講堂だったのがここまでになるなんて)

にこ 「フン、にこにとっては来るべき時が来たって感じね。日本に居た場合よりもそれが少し早まっただけだわ」

希 (にこっち、足が震えてるよ)

真姫 (収容人数5万人のここが明後日満員になる。そして私達の命運が決まる)

凛 「何メートル位あるのかな?」

さつき 「高さ約50メートル、外周527メートルよ」

花陽 (暗記してるんだ)

絵里 「アーチ式構造で建物を支えているのは分かりますがこの時代に造られた建物が21世紀までよく原型を保ちましたね」

さつき 「この時代に使われたローマンコンクリートの賜物ね」

穂乃果 「ほら、見て見て! 真ん中にプールがある!」

さつき 「ええ、あれがあなた達のステージ」

さつき 「そしてルシウスの造ったテルマエよ」



360 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/27(火) 21:07:44.94 ID:YlQDy+h80
凛 「ここお水出てるよ」

さつき 「こういった水飲み場がコロッセオ内部に100箇所以上あるのよ」

希 「ここら辺地上から結構高さがあるのに水が上がって来るんやね」

穂乃果 「ゴク、ゴク、ゴク、……フゥ、生き返った……。喉乾いてたから助かったよ」



362 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/27(火) 21:31:46.43 ID:YlQDy+h80
海未 「あのプールがあった場所が地面ではなかったのですね」

さつき 「ええ、この地下の区画が舞台裏で控え室や倉庫も兼ねているの」

凛 「なんか動物園みたいな臭いするよ」

ライオン 「ガルルル……」

絵里 「キャアッ!?」

希 「えりち!?」

絵里 「ライオン!?」

にこ 「ライオンだけじゃない! カバや……ワニもいるわ」

希 「こっちはダチョウや。……みんな一頭から数頭ずつ檻に入れられとる……」

真姫 「そりゃ檻に入れとかないと逃げちゃうでしょう?」

希 「それはそうやけど」

花陽 (アルパカさんは居ないのかな?)

穂乃果 「分かった! 式典で動物のサーカスやるんだよ。穂乃果、世界史の授業で習ったよ。ローマ皇帝は『パンとサーカス』を市民に提供したって」

ことり 「穂乃果ちゃん、その『サーカス』ってのは催物一般を指す言葉で現代のサーカスとは意味合いが違うんだよ」

穂乃果 「そうだったんだ。じゃあこの動物達って……」

凛 「……まさか食べるの?」

にこ 「あんたの発想には負けるわ」

凛 「ガルルル!」

希 「かわええライオンさんやね」

海未 「猛獣狩り、ですね」

さつき 「そう、人間相手に殺し合いさせる為に集められたの」

花陽 「そんな、可哀想……」

真姫 「花陽、気持ちは分からなくもないけど今は動物の心配してる場合じゃないわ」

真姫 「下手したら私達も……」

花陽 「うん、分かってる……分かってるよ」

希 「えりち、顔色悪いよ。大丈夫?」

絵里 「ええ、大丈夫……」



363 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/27(火) 21:44:15.45 ID:YlQDy+h80
キュラキュラキュラキュラ
カタカタカタカタ

希 「ステージに上がる為の人力エレベーターなんてよう造ったねぇ。しかもウチら10人いっぺんに乗れるんよ。ロープ巻き上げる奴隷さん達は大変そうやけど」

希 「さっきの水飲み場といいアナログでここまでやるって凄いわあ」

さつき 「そうね、このエレベーターを使えば地面から迫り上がるように登場出来るのよ」

希 「まるで歌番組でアイドルがステージに登場する時みたいですねぇ……ってウチらアイドルやったわ」

希 「……」

希 (アカン、話を合わせてくれるさつきさん以外誰も喋らんようになった……)



364 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/27(火) 22:11:22.33 ID:YlQDy+h80
さつき 「ルシウス、助かったわ」

ルシウス 「助かったって?」

さつき 「このテルマエに入る直前……あの子達、落ち込んでたの。でもあなたが造ったテルマエでリハーサルしたら少し元気になったみたい」

さつき 「これまでのテルマエと比べて踊りやすいって」

ルシウス 「踊っていて転倒しないように浴槽の床を滑りにくくしている」

さつき 「そう……」

ルシウス 「そして事前に聞いた彼女達の要望を出来る限り取り込んだ」

ルシウス 「後は彼女達を信じよう」

さつき 「そうね」



366 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/31(土) 16:33:32.43 ID:vxNJOWfj0
さつき 「みんなリハーサルお疲れ様、はい」

海未 「先生、ありがとうございます。皆の分は私が――」

さつき 「タオルは私が皆に渡すから自分の体を拭きなさい」

海未 「分かりました」

凛 「凛も欲しい」

さつき 「どうぞ」

凛 「ありがとうございます」

花陽 「リハ2日目、問題無く終了です」

真姫 「泣いても笑っても明日が本番。明日のライブ、成功させるわよ」

にこ 「当ったり前でしょ」

穂乃果 「さつきさん、どうされたんですか?」

穂乃果 (さつきさん、今感慨深そうな表情してた)

さつき 「え? ああ、あなた達の姿が眩しく見えて」

穂乃果 「眩しい……ですか?」

さつき 「ええ、とっても」

にこ 「そりゃあこのスーパーアイドル矢澤にこにーが眩しく見えるのは当然のことよ」

絵里 「きっとプールの水面が日光を反射したのね」

にこ 「なっ!?」

海未 「第一、私達から先生が眩しく見えてもその逆は考えられません」

にこ 「何っ!?」

真姫 「さつきさん、過度な謙遜はかえって皮肉ですよ」

海未 「真姫!」

さつき 「いいえ、謙遜なんかじゃない。あなた達は私が手に入れられなかったものを今持っているわ」



367 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/31(土) 16:47:10.35 ID:vxNJOWfj0
ことり 「さつきさんが手に入れられなかったものですか?」

さつき 「ええ、青春時代に同世代の仲間と一緒に同じ目標を力を合わせて叶えるという経験」

ことり 「さつきさんは部活や生徒会には入らなかったんですか?」

さつき 「部活は入ってたわ。私、高校生の時に部を創設したの」

花陽 「どんな部を創部されたんですか?」

絵里 (想像はつくけど)

さつき 「『古代ローマ研究会』って名前の部で活動内容は……名前そのままよ」

希 (意外性も何もないなあ……)



368 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/31(土) 16:59:42.43 ID:vxNJOWfj0
にこ (部活しても今の私達みたいになれなかったということは……)

さつき 「高校3年間の部活動の殆どが顧問の先生一人と私一人での活動だった。一人だけ入部希望者が居たけど私のせいですぐに辞めたわ」

真姫 「何があったんですか?」

にこ 「そこはスルーしなさい」

真姫 「えっ?」

にこ 「誰にだって触れられたくない過去はあるのよ」

さつき 「そこまで気を使わなくていいのよ、昔のことだし」

にこ 「いいえ、さつきさん。皆まで言うことなんてないんです。真姫、分かったわね」

真姫 「……分かったわよ」

にこ (きっと方向性の違いで辞めていったのね。去年や一昨年のアイドル研と同じ)

さつき (入部した男子に告白されてフッたのが原因なんだけど敢えて話すことも無いわね……)



369 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/31(土) 17:20:03.81 ID:vxNJOWfj0
さつき 「今のあなた達が置かれてる状況にはかける言葉もないし、その責任が私やルシウスにあることは本当に申し訳なく思っている。ただあなた達みたいな青春を送りたかったと思ったのよ」

凛 「さつきさんに羨ましがられるなんて凛達イイ女だね」

穂乃果 「さつきさん、今からでもμ 'sに入りませんか?」

さつき 「フフッ、大人をからかうもんじゃないわよ」

海未 「二人とも調子に乘るんじゃありません!」

希 「それに今はMUSAEよ」

穂乃果 「もー面倒くさい! μ'sのままで良かったのに」

にこ 「駄目よ。現地受けする為にラテン語にしたんだから。その為にラブライブもAMOR VIVOに言い換えたんだし」

海未 「歌は日本語で歌うとしてもせめて名前はラテン語にすると皆で決めたでしょう。今更我儘は無しですよ、穂乃果」

穂乃果 「はぁい」

穂乃果 (明日の記念式典でのライブで全てが決まる)

穂乃果 (絶対にライブを成功させるんだ!)



371 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 16:34:55.17 ID:diN5WKrE0
希 「立派なステージやね」

花陽 「はい、プールの大きさは長さ15メートル、幅18メートルの楕円形。一番広い部分は9人横並びに展開出来ます」

ことり 「プールだけじゃなくて支柱や彫刻も配置してるよ」

絵里 「よく考えたらこれまで既存のプールやお風呂で踊ったことはあっても私達のライブの為にプールが造られることはなかったわ」

穂乃果 「ルシウスさんがその気になれば会場全部プールに出来そうだけどね」

海未 「流石にそれは無理があるのでは」

さつき 「可能よ」

凛 「本当!?」

花陽 「ルシウスさんがそう言ってたんですか?」

さつき 「ルシウスが出来るというより元々このコロッセオに備わっている設備よ。地上の構造体や人力エレベーター諸々の設備を取り払ってから市内の水道を利用してコロッセオ全体を水で満たすの」

さつき 「そうすればここはオリンピックで使用するプール50杯分の水を湛えた巨大プールになるわ」

凛 「凄い」

希 「そういうところで泳いでみたいわぁ」

真姫 「何の為にそんな設備を?」

さつき 「軍船を実際に浮かべて……模擬海戦をするの……」

花陽 「それってやっぱり……」

さつき 「ええ、どちらかが全滅するまで戦うの……。ごめんなさい、今する話じゃなかったわね」

穂乃果 「気にしないで下さい、さつきさん」

穂乃果 「私達、絶対ライブを成功させますから!」



372 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 16:45:34.29 ID:diN5WKrE0
花陽 (コロッセオ地下の控え室に来たけど……)

ことり 「武器を持った人達が大勢いる」

絵里 「出番待ちの剣闘士ね」

凛 「武器は持って無くても凛達も同じ立場なんだね」

海未 「私達の武器は歌とダンスです」

にこ 「そうよ、これまでの練習で培ってきたものこそ私達の武器よ。後はそれを出し切るだけ」



373 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 16:58:36.35 ID:diN5WKrE0
真姫 「花陽、もうジタバタしても始まらないわよ」

花陽 「うん、分かってるんだけど……。真姫ちゃんは凄いね」

真姫 「いきなり何?」

花陽 「今だって落ち着いてるし、これまでだって楽団担当の奴隷さん達相手に音合わせして」

真姫 「あれはさつきさんが通訳してくれたから出来ただけよ。それに相手は奴隷だから基本こっちの言うこと聞くし。形の上では私達ルシウスさん直下のスタッフ兼キャストだから」

真姫 (それに怖いのは私だって一緒よ……)

ことり 「ルシウスさんってやっぱり凄いんだね」

海未 「何と言っても先生が見初めた方ですから」

さつき 「そろそろスタンバイよ。皆がステージに上がったら私とルシウスは観客席に移動して、そこでライブの成功を祈ってるわ」

さつき 「頑張って」

μ's一同 「はい!」

ルシウス (元老院が剣闘士の中に暗殺者を紛れ込ませることを警戒してここまで彼女達に護衛を付けてきたが、どうやら杞憂だったようだ)



374 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/02(月) 17:19:05.30 ID:diN5WKrE0
穂乃果 「みんな行くよ」

ルシウス (平たい顔族の娘達が円陣を組んだ。その姿はまるで小さなコロッセオだ。だがこの小さなコロッセオがこれから巨大なコロッセオを舞台にその真価を発揮する)

ルシウス (全てのローマ人に告ぐ。この世界には我らローマ人に比肩しうる、いやそれ以上のテルマエ文化を築いた民族が居ると)

ルシウス (そして私は誇りに思う。私が最初に平たい顔族に出会ったローマ人であることを)

ルシウス (我が妻もその優れた民族の一人であることを)

ルシウス (間もなく私がローマ人と平たい顔族の両方の血を引いた子供の父親となることを)

ルシウス (MUSAEの娘達よ、お前達が妻の同族ならばここに集まったローマ人達を唸らせてみせろ)

ルシウス (かつて平たい顔族のテルマエが私を唸らせた時のように)

穂乃果 「みんな、ここだけ今まで通りでお願い。せーの!」

μ's一同 「μ's、ミュージックスタート!」



376 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/03(火) 17:12:05.40 ID:ip3XPk7z0
アントニヌス・ピウス 「これがAMOR VIVO……」

マルクス・アウレリウス (彼女達の歌と踊りは一度テルマエで観たことがある。私が来ることは彼女達には告げないようにとルシウス技師に話した上での視察だった)

マルクス・アウレリウス (あの時はやや照れが感じられたが、今はこの大舞台を前に堂々たるものだ)

海未 (身体が軽い、このような気持ちで歌うのは初めて)

ことり (ステージに上がった直後は満員の会場に面食らったけどもう大丈夫)

絵里 (全員の息もピッタリ合ってる)

にこ (きっと以前のライブを観てくれたファンの皆ね。ノリのいい歓声も聞こえるわ)

希 (集中出来てる)

穂乃果 (これならいける、いけるよ!)

ことり (ここで反転して後ろ向きに……あれは?)

花陽 (人力エレベーターが動いてる?)

真姫 (昇降機に乘ってるのは……まさか!?)

絵里 (ことり達、急に止まった!?)

にこ (ちょっと何やってんのよあんた達!?)

花陽 「ライオン……」

凛 (ライオン?)

花陽 「後ろにライオンがいる!?」



377 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/03(火) 17:22:41.84 ID:ip3XPk7z0
にこ 「何でライオンが居るのよ!?」

真姫 「考えるのは後! 逃げるわよ!」

希 「アカン! 前もや!」

ことり (前方の昇降機からもライオンが登ってきた!)

海未 (挟まれた!?)



378 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/03(火) 17:32:26.63 ID:ip3XPk7z0
観客A 「演目はAMOR VIVOっていう歌と踊りの筈だが……」

観客B 「サプライズの猛獣ショーかよ!? 粋な演出じゃねえか」

観客C 「いいぞ! 殺せ!」

観客D 「止めろおおお、MUSAEを殺すな!」

観客D (以前テルマエで見てから今日のAMOR VIVO楽しみにしてたのに)

観客E 「殺せ! 殺せ!」



379 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/03(火) 17:46:01.10 ID:ip3XPk7z0
アッティリアヌス 「どうやら時間を間違えた奴隷が、猛獣ショーで使う猛獣を昇降機で上げてしまったようですな」

セルギアヌス 「まあこういった催物にハプニングはつき物ですぞ」

アッティリアヌス 「勿論です。このまま猛獣による公開処刑に移行しても構わないでしょう」

アッティリアヌス 「要は市民を満足させればいいのですから」

アッティリアヌス (ルシウス・モディストゥスよ、お前の目論見もこれで終わりだ)

セルギアヌス (蛮族の無惨な末路をその目に焼き付けて後悔するがいい)



383 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/05(木) 22:11:37.20 ID:W5sljTHN0
穂乃果 「皆、プールの中央に集まって!」

海未 「逃げないのですか?」

穂乃果 「今から逃げたって追い付かれる」

穂乃果 「ライオンは身体が濡れるのを嫌う。本で読んだことがあるの。急いで!」



384 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/05(木) 22:23:53.43 ID:W5sljTHN0
海未 (ライオンがプールサイドからこちらを窺ってます……)

真姫 (本当にプールに入って来ない……)

にこ (やるじゃない、穂乃果)

ライオン 「ガオゥッ!」

花陽 「ヒィッ!」

花陽 (怖い……)

凛 (凛、オ◯ッコ漏らした)

絵里 「グスッ……死にたくない」

希 (えりち……)

希 (プールの一番狭い部分が幅15メートル。全員が中央に集まれば一番外側の人間とライオンの距離は7メートル弱か)

希 (恐らくは餌抜きで空腹のライオンがいつしびれを切らすか)

希 (プールの水深は60センチ、ライオンが本気になれば入って来れる)

ことり 「穂乃果ちゃん?」

穂乃果 「大丈夫。ルシウスさんとさつきさんがきっと助けを呼んでる」

ことり 「気になったんだけど……ライオンは水が苦手って何の本に書いてあったの?」

穂乃果 「小さい頃読んだ絵本!」

海未 「何ですかそれは!?」

にこ 「ふざけんじゃないわよ! あんたの判断に賭けたのよ!」

希 「喧嘩しない! 結果的に助かってるのは穂乃果ちゃんのおかげ。後は穂乃果ちゃんの言う通り助けを待つよ」

凛 (標準語になってる……)



385 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/05(木) 22:47:43.40 ID:W5sljTHN0
アントニヌス・ピウス 「いかん! 踊り娘達を助けよ!」

マルクス・アウレリウス 「近衛隊長、近衛兵及び会場の衛兵に指示を出してライオンを排除、踊り娘達を救助して下さい」

近衛隊長 「ハッ、畏まりました。弓隊、前へ!」

さつき 「みんなあああっ! 矢が来るわよおおっ!」

観客達 「殺せ! 殺せ! 殺せ!」

一部の観客 「止めろおおお! MUSAEを助けろお!」

さつき 「駄目、ルシウス。会場の歓声や怒号が大きくてあの子達まで声が届かない!」

ルシウス (どうする、近くに石でも投げて注意を促すか? いや、仮に彼女達の注意をこちらに向けることが出来ても声が届かなければ意味が無い!)

ルシウス (矢文なんて書いてる暇は無い。身振り手振りでどこまで伝えられるか?)

ルシウス (最悪、私が囮になってライオンを……)

ルシウス (駄目だ! サツキを寡婦にするつもりか? それに私だって我が子の顔も見られずに死ぬのは……)

ルシウス (……)

ルシウス (本当にそれでいいのか?)



387 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/08(日) 19:47:41.66 ID:NuwacSXr0
ルシウス (私が平たい顔族の娘達を巻き込んだ)

ルシウス (それなのに私はあの娘達を見捨てるのか)

ルシウス (それはローマ人として正しい行いなのか)

ルシウス (いや、それ以前に人として正しいのか)

ルシウス (……)

ルシウス 「済まない。その槍と盾を貸してくれ」

衛兵 「何!?」

さつき 「待って!? ルシウス!」

マルクス 「馬鹿な真似はよせ!」

ルシウス 「私は彼女達を助けたい」

さつき 「それであなたに何かあったら私やお腹の子はどうなるの!?」

マルクス 「そうだ。それにお前が行くことはないだろ!?」

ルシウス 「私は……妻やこれから生まれる我が子にとって……」

ルシウス 「恥じることの無い夫であり父親でありたい!」



388 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/08(日) 19:58:32.83 ID:NuwacSXr0
さつき (ああ、そうだ……)

さつき (この人はそういう人だ)

さつき (質実剛健で、不器用な位実直で自分に厳しい)

さつき (そして私はこの人のそんなところに惹かれた)

さつき (今ここで掴んでいる彼の腕を離すことなく……)

さつき (『情けなくても卑怯でもいいから私の傍に居て』と言えればどんなにか楽だろう……)

さつき 「ルシウス、一つだけ約束して」

さつき 「必ず生きて帰って来るって」



389 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/08(日) 20:07:58.63 ID:NuwacSXr0
ルシウス 「ああ、約束する」

さつき 「ルシウス……」

マルクス 「こうなったら俺も付き合うぜ」

ルシウス 「マルクス!?」

マルクス 「心外だな。俺がお前に手を貸すのがそんなに意外か?」

ルシウス 「いや、そうではない。しかし……」

マルクス 「まあ、そう何でも一人で抱えこみなさんなって」

ルシウス 「済まない、ありがとうマルクス」



390 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/08(日) 20:49:38.30 ID:NuwacSXr0
ワァー、ワァー、コロセーッ!
コロセ! コロセ! コロセ!

花陽 「この会場の雰囲気……」

凛 「まるで凛達が襲われるのを楽しみにしてるみたいだよ」

ことり 「ひょっとしてライブに成功したら助けるって話は嘘なんじゃ?」

真姫 「ルシウスが私達を売ったってこと?」

海未 「あの二人がそんなことをする筈がありません!」

真姫 「そんなの分からないじゃない!」

海未 「あんな生真面目な人が……。第一、先生が私達を見捨てる筈がありません!」

真姫 「あの人だってきっと自分の家族が一番大事よ!」

真姫 「私だって……パパとママに会いたいもん……ウウ……」

真姫 「パパ……ママ……助けて……お願い……」

海未 「真姫……」

海未 (二人きりの時に先生は『家族か家族以外かの二者拓一を迫られたら家族を選ぶ』と仰った。でも私は先生を……先生が選んだ人を……)

海未 (信じます!)

穂乃果 「今そんなこと言い争ってもしょうがないよ。それに元老院がルシウスさん達を騙したかもしれない」

にこ 「そう考えるのが一番妥当ね」

絵里 「うわぁーん、エリチカ、おうちに帰る……」

希 「えりち、大丈夫、大丈夫だから」

希 (どうすればこの状況を打開出来るか……生きる為に考えるんだ!)



393 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/10(火) 22:43:55.69 ID:QRYr0TlC0
ワァー、ワァー、コロセーッ!

ワァー、ワァー……

ザワザワ……

シーン……

マルクス (静かになった? あれは!?)

さつき (貴賓席のマルクス・アウレリウスが立ち上がって両手を掲げている)

ルシウス (静粛にと民衆に訴えていらっしゃる……)

マルクス・アウレリウス 「皇帝はこれを望んでおられる!」

マルクス・アウレリウス (今です、サツキ殿)

さつき (ありがとう)

さつき 「みんなあああっ! そこに矢が降ってくるわああっ!」

さつき 「プールの底まで潜って、腹這いになりなさあああいっ!」

海未 「矢が!?」

穂乃果 「みんな潜って!」

ジャプン、ジャポン、ジャボン

ルシウス (全員がテルマエの水面から姿を消した)

さつき (矢が水中ではどの位勢いが減衰するかは分からないけど、水面から身体を出した状態よりはマシな筈)

さつき (お願い、あの子達には当たらないで!)

マルクス・アウレリウス 「近衛隊長、今です。ライオンに攻撃を」

近衛隊長 「ハッ、各弓兵は二頭のライオンのうち、自分に近い方を狙え! 弓隊、構え! ……」

近衛隊長 「放てえッ!」



394 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/10(火) 22:56:56.73 ID:QRYr0TlC0
ライオン 「ガォッ……」

ライオン 「グオォォ……」

ルシウス (結構な数の矢が刺さったがまだライオンは動いている)

近衛隊長 「弓隊、第二射、構え! ……放てえッ!」



395 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/10(火) 23:18:32.55 ID:QRYr0TlC0
穂乃果 「ぶぷあっ、ハァ、ハァ、ハァ」

ことり 「穂乃果ちゃん!」

穂乃果 「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」

真姫 「最後まで潜ってたのはあなたよ」

穂乃果 (ライオンは? みんなは?)

穂乃果 (居た! ライオン!)

ライオン 「グルル……ゼェ……ゼェ……」 

穂乃果 (もう、虫の息。ライオンが二頭とも沢山の矢が刺さって針山みたいになってる。可哀想だけど……)

海未 「穂乃果、希が……」

穂乃果 (海未ちゃん? その表情は……)

絵里 「希ッ!」

穂乃果 (今の声、絵里ちゃん! ……絵里ちゃんが希ちゃんを抱き抱えてる……)

希 「ヒュー……ヒュー……」

花陽 「希ちゃん……」

凛 「希ちゃん!」

穂乃果 (そんな……左胸に矢が刺さってる……)



398 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/12(木) 19:55:00.02 ID:XOqo39OO0
絵里 「希……しっかり……」

花陽 「……希ちゃんが死んじゃう」

絵里 「馬鹿なこと言わないで!」

花陽 「ヒィッ! ……ごめんなさい」

ことり 「ウ……、グスッ、希ちゃん……」

希 「そんな近くで……ヒュー……ヒュー……大声……出されたら……ヒュー……敵わんわぁ」

絵里 「希、きっとさつきさんが医者を呼んでくれてるわ。それまでの辛抱よ」

希 「ヒュー……ヒュー……その前にまだ……やらんといかんことがある……」

希 「ライブは……まだ終わっとらん」

絵里 「今は自分の心配しなさいよ! どうしてあなたはいつも……周りのことばかり……」

凛 「ウエエエン!」



399 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/12(木) 20:10:17.05 ID:XOqo39OO0
希 「えりち、……みんなの中で1番最後にウチが加入した時、ウグッ!」

絵里 「希!?」

希 「ズキッてきただけ……あの時、ヒュー……ヒュー……ウチが何て言ったか……覚えとる?」

絵里 「忘れる訳が無いわ。『ウチを入れて9人』」

希 「そう、ウチを入れて9人。グッ! 痛……なのにこんな大事な時に……仲間外れはないわぁ」

絵里 「私だって希と一緒に歌いたいわよ!」

絵里 「でも、今は一刻も早く手当てするのが先よ! ライブが出来たってその後に万が一のことがあったら何にもならないじゃない!」

希 「これをラストライブにせんように」

希 「ウチは歌いたい」

希 「えりちと……μ'sのみんなと……ヒュー……ヒュー……」

希 「これからも……歌い続ける為に……」



400 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/12(木) 20:22:49.69 ID:XOqo39OO0
希 「3年生が音木坂……ヒュー……ヒュー……卒業したら……μ'sはお終い。穂乃果ちゃん達下級生で、イッ! ……そう決めた」

絵里 「ええ、そうよ。私達3年生が卒業したらもうμ'sとは言えないって嬉しいこと言ってくれて……グスッ……」

希 「今なら思える。……9人でこの世界に来たのは……ヒュー……ヒュー……もう暫くの間μ's続けていいっていう……歌の女神様の思し召しだって」

希 「だったら……これからもきっと……9人でいられる」

希 「少なくとも……この世界にいる間は……」



402 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 20:48:34.24 ID:TrLXvCdT0
にこ 「希はプールサイドに寝かせてライブ続行するわよ」

にこ 「会場のみんなをあんまり待たせられないわ」

絵里 「あなた、この状況でよくそんなこと言えるわね……」

にこ 「さっきべソかいてた時とは別人ね」

にこ 「絵里、今のあんた、ライオンでも殺せそうな面構えだわ」

穂乃果 「待って! 喧嘩してる場合じゃないよ!」

希 「ウチはやるよ……肩貸して」

絵里 「希……」

海未 「私もにこに同意です」

絵里 「海未!?」

海未 「にこだってああ言ってますが本当は辛いんです」

海未 「通常のライブならここで中止も考えますが今回ばかりはそうもいきません」



403 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 21:30:24.04 ID:TrLXvCdT0
海未 (思えば色んなことがありました……)





海未 「プールで踊るということは水着になるということですか?」

穂乃果 「うん、そうだね」

海未 「無理無理無理絶対無理です!」

ことり 「大丈夫だよ、海未ちゃん」




海未 「私達は廃校を阻止する為にプールアイドルを始めたんです!」

にこ 「プールアイドル? フン、下らないわ」

にこ 「にこが目指す正統派アイドルってのは可愛らしさと歌とダンスで勝負するものよ」

にこ 「水着前提ならグラビアに行けばいいじゃない」

にこ 「プールアイドルなんて不完全なパフォーマンスと不完全なグラビアの集合体に過ぎないの。分かる? 半端者の集まりよ」





絵里 「私に言わせれば最も実力があるとされるA-RISEですら素人にしか見えない」

海未 「あなたに……あなたにそんなこと言われたくありません!」





海未 「この動画は……?」

希 「これはえりちがシンクロやってた頃の動画。日本に来る前はウラジオストック代表にも選ばれとるんよ。当然オリンピックも目指しとった」

海未 「今は続けてないんですよね。どうしてですか?」

希 「コーチからドーピングを強要されてえりちはそれを拒んだ。そのせいでレギュラーから外された」

海未 「酷い……あんまりです! 生徒会長は何も悪くないじゃないですか!?」

希 「そうやね。世界は残酷だということを知るにはえりちは純粋過ぎた」

希 「きっとあんた達にも同じ思いをさせとうないんやろな」

海未 「傷が深くなる前に手を引けということですか?」





海未 (各々の考えの違いから衝突しながらも私達は一つになれた……)



404 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 22:00:41.02 ID:TrLXvCdT0
さつき 「みんな!」

海未 「!」

さつき 「お医者さん連れて来たわ!」

海未 「先生! ルシウスさん!」

ルシウス 「大丈夫か!?」

ルシウス (客席から状況が見えていたから医者を連れて来たが、ノゾミの容態が気になる)



405 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/15(日) 22:15:24.81 ID:TrLXvCdT0
マルクス 「円陣組んでるな」

ルシウス 「ああ」

ルシウス (医者に診て貰ってる間、ノゾミの肌が客席から見えないようにとのことだろう)

マルクス 「6、7、……8人で組んでるということは中に3人、怪我した娘とお前のカミさん、それに医者か」

ルシウス 「マルクス、あまり向こうを見ないでやってくれ」

マルクス 「お、おう」



407 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/16(月) 20:30:42.83 ID:jrNDznCJ0
医者 「幸い急所は外れている。胸に刺さったといっても内蔵はおろか肋骨にも届いとらん」

さつき (少しホッとしたわ)

医者 「但し、本格的な手当てをするなら以降歌も踊りも中止だ。傷が治るまではな」

さつき 「分かりました」

さつき (これを通訳しないと)



408 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/16(月) 20:47:14.00 ID:jrNDznCJ0
希 「このまま歌います」

絵里 「ちょっと、手当ては!?」

希 「ダンス無しで歌うだけなら……何とかなるやろ。……手当てはライブの後に」

真姫 「何言ってるのよ! 21世紀ならともかくこの時代なら破傷風で死ぬことだってあるのよ! すぐ手当てよ!」

さつき 「真姫ちゃん、歌わせてあげて」

真姫 「さつきさん!?」

さつき 「途中のアクシデントで時間が押してるの。歌えるのは後一曲」

真姫 「!」

希 「ならなおさら歌わん訳にはイカンね」

海未 「ここまで決して平坦な道のりではありませんでした。それでも私達9人は先生やルシウスさんの力を借りながらここまでやってきたんです」

海未 「この私達の命運を決めるライブこそ9人で、全員で臨みましょう」

穂乃果 「絵里ちゃん、真姫ちゃん、希ちゃんの願いを叶えよう」

絵里 「あなた達、自分が生き残りたいからって……」

穂乃果 「生き残りたいよ、全員で」

穂乃果 「途中から一人欠けたって言われて元老院に駄目出しされる訳にいかない」

穂乃果 「でもそれ以上に、最後まで一緒に歌えなかった悔しさやみんなに謝っても謝りきれない気持ちは……私分かるから」

ことり 「穂乃果ちゃん……」

穂乃果 「希ちゃんの場合、本人に何の責任も無いけど、それでも一緒に歌えないのはきっと辛いよ」

穂乃果 「私達の夢『みんなで叶える物語』の集大成としてμ'sの誰一人欠けることなくみんなで歌おう」

穂乃果 「歌は時空を超えて人と人を繋げるんだって会場のみんなに伝えよう」

絵里 「そうね……あなたの言う通りだわ。私は希の意思を尊重する」

真姫 「分かったわよ……」

花陽 「もう一曲頑張ろうね、希ちゃん」

希 「ありがとう」

穂乃果 「さあ、行くよ。私達の全てを出し切ろう!」

さつき 「あなた達の意思をお医者さんに伝えるわ」

さつき 「精一杯歌いなさい」



409 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/16(月) 21:05:46.82 ID:jrNDznCJ0
観客 「MUSAE! MUSAE! MUSAE! MUSAE!」

観客A (マジかよ……あの少女、胸に矢が刺さったまま歌いきった……)

観客B (なんて娘だ……)

観客C (さっきまでこの娘達がライオンに喰われるのを期待していた自分が恥ずかしい)

観客D (最後の曲は『NIX HALOS』だった。ここで聞けるとは……)

希 (みんなありがとう)

希 (季節外れの『Snow halation』、会場のみんなに届いたみたいやね)

穂乃果 「凄い……」

穂乃果 (何万もの人達が口々にラテン語の私達の名前を呼んでいる)

花陽 「本当の大歓声ってこうやって空から……シャワーみたいに降ってくるんだ……」

凛 「かよちん泣いてるにゃ」

真姫 「あなたもでしょ、凛」

花陽 「真姫ちゃんだって泣いてるよ」

ザワザワ……

シーン……

ことり (貴賓席の皇帝が立ち上がった)

さつき 「みんな、皇帝の方を向いて跪いて! 私と同じ姿勢を取ればいいわ」

穂乃果 (皇帝は私達のライブを観てどう思ったんだろう?)



412 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/18(水) 19:04:45.55 ID:WP2GQz/q0
アントニヌス・ピウス 「素晴らしい歌と踊りではないか」

アントニヌス・ピウス 「そして9人全員で最後までよく頑張った」

アントニヌス・ピウス 「MUSAEの乙女達よ、そして彼女達を束ねたモディストゥス夫妻よ、大儀であった」

アントニヌス・ピウス 「そして皇帝の名において改めてその方達に命ずる」

アントニヌス・ピウス 「テルマエと歌と踊りをもってローマの、いや……世界の民を癒やし続けよ」

アントニヌス・ピウス 「そしてこれがAMOR VIVOというのなら……」

アントニヌス・ピウス 「余はAMOR VIVOを愛する者、AMOR VIVORになろう!」

観客 「ワアアアアッ!」

観客 「新皇帝、万歳! 新皇帝、万歳! 新皇帝、万歳!」



413 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/18(水) 19:15:36.82 ID:eo2b9g6gO
ラブライバー誕生の瞬間である



414 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/18(水) 19:15:46.01 ID:WP2GQz/q0
ルシウス 「勿体無きお言葉!」

真姫 (この大歓声……会場が一体化してる)

ことり 「これって認めて貰えたのかな……?」

凛 「きっと大丈夫だよ!」

さつき 「みんな!」

穂乃果 「さつきさん!」

さつき 「あなた達を讃えた皇帝に観客が賛同したわ」

さつき 「ライブは……成功よ!」

海未 「ウ、ウウ……先生……ウワアアン!」

さつき 「よく頑張ったわね……グスッ……」

ことり 「穂乃果ちゃん!」

穂乃果 「ことりちゃん、ウエエエン!」

にこ 「一時はどうなることかと思ったわ……」

真姫 「にこちゃん!」

にこ 「真姫!? いきなり抱きつく!?」

真姫 「怖かった……怖かったの……ウウウ……」

凛 「かよちん、凛達助かったんだよ……」

花陽 「うん……グスッ……夢みたい……」

凛 「夢じゃないよ!」

絵里 「希……私達……」

ガクッ バタリ

絵里 (跪いていた希がスローモーションのようにゆっくりと倒れ、地面に横たわった)

絵里 「希?」

絵里 (そんな……)



415 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/01/18(水) 19:20:37.13 ID:zLG2zR7JO
衛生兵ーーー!



416 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/18(水) 19:27:04.78 ID:WP2GQz/q0
凛 (槍を持った兵隊さんが来た)

衛兵A 「こりゃあもう死ぬな」

衛兵B 「いずれにせよ陛下のご命令だから俺達は殺るだけだ」

衛兵A 「むやみに苦しませるよりも速やかにトドメを刺せか。皇帝も慈悲深いお方だ」

花陽 (何をするの……まさか!?)

衛兵AとB 「せーの!」

ブスリッ

花陽 「イヤアアアアアッ!」



419 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/20(金) 19:21:43.29 ID:TRLY6eO70
花陽 「今にして思えば……もっと早く出会ってたら希ちゃんと姉妹みたいになれたのかな」

絵里 「ここで眠っている希が聞いたらきっと喜ぶでしょうね」

ことり 「希ちゃんは、2年生が3人でプールアイドルを始めた頃から私達を気にかけてくれた」

海未 「一歩引いたところから私達を暖かく見守っている、そんな人です」

真姫 「合宿の時、人付き合いが苦手な私が人の輪に入れるよう、積極的に話かけてくれたわ。……こんな生意気な一年生に……」

凛 「しっかり物のお姉さんで、それでいて茶目っ気のあるところは遥か年下の女の子みたいな」

にこ 「あんたの人懐っこさが正直羨ましかったわ」

穂乃果 「コロッセオのライブで矢が刺さったまま最後まで歌い続けた希ちゃん、立派だったよ」

さつき 「なかなか出来ることじゃないわ」

絵里 「希、私は気付くのが遅かった」

絵里 「あなたが誰よりも勇敢だということを」






希 「そんなベタ褒めされたらかえって嫌やわぁ」

希 「まるでウチが死んだみたいやん」



420 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/20(金) 19:32:11.18 ID:TRLY6eO70
絵里 「あら、起きたの?」

希 「病室にこんなにぎょうさん集まって会話されたら目が覚めるよ」

さつき 「ごめんなさいね」

にこ 「昨日は大変だったわ」

にこ 「倒れた希を見て取り乱す絵里に、兵士が傷ついたライオンに槍でトドメを刺すところを見て泣き叫ぶ花陽」

にこ 「ライブ成功から一転して修羅場よ」

花陽 「私、あの時凄くショックで……」

凛 「かよちんあの後ライオンに向かってお祈りしてたね」

花陽 「うん。食べる為に命を頂くのは仕方ないけど、殺し合いを見世物にするなんて間違ってる」

花陽 「私達だって怖かったけどライオン達だってきっと人間が怖かったと思うよ」

花陽 「人間に捕まって檻に閉じ込められて、きっと餌も満足に与えられずにお腹空かせて……。だから、せめて安らかに眠って欲しいって」

絵里 「そんなことがあったなんて知らなかったわ。私、希のことで頭がいっぱいで……」

花陽 「勿論希ちゃんのことも心配だったよ」

花陽 「さっき私が言ったことは本当だから」

希 「ありがとう、花陽ちゃん」



421 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/20(金) 19:47:50.38 ID:TRLY6eO70
さつき 「起きたところ早速で悪いけど、しばらくしたらここにお客様が来るわ。希ちゃんのお見舞いとあなた達全員を労う為に」

希 「ウチのお見舞いって……もしかしてファンのみんなですか?」

さつき 「いいえ。皇帝の宮殿に簡単に一般人は入れないわ。ここに来るのはマルクス・アウレリウス。皇帝の名代としての訪問ですって」

ルシウス (ライブの後、コロッセオの控え室で応急処置を受けたノゾミはその後馬車で皇帝の宮殿に運ばれ、皇帝お抱えの医師の手当てを受けた。そしてそのまま我々は皇帝の宮殿で一夜を明かした)

ルシウス (昨日のライブからまだ一日しか立ってない。でもきっとこれからこの娘達を取り巻く世界は大きく変わっていくだろう)



424 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/22(日) 19:55:24.64 ID:a3iBag6/0
《以降のやりとりはサツキの通訳が間に入っているが、一部を除き通訳の過程は省略する》

穂乃果 (この人がマルクス・アウレリウス……)

絵里 (目の前にローマ五賢帝の一人がいるなんて……)

ことり (年は私達と同じ位かな)

真姫 (次期皇帝候補って言ってもちょっとハンサムな只の男の子じゃない)

ルシウス 「マルクス・アウレリウス様、病室までお越し頂きありがとうございます」

ルシウス 「怪我人が一名伏せておりますが何卒ご容赦を」

マルクス・アウレリウス 「気にしないで下さいルシウス技師。そして……」

マルクス・アウレリウス 「ルシウス技師、サツキ殿、MUSAEの皆さん、はからずもあなた方に辛い思いをさせました。帝国を代表してお詫びします」

ルシウス一同 (!?)

ルシウス 「マルクス様!? マルクス様は何も悪くありません。陛下もマルクス・アウレリウス様も我々の為に力を貸して下さったではありませんか!」

マルクス・アウレリウス 「元を辿れば昨日の式典での皆さんの催物は私の依頼によるもの。それが今回の事態を招きました。どうか許して頂きたい」

マルクス・アウレリウス 「そして困難を乗り込え、新皇帝就任記念式典にて素晴らしい催物を披露されたあなた方に感謝します。義父も喜んでおりました」

ルシウス 「有り難き幸せ……」

にこ (ズルいわよ)

にこ (文句の一つも言ってやりたかったけどこれじゃ怒るに怒れないじゃない……)

マルクス・アウレリウス 「喜ぶのはまだ早いですよ、ルシウス技師」

ルシウス 「?」

ルシウス 「恐れながらそれはどういう意味でしょうか?」

マルクス・アウレリウス 「皆さんに見て欲しいものがあります」



425 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/22(日) 20:04:28.48 ID:a3iBag6/0
凛 (奴隷さん達が何か持って来た……あれは……瓦礫?)

真姫 (何なの、あのゴミは?)

マルクス・アウレリウス 「サツキ殿、この陶器の欠片に彫られた文字を彼女達に読んで聞かせて下さい」

さつき 「分かりました」



426 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/22(日) 20:20:12.79 ID:a3iBag6/0
さつき 「読みます」



・今日聞いたNIX HALOS、一生忘れません。

・怪我した子が早く元気になりますように。

・痛みに耐えてよく頑張った。感動した!

・全ローマが泣いた。

・ローマ中の人間に言いたい。『MUSAE』の名を覚えよ。

・皇帝だけでなく僕も今日からAMOR VIVORです。

・エリ、同じゲルマン人として貴方を誇りに思う。



穂乃果 「これって……」

マルクス・アウレリウス 「式典で皆さんのAMOR VIVOを観た人々が彫ったものです。文盲に近い者は名前だけ彫っています。ここにあるのはほんの一部でパピルスに書かれた物もあります」

穂乃果 (この時代に来る前、神社に初詣に行った時に、沢山の絵馬が掛けられていたのを思い出す)

穂乃果 (みんなの想いが、願いが、伝わって来る)

穂乃果 (ありがとう、みんなの想い受け取ったよ)

穂乃果 「みんな!」

ことり 「穂乃果ちゃん?」

海未 「穂乃果?」

穂乃果「分かったよ。ここでも出来るって!」

花陽 「出来るって……何が?」

穂乃果 「みんなで叶える物語!」



428 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/24(火) 23:06:21.38 ID:eH0GD6750
穂乃果 「この世界に来てから、ファンのみんなの想いを、気持ちを聞くことが出来なかった」

穂乃果 「ネットやメールも無いし、そもそもこの時代の言葉が分からないからどうしようもないと思ってたけど……そんなことない!」

穂乃果 「これでライブを観てくれたみんなの気持ちを知ることが出来るって分かったんだ」

穂乃果 「これからはみんなの願いを、想いを受け取めて、それを出来るところから反映させたアイドル活動をしていこう。ね、みんな?」

絵里 「そうね、以前穂乃果と二人で話した時に『ファンのみんなのことはあまり考えてなかった』って話をしたわ。それなのに私ったら……」

絵里 「特にここ最近はライブを成功させようって思いばかりでファンのみんなへの意識が無かった」

絵里 「これからはファンのみんなのことも考えていきましょう。音楽やダンスは民族や時代を超えて人を繋げることが、改めて分かったから」

花陽 「そうだよね、沢山の人達が私達のライブを喜んでくれたんだもんね……グスッ……」

凛 「相変わらずかよちん泣き虫だね」

にこ 「……フン、みんな気付くのが遅いわよ」

穂乃果 「胸のつかえが取れた気持ちです。ありがとうございます、マルクス様!」

マルクス・アウレリウス 「喜んで貰えて何よりです」

マルクス・アウレリウス 「皆さんとAMOR VIVORが触れ合える場を考えていきましょう。私もAMOR VIVORの一人として協力します」

真姫 (嘘? もうマルクス・アウレリウスと打ち解けてる!?)

ことり (これが穂乃果ちゃんの凄いところだね)



429 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/24(火) 23:18:20.35 ID:eH0GD6750
海未 「せっかく盛り上がっているところ水を差してしまいますが、一つお聞きしてもいいでしょうか?」

マルクス・アウレリウス 「いいですよ」

海未 「皇帝陛下は私達のライブを賞賛されました。私達もライブは成功したと思っています。これで元老院は手を引いてくれるのでしょうか?」

マルクス・アウレリウス 「引きます。皇帝たる我が義父が元老院に対してこれまで弱腰だったのは、昨日までの帝国内でのあなた方の立場の問題です」

マルクス・アウレリウス 「長年帝国内にて皇帝に次ぐ国の要にあった元老院とあなた方を比べれば、義父上としても元老院に重きを置かざるを得ません」

マルクス・アウレリウス 「義父上も私も周囲が納得する理由が出来るまでは表立ってあなた方を擁護出来なかったのです」

ことり 「私達が『パンとサーカス』の代わりになれることがその理由だったんですね」

マルクス・アウレリウス 「そうです。国益になるから今後もAMOR VIVOを続けるようにと勅命を下した、という建前が必要でした」

真姫 「何よそれ? 皇帝は建前で私達のファン宣言したの?」

さつき (この子の言葉は敬語込みで訳さないと)

マルクス・アウレリウス 「いいえ。義父上はあなた達の歌と踊りを気に入ってます」

穂乃果 「ありがとうございます!」

海未 「ありがとうございます」

マルクス・アウレリウス 「話を戻します。もし今後元老院があなた達の活動を妨害したりあなた達に危害を加えるならば、それは義父上があなた達に出した勅命を元老院が蔑ろにしたことになります」

マルクス・アウレリウス 「それに皇帝だけでなく今や多くの市民を味方につけた歌姫達を無理に排除すれば元老院は敵を増やしてしまう」

マルクス・アウレリウス 「それでも元老院が何か企むようなら私もAMOR VIVORとして黙っていませんが、最早元老院はあなた達に手出ししないでしょう」



430 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/24(火) 23:32:39.40 ID:eH0GD6750
ルシウス 「サツキ」

さつき 「ルシウス、これでひと安心ね」

ルシウス 「ああ……良かった」

マルクス・アウレリウス 「そちらの方、傷は痛みますか?」

希 「?」

マルクス・アウレリウス 「もう少し皆さんと話したいところですが公務が立て混んでいるのでそろそろお暇します。日を改めて皆さんと再会しましょう、お大事に」

希 「お気遣いありがとうございます。私は大丈夫です。そして皇帝侍医の先生から治療を受けられるよう図って頂きありがとうございます」

穂乃果 「希ちゃんが普通に標準語で話してるよ……」

海未 「穂乃果、会話に割って入ってはいけません」

希 「ご心配でしたら手術の跡をお見せします」

絵里 「希!? 怪我の場所が場所なんだから」

さつき 「希ちゃん、今のは訳さないわよ」



432 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/26(木) 22:24:30.88 ID:n5/+Ve8f0
マルクス・アウレリウス 「それからルシウス技師」

ルシウス (?)

マルクス・アウレリウス 「これだけは言わせて下さい」

マルクス・アウレリウス 「あなたは元老院の問いに対し有言実行を成したのです」

マルクス・アウレリウス 「彼女達の歌と踊りが『パンとサーカス』の代わりに成り得ることを証明したのです」

マルクス・アウレリウス 「それだけではありません。人種や民族を超えて人は分かりあえる。私は昨日、その可能性を感じました」

マルクス・アウレリウス 「あなたの慧眼と熱意がローマに変革をもたらすきっかけとなったのです。素晴らしい」

ルシウス 「いえ、自分一人の力では……」

ルシウス 「昨日の催物が成功したのは陛下とマルクス・アウレリウス様のお力添えと、我が妻や友の支えと、MUSAEの娘達の頑張りと……」

ルシウス 「湯の力です!」

マルクス・アウレリウス 「相変わらず謙虚ですね。そこがルシウス技師が先帝に重用された一因かも知れません」

マルクス・アウレリウス 「これから忙しくなると思いますが皆さんよろしくお願いします。我々が手を取り合えば帝国はAMOR VIVORの理想郷となるでしょう」



433 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/26(木) 22:42:45.62 ID:n5/+Ve8f0
神でも
自然でも
為政者でもない
新たなる崇拝の対象の降臨

こうして9人のうら若き乙女達は
人類史上初のアイドルユニットとして
活動を続けることとなった



434 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/26(木) 23:04:21.94 ID:n5/+Ve8f0
希 「おおきに、にこっち」

にこ 「あんた怪我人なんだから気にせず安静にしてなさい。それにあんたの看病はμ'sの皆で交代でやってるから全然負担にならないわ」

にこ 「むしろ家に居たら家事があるから宮殿の中であんたの相手してる方が楽なのよ」

希 「元気になったら家事頑張るわ」

にこ 「その必要は無いわ、多分」

希 「……それってどういう意味なん?」

にこ 「まだ誰も雇ってないけど……この前のライブ以降、奴隷希望者が殺到してるのよ」



437 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/28(土) 22:30:11.26 ID:GYisg4da0
希 「応募者が多いのはありがたいけど迂闊に雇えんね」

にこ 「そこは同意だわ。ヘタに雇ったら夜這いかけられるわよ」

希 「それに応募者に元老院の息がかかってる人間がおったら……」

にこ 「そっちの心配?」

希 「疑いだしたらキリ無いのは自分でも分かっとるけど……。ただ元老院がウチらのこと諦めたかはまだ分からんよ」

にこ 「まあね。でも今は皇帝の庇護がある分、以前より遥かにマシだわ」

希 「うん、皇帝とマルクス・アウレリウスに感謝せんとね」



438 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/28(土) 23:04:25.54 ID:GYisg4da0
にこ 「ただ、こうしてあんたと二人っきりになれて良かったわ」

希 「夜這いかけるにはまだ日が高いよ」

にこ 「なら夜ならいい?」

希 「にこっちが男の子だったら」

にこ 「それは無理にこ。同じ顔でいいなら虎太郎が大人になるのを待つといいにこ」

希 「にこっちも虎太郎君も可愛いけど顔で選ぶ訳やないよ」

にこ 「じゃあ決め手は……いや、そろそろ真面目な話するわ」



439 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/29(日) 16:22:19.61 ID:J/kd6fQX0
希 「真面目な話?」

にこ 「そう、あの日……コロッセオでライブした日……」

にこ 「矢が飛んで来る前にさつきさんは『プールの底に潜って腹這いになりなさい』って言った。あんた、言われた通りにしたの?」

希 「どうしたん、急に?」

にこ 「答えて」

希 「うん、したよ」

にこ 「だったら変よ。腹這いになって胸に矢が刺さるなんて」

にこ 「さつきさんに聞いたわ。医者が何て言ってたか」

にこ 「矢は左胸の上からほぼ垂直に刺さってて、仮にもっと深く刺さったとしてもそのまま下乳に抜けていただろうって」

にこ 「見事に急所を外れてる」

にこ 「希、あんた……」

にこ 「水中に居る間に自分で刺したんじゃない? プールに落ちてた矢を拾って」



440 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/29(日) 16:38:09.75 ID:J/kd6fQX0
希 「動機は?」

にこ 「にこはμ'sが結成される前からアイドルを目指してきたから分かる。アイドルとして大勢の人間に認められるのがどんなに大変なことか」

にこ 「ましてやアイドルという文化自体が無いこの時代にそれを叶えるのは容易じゃない。『みんなで叶える物語』って言ってもその『みんな』を集めるのが一番難しいのよ」

にこ 「事前にライブを重ねても観てくれた人は知れてる。ネットで動画配信も出来ない」

にこ 「殆どが初見の会場の皆の気を引く為にあんたは……」

にこ 「怪我をしながらも健気に歌うヒロインになろうとした、違う?」

にこ 「言葉や人種が違う相手でもこれなら感動させられるわ」



442 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/31(火) 20:51:30.77 ID:LcS8LSNS0
希 「そぉかぁ……」

希 「こればっかりはにこっちが分からんかったとしてもしょうがないわぁ」

にこ 「何よ?」

希 「ウチの場合、プールの底に胸を押し付けたら」

希 「圧迫されて行き場を無くした胸の肉が上ないし横方向に溢れるんよ」

にこ 「!?」

希 「あの時は上方向に胸を持ち上げてから腹這いになったらそこに矢が刺さった」

希 「だからにこっちの推理はハズレ」

にこ 「クウゥッ……。何よ、その勝ち誇った表情は」

希 「人様の怪我を自作自演って言ったお返しよ」



443 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/31(火) 21:07:50.27 ID:LcS8LSNS0
希 (堪忍やにこっち)

希 (ホンマは動機も状況もにこっちの推理通り)

希 (でも真相は一番仲良しのえりちにも話せん)

希 (μ's最大のライブが成功した原因が自作自演の怪我なんてみんなには口か裂けても言えへん。生き残りたいが故にウチが犯した罪は、みんなで正々堂々一生懸命に頑張ってきたアイドル活動に対する冒涜)

希 (一生痕が残るであろう左胸の矢傷は、罪人の証としての刻印)

希 (みんな、本当にごめんなさい)



444 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/31(火) 21:55:47.47 ID:LcS8LSNS0
にこ 「悪かったわよ」

希 「……何で謝るん?」

にこ 「希の怪我のこと誤解して非道いこと言ったから。さっきあんた悲しそうな表情に変わったわ」

にこ 「あたしは、仮にあたしの推理が当たってたらあんたが一人で抱え込んでないか心配だったのよ。だから二人っきりの時に聞いたの! 本当よ」

希 「にこっちは優しいわあ……」

にこ 「ちょッ、今度は何泣いてんのよ!?」

にこ 「情緒不安定になってもこの時代心療内科とか無いわよ」

にこ 「寂しかったら他のみんなも連れて来るわ。だから元気出しなさい」

にこ (希がさめざめと泣いてる……)

ギュッ

希 「にこっち?」

にこ 「以前みんなで海を見に行った時に、希はあたしをこうやって抱きしめてくれた」

にこ 「あの時、泣かないって決めてたのに涙が止まらなかった」

にこ 「今度はにこにーが抱きしめる番」

にこ 「泣いて貰うんじゃなくて落ち着けるように」

希 「余計……泣いてまうわ……」

にこ 「弟や妹達が泣くとこうして抱きしめて慰めてた」

にこ 「こうやって頭を撫でているうちに眠っていた」

にこ 「少し休みなさい。目が覚めるまでここに居るから」

希 「うん……ありがと……」



446 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/03(金) 21:25:42.06 ID:u030VHhD0
絵里 「希、迎えに来たわ」

希 「ありがとう、えりち」

希 「去年はえりちが家に誘ってくれなかったら独りぼっちのクリスマスになるとこやった」

希 「今年のクリスマスはみんなで過ごせるんやね。クリスマスまでに自宅療養の許可が出て良かったわぁ」

絵里 「そうよ、今宵はμ'sのみんなで一緒に……」

絵里 「希の快気祝いを兼ねたクリスマスパーティよ!」



447 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/03(金) 21:39:59.59 ID:u030VHhD0
絵里 「他のみんなは今、料理や飾り付けの準備してるから迎えに来られなかったの。だから気にしないで」

絵里 「みんな、希が帰って来るのを楽しみにして、喜んで貰いたくて張り切ってるわ」

希 「うん、ありがと。嬉しい」

希 「ウチが宮殿で療養中に、えりちを始めみんな変わりばんこで見舞いに来てくれたし、ウチは幸せもんや」

希 「ただ、こうして街を歩いてもクリスマスらしさの欠片も無いなあ」

絵里 「この時代、キリスト教は時々迫害されてたから」



448 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/03(金) 21:56:40.57 ID:u030VHhD0
絵里 「ただいま」

希 「ただいま」

希 (久しぶりにルシウスさんとさつきさんの家に帰って来た)

ことり 「希ちゃん!」

花陽 「希ちゃん! 絵里ちゃん!」

希 (不穏な空気……)

絵里 (トラブル?)

絵里 「あなた達、何があ――」

真姫 「ウワアアアン!」

絵里 「真姫!?」

絵里 (真姫が号泣!?)

希 「真姫ちゃん、どないしたん?」

真姫 「希、絵里、聞いて!」

真姫 「この女は悪魔よ!」

さつき 「待って、落ち着いて。真姫ちゃん……」

希 (あのさつきさんが狼狽えとる!?)

海未 「真姫、先生だって悪気はなかったのです!」

真姫 「何よ! 東大まで出てるのに……」

真姫 「サンタさんが居ないなんてよく言えるわ!」



450 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/07(火) 18:57:40.75 ID:m/9sfMrq0
さつき (困ったわね)

さつき (冗談で言ってるかと思ってたら、まさか本気でサンタクロースを信じていたなんて……)

さつき (会話が噛み合わないと感じてはいたけど、サンタを信じる高校生なんて居る筈が無いという思い込みが、私の判断を鈍らせた)

さつき (兎に角、この場を収めないと)

さつき 「ごめんなさい、真姫ちゃんの言う通りよ。サンタクロースは居るわ」

真姫 「じゃあ何でさっきは居ないって言ったのよ?」

さつき 「さっきサンタクロースが居ないって言ったのは……」

さつき 「この時代、サンタクロースはまだ生まれてないのよ」

真姫 「だったら会えないじゃない!」

真姫 「やっぱりあなたは悪魔だわ! そしてお腹の子は悪魔の子、ダミアンよ!」

さつき 「いくら何でもそれは言い過ぎじゃない?」

ことり (さつきさん、流石に怒ってる……)

海未 「真姫! 先生に謝りなさい」

真姫 「嫌よ!」

海未 「謝りなさい!」

真姫 「ウ……ウ……ウエエエエン!」



451 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/07(火) 19:07:39.92 ID:Jh4jLjvmO
いつ何時でもいるわけじゃないんだぞ聖人は!



452 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/07(火) 19:09:34.26 ID:m/9sfMrq0
凛 「真姫ちゃん、泣き疲れて眠っちゃったね」

さつき 「折角のクリスマスと希ちゃんの快気祝いが……ごめんなさい、私のせいだわ」

希 「ウチのことは気にせんといて下さい。むしろウチらの仲間の非礼をお詫びします」

穂乃果 「さつきさん、すみませんでした!」

μ's一同(寝てる真姫除く) 「すみませんでした!」

海未 「先生は悪くありません。冷たいかも知れませんが早かれ遅かれ真実を知る日は来るのです。今日がその日だったというだけのことです」

穂乃果 「海未ちゃんはそれでいいと思ってるの?」

海未 「いいも悪いもありません。……勿論、真姫をフォローしたいのは山々ですが」



453 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/07(火) 19:20:36.88 ID:m/9sfMrq0
ルシウス (大まかな経緯はサツキから聞いた)

ルシウス (平たい顔族の世界には子供相手に施しをするサンタクロウスなる人物が居て、毎年この時期になるとマキはサンタクロウスからの施し物を楽しみにしていた)

ルシウス (しかし今年はローマに居る為に施しが受けられないと知り、嘆き悲しんでいる)

ルシウス (施しを受けられないだけでこれ程までに泣き叫ぶのだからマキは貧困層の生まれなのだろう)

ルシウス (しかしながらサンタクロウスとはどのような人物なのだろう? 子供達に施しをするということはそれだけの財力を有するということ……)

ルシウス (以前マルクスを通じて私に仕事を依頼してきたアウグスタレス(解放奴隷)の成金みたいな人間かもしれん)



457 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/11(土) 12:16:22.94 ID:G7LBgMx50
真姫 「スゥ……スゥ……」

にこ 「寝顔だけなら可愛いのにね」

さつき 「真姫ちゃん、年が明けるまでに口聞いてくれるかしら?」

海未 「私も出来る限りのことはしますがそればかりは何とも言えません……」

ルシウス 「サツキ、マキと一緒に我が家の風呂に入るんだ」

ルシウス 「二人で話し合うといい」

さつき 「あなたらしいわ。でも、悪くない案ね」

ことり 「真姫ちゃんを起こします」



458 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/11(土) 12:45:15.99 ID:G7LBgMx50
真姫 (みんなに半ば強引に勧められて風呂に入らされた。この人と二人っきりで)

さつき 「……」

真姫 (いったい何を話せって言うのよ?)

さつき 「真姫ちゃん、タイガーマスク運動って知ってる?」

真姫 コクリ

真姫 (そりゃ知ってるけど……?)

さつき 「タイガーマスクの本名『伊達直人』名義で児童福祉施設にランドセル等が寄付された話」

さつき 「勿論、寄付した人は虎のマスクを付けた覆面レスラーじゃない」

さつき 「それでも施設で働く方々や施設で暮らす子供達はランドセルを贈られてきっと嬉しかったと思う」

さつき 「その時、タイガーマスクは人の善意の象徴として存在したの」

さつき 「それってサンタさんも同じって思わない?」



459 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/11(土) 13:08:25.61 ID:G7LBgMx50
さつき 「我が子にプレゼントを贈るだけならパパとママからのプレゼントだよって言えば済む話を何故サンタさんからのプレゼントと言うのか?」

さつき 「それって子供達に人の善意を信じて欲しいからだと思うの」

さつき 「見返りも求めず、他者の幸せを願い行動する人がいる。世の中捨てたものじゃない」

さつき 「そう思えるようになって欲しいからだと思うの」

真姫 「でも私、今日サンタさんの正体知って……凄くショックだった」

さつき 「それについては気の毒なことをしたと思ってるわ」

さつき 「ただ、これは通過儀礼なの」

真姫 「大人になる為のですか?」



460 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/11(土) 13:25:05.05 ID:G7LBgMx50
さつき 「大人になる為と言うより」

さつき 「サンタさんになる為」

真姫 「ハァ?」

さつき 「サンタクロースの正体を知ることは……」

さつき 「自分がサンタクロースになれることを知ることでもあるわ」

さつき 「次は自分が子供達に人の善意を伝える番」

さつき 「クリスマスの夜にプレゼントを待ち侘びて布団の中でワクワクした気持ちや、翌朝枕元に置かれたプレゼントを見つけた時の喜びや、サンタさんへの感謝の気持ち」

さつき 「その時の思いを忘れずに次の世代に伝えたい」

さつき 「そうやってサンタクロースの伝説って受け継がれてきたのよ」

真姫 (そうか、そうだったんだ)



461 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/11(土) 13:45:28.20 ID:G7LBgMx50
真姫 (私はパパやママに何不自由無く育てられた。そして自分でも気付かないうちに、人から愛されるのが半ば当たり前と思っていたんだ)

真姫 (音楽の方向性の違いに戸惑いつつもアイドルをやること自体には我ながら然程抵抗無く入っていけた)

真姫 (ファンレターを手渡しされても、ショップで自分のグッズが売られているのを見てもあまり動揺しなかった。これが海未や花陽辺りなら慌てふためいたり泣く程喜んだりするのだろう)

真姫 (だからこそ、サンタさんの正体を知るのが他の子よりも遅れたのだ)



462 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/11(土) 14:01:12.57 ID:G7LBgMx50
真姫 (私は変わる、変わるんだ)

真姫 (愛を受け取る側から届ける側に)

真姫 「その、さつきさん」

さつき 「何?」

真姫 「さっきはごめんなさい。悪魔とか悪魔の子とか酷いこと言って」

さつき 「なら、お互い水に流しましょう」

真姫 「はい!」

真姫 「お腹、撫でていいですか?」

さつき 「いいわよ」

真姫 「ごめんね。悪魔の子だなんて言って」

さつき 「『気にしないで』って言ってるわ」

真姫 「分かるんですか?」

さつき 「臍の緒で繋がってるから」

真姫 「フフッ。……そうだ!」

さつき 「?」

真姫 「私、さつきさんの子が産まれたら、この子のサンタさんになる! いいでしょ?」

さつき 「ありがとう、真姫ちゃん」

さつき 「良かったね、真姫お姉ちゃんがあなたのサンタさんになってくれるって」

真姫 (さつきさんが自らのお腹を撫でながら胎内の我が子に呼びかけている)

真姫 (ママも私を身籠っている時はこんな感じだったのだろうか?)



463 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/11(土) 14:33:20.65 ID:G7LBgMx50
さつき 「みんなお待たせ」

真姫 「あの、みんな……さっきは空気悪くして……ごめんなさい」

海未 「きちんと先生に謝りましたか?」

真姫 「うん。そして仲直りした」

海未 「それを聞いてホッとしました」

ルシウス 「サツキ」

さつき 「大丈夫よルシウス、真姫ちゃんとはこれからも仲良くやっていけるわ」

さつき 「真姫ちゃん、さっき私の髪洗ってくれたの。助かったわ」

ルシウス 「そうか、良かった」

にこ 「もう一回仕切り直しね」

花陽 「折角のご馳走が冷める前に」

穂乃果 「それじゃ行くよ。希ちゃんの快気祝いと、みんなでこの日を迎えられた喜びと……」

穂乃果 「そして来年産まれるルシウスさんとさつきさんの子に神の祝福がありますように」

穂乃果 「せーの」

μ's一同 「メリークリスマス!」

ルシウス (湯のあるところに争いは起きない、仮に起きても直ぐに収まる)

ルシウス (サンタクロウスなる人物が施し物で子供達を笑顔にするのなら)

ルシウス (私はテルマエで子供達を笑顔にしよう)



464 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/11(土) 16:18:48.74 ID:G7LBgMx50
孤児院院長 「いやあ、ここのテルマエは子供達も喜んでいてねえ」

孤児院院長 「子供達も清潔に暮らせるから病気になりにくくなったし、ここで働く大人達も大事に使わせて貰ってます」

孤児院院長 「以前は子供達を街のテルマエに連れて行ってたのですが、他の入浴客から『騒がしい』とか『子供が風呂でオ◯ッコした』とか苦情を言われて肩身が狭かったんです」

孤児院院長 「大勢の子供をテルマエに入れるのは結構手間だったんですが、孤児院内にテルマエが出来たことで大分楽になりました。ルシウス殿、ありがとうございます」

ルシウス 「そう言って貰えると私も嬉しいです」

ルシウス (これで身寄りの無い子供達を少しでも救うことが出来ただろうか)

ルシウス (こういった孤児院をもっと増やせば、世界はより良き方向に……)

花陽 「ア、アア……見つけました……」

ルシウス (ハナヨ?)

花陽 「大変です!」

ルシウス 「何があった?」

花陽 「さつきさんが産気づきました!  兎に角自宅へ!」

ルシウス 「何ッ!?」

タッタッタッタッタッタッタッ

孤児院院長 「行ってしまった……」



465 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/11(土) 17:14:06.49 ID:G7LBgMx50
花陽 「MUSAEの皆で手分けして探してました」

ルシウス 「サツキの容態は?」

花陽 「サツキさんの……何ですか?」

ルシウス 「容態、身体の具合だ!」

花陽 「すみません、私まだラテン語上手じゃなくて」

ルシウス 「それでも大分上手くなった」

花陽 「ありがとうございます」

ルシウス 「ハナヨ、もう少し早く走れないか?」

花陽 「無理です! 先に行って下さい!」

ルシウス 「分かった!」

ルシウス (遂に私も我が子を授かる)

ルシウス (我が子に愛を注ぐことが出来る)

ルシウス (サツキ、待っていてくれ。すぐ行く、走って行く……)

ルシウス (これまでも見たことの無い世界を見てきた、見たことの無いテルマエを見てきた)

ルシウス (しかしこれからもワクワクする世界がきっと私を待っているだろう)

おわり



471 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/18(土) 11:38:22.73 ID:lv6b1QvWo
一気に読んでしまった
原作っぽさを残しつつラブライブの物語になってる素晴らしいクロスだった

長期間おつでした



473 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/18(土) 20:56:30.54 ID:EULfI/+iO
混ぜ方もうまいし話し面白いし最高のSSだ
ありがとう



転載元

テルマエ・オトノキザカ ~ 8人の平たい顔族と1人のゲルマン

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1471778970/





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