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ミカサ「アルミン、惚れ薬を作って」

2013/05/01 02:44 | CM(2) | 進撃の巨人 SS
1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 00:22:13.58 ID:xfMMBbS4i
ミカサ「いますぐ」

アルミン「え、僕は何でも屋じゃないんだけど……ていうか無理だよ」

ミカサ「あなたが私たちを想う気持ちがあればできる。頑張って」

アルミン(またはじまってしまったか……)


5 PCから :2013/04/30(火) 00:27:48.78 ID:o+szDU5Q0
アルミン「だいたい僕は薬剤師でも魔術師でもないんだ」

ミカサ「あなたが私を支えないでどうするの」

アルミン「そんな無茶苦茶な…。どうしたんだいミカサ。なにか焦っているの?」

ミカサ「はやく、はやくしないと…グゴゴ」


アニ「ほらエレン。あたしのチーハンひとつあげるよ」ヒョイ

エレン「お、サンキュー! 今度なにかお返しするぜ」

サシャ「エレン~、チーハンはいいですけどパンを少し恵んでくれませんか?」

エレン「え? しゃあねぇなーほら」

サシャ「やったーエレン大好きです」


ミカサ「……」キシキシ

アルミン(やばいよやばいよ…)



7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 00:34:34.96 ID:o+szDU5Q0
ミカサ「早く…早くしないと私のエレンが……」グスッ

アルミン(うわ…)

アルミン「わかったよ…次の訓練休みになんとか取り組んでみる」

ミカサ「本当? ありがとうアルミン」

ミカサ「これで安心してエレンの隣を占領できる」

ミカサ「楽しみにしているから」


その後アルミンは休日を返上し、寝る間を惜しんで薬の開発に取り組んだ。


8 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 00:37:54.50 ID:17RFsh+b0
チーズハンバーグってことは巨人中学校の方の世界かな?


9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 00:40:09.74 ID:o+szDU5Q0
アルミン「で、できた……眠い…」

アルミン「これでようやくミカサから開放される……」


ミカサ「さすがねアルミン。ありがとうこの恩は忘れない」


アルミン「3粒しかつくれなかったから大事にしてね…僕の時間とお給料の結晶」

ミカサ「全部使う」

アルミン「だめだよ…一度にそんなにいっぱい使ったら」

アルミン「3つもエレンに食べさせたら、どうなるかわからない」

アルミン「利き目が強すぎてエレンがおかしくなってしまうかもしれない」

ミカサ「……? なにを言ってるの…」

ミカサ「私がこれをエレンに食べさせる必要がどこにあるの?」

アルミン「えっ」


10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 00:45:33.58 ID:o+szDU5Q0
ミカサ「エレンはすでに私が好きだから」

ミカサ「私はこれをつかってエレンにまとわりつく害虫を駆除するだけ」

ミカサ「他の男を好きにさせれば、エレンの隣は私だけのもの」

アルミン「な、なんだそれ……なんだそれ…」

アルミン「あっ、急に眠…っ」

ミカサ「アルミン早く使い方を教えて」

アルミン「……zzz」

ミカサ「アルミン? 寝ている場合じゃないでしょ?」

ミカサ「この薬を作ったのはあなたでしょ?」

アルミン「zzz」

ミカサ「食べさせるだけでいいの?」


12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 00:47:36.20 ID:mm4pZ7hy0
これは百合の匂い


13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 00:51:24.78 ID:o+szDU5Q0
ミカサ「とりあえずサシャから排除しよう」

ミカサ「あの女は体臭がきつくてエレンに臭いがうつってしまう」

ミカサ「あ…」


サシャ「エレン~! ねー、一口だけー? ねー一口?」

エレン「なんだよー離れろよーー」

サシャ「お腹ペコペコなんですよ」

エレン「これ俺の給付されたおやつだぞ。なんでお前にー」

サシャ「それいただきっ!」パク

エレン「あっ、おい! かえれよー吐き出せー!」


ミカサ「排除しなくては…排除しなくては……」プルプル


15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 00:56:58.14 ID:o+szDU5Q0
サシャ「あ! ミカサ!」

サシャ「あの、ミカサはおやつ余ってませんか?」

サシャ「私もう食べちゃって、でもどうしてもお腹が」

ミカサ「…」スッ

サシャ「え……こ、これは…キャンディ!」

サシャ「すごいミカサ! キャンディーー! 私まだ町にきてからあまり食べたことないんですよ」

ミカサ「いっぱいあるから一つあげる」

ミカサ(この女は私なら実力で排除できる)

ミカサ(まずは惚れ薬の実験台にしよう)ニコ

サシャ「ミカサの笑顔がまるで女神様に見えます…」

パクッ


サシャ「う……まずい!?」


17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 01:01:04.77 ID:o+szDU5Q0
エレン「俺の分はないのか?」

ミカサ「エレンはだめ」

エレン「いっぱいあるって言っただろ。ケチだなお前はさー」

ミカサ「でもだめ」

サシャ「はぁ…はぁ…なんだか胃の奥が熱くなってきました…」ペロペロ

ミカサ「そう。早くどこかへ行って男をつくってきなさい」

エレン「は? お前なにしたんだよ。ホントにキャンディだったのか?」

ミカサ「ほらエレン行こ。この女は危険だから離れたほうがいい」

エレン「お、おい引っ張るなって」


ぎゅっ

ミカサ「ふ!!?」

サシャ「ミカサァァ!!待ってくださいぃぃい!!はぁはぁ…」ガシィ

ミカサ「な、なに……」


21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 01:07:00.33 ID:o+szDU5Q0
サシャ「ミカサァアアア…」ギュウ

ミカサ「え……どうして」

ミカサ「おかしい、こんなはずでは……」

エレン「おーいなに抱き合ってるんだよ」

ミカサ「ち、違…これはサシャが勝手に抱きついてきて」

エレン「ふーん。お、ライナーだ。おーいライナー!!」

ミカサ「まってエレン! これをひきはがすの手伝って!!」

サシャ「ミカサァアア、ペロペロペロペロ」

ミカサ「ひ! だ、だめ…汚されてしまう」

サシャ「もっとキャンディくださいキャンディ!!キャンディ!キャンディィイイイ!!!」

ミカサ「アルミンになんとかしてもらわないと…」


24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 01:10:41.55 ID:o+szDU5Q0
ミカサ「う…なんて力。早く離れて。重たい」

サシャ「キャンディ欲しいです!キャンディもっとたくさん!!」

ミカサ「もうない。ないから…」

サシャ「いっぱいあるって言ってました!! キャンディ!!」

サシャ「くんくんミカサからあまーい匂いがしますよ」

サシャ「やっぱり隠しもってるんですね」ペロペロペロ

ミカサ「ああう!」

ミカサ「く…エレン以外にこんなことを許してしまうなんて…」

ミカサ「なんとか…このままアルミンのところまで…」ズシ ズシ


25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 01:16:21.91 ID:o+szDU5Q0
クリスタ「……え、何やってるのミカサ…とサシャ」

ミカサ「こ、これは…誤解」

サシャ「ペロペロペロペロペロペロペロペロ」

ミカサ「…」ネトー

ユミル「お前らもついに目覚めたか」

クリスタ「目覚めたって? もしかして二人は…」

ユミル「楽しそうだな」

ミカサ「そんなわけない。これをひきはがすの手伝って」

サシャ「嫌です!嫌!私はずっとミカサにキャンディもらうんです」ペロペロペロペロペロペロ

ユミル「はははだってよミカサ良かったな。愛に性別なんて関係ないぞ?」

クリスタ「ミカサとサシャがそんな関係だったなんて…気づかなかった///」

クリスタ「ううん、前から仲良かったもんね。そっかぁ…うふふ///」


27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 01:27:56.55 ID:CbHG7HGq0
サシャ可愛い


30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 01:55:52.85 ID:p969aAXr0
俺の天使がユミルに汚されてしまった


41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 06:04:09.24 ID:TZZsaqvG0
改めて最初からでいいなら書きたい


42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 06:14:13.31 ID:BhoSk05R0
なんでもいいからはよ


43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 06:26:15.54 ID:TZZsaqvG0
「惚れ薬……?」

 昼時。普段なら必ず一緒に行くエレンを先に一人行かせて後、
ミカサは僕に真剣な表情でそう言った。

「そう。アルミンなら惚れ薬を知ってるはず」
「いや、まぁ知ってはいるけど……」

 古い本で読んだことがある。
その薬を飲んだ人間は飲んだ後最初に見た人間を
それまでその人をどう思ってたとかを無視して好きになるという、
いわゆる人の心を操る薬。

「一応聞くけど、作ってどうするつもりなんだい?」
「使う」
「……誰に?」
「エレンに」

 ミカサはそれはもう当たり前のようにそういった。


45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 06:36:46.98 ID:TZZsaqvG0
 極々自然に、灰色の分厚い雲で覆われてる空を見て雨降りそうだね。
って言うくらいに自然にそう言った。

「だから、作ってくれる?」

 呆れたのかなんなのか、僕が呆然としていると
ミカサは続けてそういった。多分、その台詞の最後には『よね』がついてたと思う。
お願いというよりは、確認。

「ごめん、それは無理だよミカサ。
 いくら君の頼みでも、人の心を変えるような薬は作れない。
 ましてやその相手がエレンだっていうなら尚更だよ」

 僕は慎重に言葉を選びながら断る。
当然の事だ。ミカサの気持ちは昔から知ってはいるけれど、
流石にこんな事には加担できない。


47 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 06:43:05.29 ID:TZZsaqvG0
「そもそも、そんなもの使おうとするなんて君らしくないよ。
 ミカサはそんな薬でエレンの気持ちを変えてそれで満足なの?」

 と、言おうとして。
僕の顔スレスレの位置を通過して背後の壁に力強く突き刺さったミカサの拳に。
その壁と拳がぶつかる鈍く大きな音に、掻き消された。

「そんなの、言われなくたってわかってる」

 真っ黒な瞳が僕をまっすぐ見つめてくる。
幼馴染の、初めて見る表情に戸惑う。

「な、ならなんで……」
「もう、手段を選んでられないから」


49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 06:50:45.07 ID:TZZsaqvG0
 呻く様にミカサは言う。

「ここに来てわかった。悠長な事を言ってたらエレンは
 そこらの変な女に誑かされてしまう。
 エレンを守れるのは私だけなのに……、私だけなのに……」

 俯いてぶつぶつと喋り続ける彼女に、
正直付き合いの長い僕でも恐怖を覚えずには居られなかった。
エレンに対しての異常な執着や依存に近い物は感じていたし、
不安に思わなかったわけじゃないけれど。
まさかここまで今の彼女が不安定になってるとは思っていなかった。

「お、落ち着いてミカサ! わかった、わかったから!」

 肩を掴んで承諾の意思を伝えると、
ミカサはピタリと口を閉じて、いつも通りの表情で顔をあげた。

「ありがとう。アルミンならそういってくれると思ってた」


51 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 06:57:52.94 ID:TZZsaqvG0
「あ、あははは……」

 そのいつも通りのミカサに対して僕は乾いた笑いを浮かべるのが精一杯だった。

「材料を集めるのにお金が必要なら言って、それくらいは出す……」
「わ、わかった」

 僕が頷くと同時に、ミカサは「エレンが待ってる」と言って
踵を返して足早に食堂の方に向かっていった。
僕はその背中を眺めながら、この後どうやって事態を丸く収めるかについて
いままでに無いくらいに脳細胞を使って考えていた。


53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 07:08:32.13 ID:TZZsaqvG0
―――

「うあぁー……」

 寮の部屋で僕はベッドに突っ伏して呻いていた。
考えているのは当然ミカサの頼みごとの事。

 ミカサのあの状態を見るに出来ませんでしたでは済まない。
出来るまでやらされるのは目に見えている。
けれど本物の惚れ薬をエレンに飲ませてしまう訳にもいかない、
いくらミカサの頼みでも、エレンは一番付き合いの長い僕の親友だ。

「そのエレンだよなぁ……」

 エレンがもう少しだけ女性の心に敏感だったなら楽なのに。
あそこまであからさまなミカサの態度にまるで気がつく様子がないのが問題なのだ。
ミカサがあそこまで追い詰められた原因の一つは間違いなく彼の鈍感さの所為だ。


54 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 07:14:04.47 ID:TZZsaqvG0
 あのアピールに気がつかないのは、流石にどうかと思う。
ましてや家族同然として育ってきたミカサだけじゃなく
最近はアニとかクリスタとか、鈍感な癖に女性の気持ちを惹く事に長けている。
長年アピールしてたのに気づいてもらえない上に急に周りに女性が増えたら
ミカサじゃなくても気が気でなくなってしまうのもわからないではない。

「……」

 エレンは昔からそうだ。
恋愛なんて二の次三の次で、強くなること戦うことばかりだった。
その裏で僕が一体骨を折った事か……。

「…………」

 そうだ、原因がエレンで被害受けるのがエレンなら自業自得なんじゃないのか?
僕は薬を作るだけで、飲ませるのはミカサで原因がエレンで被害者がエレンで……。

「………………」

 そっか、じゃあ別にいいのか。


58 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 07:23:51.35 ID:TZZsaqvG0
―――

 突然の事態に対する混乱と動揺。
考えすぎて変な方向に入ったスイッチ。
丸一日考えた末にでたのは思考放棄とも言える結論だった。

「玖珠の実……15g……」

 結論がでてしまってからの行動は早かった。
記憶の中にある情報と改めて調べた書物から材料を割り出し、
外出届を提出して中央に買出しへ行き。
足りないものは森へ行って直接採集してきた。

「暮新の葉……二枚……」

 そしてその材料を順番にすり潰していく。
周辺に青臭い匂いが広がっていく。


60 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 07:26:29.16 ID:2exutl030
流石アルミンやでぇ


65 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 07:45:55.06 ID:TZZsaqvG0
 無断での夜間外出だけれど、
誰かにバレないように作業するためには仕方ない。

「えぇっと……それから……」

 水と灰を加えてすり潰した材料を練り合わせる。
すぐに粘り気がでて粘土のようになったそれを、
小さい粒状にして不燃性の紙に包んでから火にくべる。

「……よし」


69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 08:47:01.05 ID:TZZsaqvG0
―――

 翌日。出来上がった薬を持って食堂に向かう。
製作に結構な時間がかかった為少々眠いけど、
早いところ渡してしまいたいという気持ちのほうが強かった。

「ミカサ、ちょっといいかな?」

 ので、いつも通りエレンの隣を近すぎる距離で歩いているミカサを見つけた僕は
早々に声をかける。

「……ん?」


70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 08:50:40.10 ID:y6qgSnNwO
お?


71 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 08:50:48.76 ID:TZZsaqvG0
 二度三度、僕とエレンの間を視線が行き来する。

「いまじゃないとダメ?」

 自分から頼んできたくせに、
エレンの傍から離れたくないからと暗に言ってくる。

「例の事なんだけど」

 内心の呆れを表に出さないようにしつつ、
できるだけ小声でポケットの中のそれをミカサに見せる。

「……わかった」

 それでも不承不承と言った感じで頷き、
エレンから離れてこっちにやってくる。
なんだか頭が痛くなってきた。


73 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 09:31:45.41 ID:TZZsaqvG0
 しばらく待って訓練生が廊下を通らなくなってから
僕は改めてポケットから食欲を失わせる色合いの小さな薬をミカサに一つ渡す。
勿論昨日の作業で出来上がった薬は結構な量があるけれど。

「これが頼まれていたものだよ。
 物が物だけに誰かに試すこともできないから効果は保障できない、
 それにその一つしかないからやり直しもできないから」

 そう言っておく。
じゃないと万が一の事がある。
見境がなくなった彼女が効果を試すとか言って他の人に飲ませたり、
エレンに大量に飲ませたりしたら大変だからだ。


75 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 09:39:43.21 ID:TZZsaqvG0
 ミカサは手渡された薬をじっと黒い瞳で見つめたあと。

「ありがとうアルミン」

 にっこりとそう笑った。
それはなにも知らない人が見れば素直に可愛らしいと思える、年相応の笑顔で。

「ただ、一つだけお願いがあるんだ」
「わかってる。出所は誰にも言わないから、安心して欲しい」
「話が早くて助かるよ」
「うん。……じゃあ」
「はいはい」

 早速試したくて仕方がないのだろう、
途端にそわそわしながら食堂へ向かう彼女を見送る。
後の事はもう僕には関係ない。……ということにしておこう。
考えるのはやめたんだ。ごめんエレン。


76 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 09:49:07.03 ID:TZZsaqvG0
―――

「エレ……っ」

 アルミンに頼んでいた惚れ薬を受け取った私は食堂に向かって唖然とした。

「おっ、遅かったなミカサ」
「……やぁ」
「おはようミカサ」

 食堂端の方、エレンの両隣にアニとクリスタが座っている。
私が居ないとすぐこれだ。エレンも嫌なら嫌といえばいいのに、
人がいいのはわかるけど他の女を付け上がらせるだけと言うことをわかっていない。


78 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 10:09:40.24 ID:TZZsaqvG0
 この女達ももう少し自分がエレンの迷惑になっている事を理解してもらいたい。
とにかく近くに居ればいいという訳ではないし、エレンの気持ちを慮って動くべきだ。

「どいて」

 エレンの隣は私の定位置。
私は女の一人に近寄って睨み付ける。

「は?」
「聞こえなかった? そこは私の場所」
「? ミカサ、前空いてるぞ?」
「ダメ、私は隣でないと。この女が移動すればいい」
「なに勝手なこと言ってるの、どこに誰が座ろうが勝手でしょ」

 話が通じない。やっぱりこんな女が居る以上、
主義ではないけれど薬を使わなくてはいけない。


79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 10:12:14.21 ID:fvp447px0
ヤンデレばっかりや


84 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 10:44:49.86 ID:TZZsaqvG0
「……本当にミカサとアニって仲悪いよね」
「う~ん、なんでか知らないけどそうみたいだな」
「あっ、それより今日の馬術訓練の事だけど……」

 私が一人とにらみ合っているのをいいことに
もう一人がこそこそとエレンと会話を交わしている。

「っ!」

 振り返りながら睨み付ける。

「ふふっ」

 私より頭一つ小さいそいつは私の視線を受けて微かに笑った。
私からエレンを奪おうとする悪魔の笑顔。
一刻も早く、エレンにこれを飲ませないと。


85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 10:46:34.45 ID:ssO3WRHB0
俺の天使が悪女に!


86 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 10:52:17.46 ID:fvp447px0
(それでも結婚しよ)


87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 10:53:39.10 ID:TZZsaqvG0
―――

 やり直しができないとアルミンは言っていたけれど
多分本当に一粒分だけ作るのは逆に難しい。
またアルミンが読んでいた本から察する材料と、
私が出した金額から買ったであろう量を考えれば
自ずと薬自体の量もある程度は予測できる。

 つまり最悪アルミンに言えば失敗しても大丈夫。
もちろんできれば付き合いの長い友人である彼を脅すような真似はしたくないけど、
あの二人を牽制しながら誰にも気づかれずに食事に混ぜるのは難しい。
……だから場合によっては仕方ないよね。

「エレン、あとで話がある」
「ん? なんだ改まって」
「大事な話、二人で話したい」

 結局、エレンに「落ち着けよ、一体何カリカリしてんだ?」と呆れたように言われてしまい
向かいに座ることになった私は、エレンの左右に座る二人に睨みを利かせながらそう言った。


93 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 11:34:59.12 ID:TZZsaqvG0
「おう、いいぞ別に」

 エレンはすぐにそう言った。
やっぱりエレンは私を優先してくれる。

「チッ……」
「ふぅ」

 二人に対して優越感を覚えてしまうのは仕方ない。

「それじゃあ、訓練の前に」


97 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 12:06:25.25 ID:TZZsaqvG0
―――

「それで大事な話ってなんだ?」
「……ちょっと待って」

 一応周囲の気配を確認する。
案の定あの二人は遠くでこちらを伺っている様子。

「まぁ、いい。あそこからなら邪魔されないし声も聞こえないだろうし」
「おいどうした? あんまり時間ないんだからできれば手早くしてくれよ」
「うん。でもその前に飲んで欲しいものがあるの」

 下手に混ぜたりするより、エレンには直接頼んだほうがいい。
そう思った私はポケットから薬を取り出して手渡す。

「なんだこりゃ?」
「薬、最近訓練頑張ってるみたいだから。疲労回復に良いって聞いて、
 中央で買ってきた」


99 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 12:32:55.89 ID:TZZsaqvG0
「ふぅん……。なんか、不味そうな色だな……」

「良薬は口に苦いっていう」

「そうかもしれないけど……。つーか水なしで飲めってのか?」

「ううん。用意してる」

「……準備良いな」

「任せて」

「……」

「……」

「なんかじっと見られてると飲みにくいんだけど」

「気にしないでいい」


100 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 12:36:44.16 ID:TZZsaqvG0
 飲んだ。
飲んだ。薬を、確かに飲んだ。

「にっがっ!」

 顔を顰めながらこっちを見た。
確かにこっちを見た。目も合った。
上手くいった、予想以上にすんなりと、これで、これでエレンは。

「ど、どう?」

 まだ、まだ効果を確認してない。
アルミンも効果があるかわからないって言ってたし、
まだ安心はできない。

「なんだよこれ、すっげー苦い!」
「そ、そう。ごめんなさい」


101 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 12:40:47.50 ID:TZZsaqvG0
 見たところ変化はない。

「そ、それでエレン話なんだけど」

 確認しなくちゃ。

「あ? あぁ、そうだったっけ」

 ちゃんと、私だけを見てくれるようになったか。確認しなくちゃ。

「エレンに聞きたいことがあって」

 ちゃんと私以外の女を見ないようになったか。確認しなくちゃ。

「なんだよ」

 私だけのエレンに。

「私の事。どう、思ってる?」

 なっていて。


105 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 13:15:03.52 ID:TZZsaqvG0
「なんだよ、いきなり」

「答えて。お願い」

「……お節介で、世話焼きで、すげぇ奴で、俺の大事な家族だよ」

 照れたように、でもちゃんと答えてくれた。

「家族……」

 でも、それは私の望んだ答えじゃなくて。

「っ……!」

 私はその場から逃げ出すように走った。


107 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 13:26:58.14 ID:TZZsaqvG0
―――

「ま、素人が作った薬が効くわけないよね……」

 その夜、ミカサからの報告を聞いた僕はベッドで一人ごちりながら
大量に余った偽惚れ薬を弄ぶ。
結局時間とお金の無駄遣いに終わってしまった。

 まぁ、ミカサも落ち込みはしたけれどそれだけで済んだし。
エレンにもなんの影響もなかったようだし、これはこれで
丸く収まってよかったと思うべきなのかもしれない。

「お、なんだそれ?」
「あぁ、僕が作った激苦の薬だよ」

 さっさと捨ててしまおうと手に取った瞬間、
ライナーが興味深そうに覗き込んだ。

「へぇ、薬も作れるのか?」
「まさか。見よう見まねで作ったけど結局なんの効果もなかったよ」


109 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 13:39:59.01 ID:TZZsaqvG0
 精々使い道があって、罰ゲームに使うくらいだろう。

「ははっ、そりゃいいや。どうせ捨てるなら一つ俺にくれよ」
「べつにいいけどなにに使うんだい?」
「コニーに飲ませてやろうと思ってな、
 あいつ夕食のとき俺の干し肉を半分盗みやがったんだ」
「あははは、なるほどね」

 二人で顔を見合わせて笑う。
一応頑張って作ったんだから用途がなんであれ、
使ってもらったほうがいいだろうと思い、薬をライナーに渡す。

「うーっす」
「おっ、丁度良いところに来たな盗人め」

 タイミングよくやってきたコニーを見てライナーは
似合わない悪そうな顔をし『これでも食らえ』と言って薬をコニーの口に放り込んだ。


111 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 13:45:03.94 ID:fvp447px0
これはこれは


112 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 13:47:37.32 ID:TZZsaqvG0
「おごっ!? なんだこ……にげぇっ! おえっ!」
「だっはっはっはっは!」

 予想通りの反応を見て笑う僕とライナー。


 ――けど予想通りだったのはここまでだった。

「このやろ……」

 突然口に放り込まれた苦いそれを涙目になりながら飲み込んだコニー。
そして、恨みがましそうにライナーの方を見て、止まった。
睨んでるのではなく、ただただ彼はライナーを見つめ続ける。

「あ、嫌な予感が……」


114 忍法帖【Lv=5,xxxP】(1+0:15) :2013/04/30(火) 13:51:12.88 ID:du98LtI20
ホモスレに迷い込んだとは


116 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 13:52:14.26 ID:ND+WyI7q0
これはっー


117 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 13:53:41.94 ID:TZZsaqvG0
 えー、まぁ、あれだ。
結果だけ言わせてもらうと、コニーに惚れ薬が効いてしまった。
ライナー相手に、だ。

「ライナー……、お前よく見ると格好良いよな」
「お、おい。冗談だろコニー! 落ち着け! 服を脱ぐな!」
「俺、お前のことが……」
「やめろ! おい、アルミンどうなってんだよこれ!?」

 みたいな。とても見るに耐えない事態に発展した。
幸いライナーはコニーよりも対人格闘の成績は優秀で、
おかしくなったコニーを無理やり眠らせたので事なきを経た。

 そして再び目が覚めた頃には綺麗さっぱり元に戻っていた。
どうやらあの薬には永続性はなかったらしい。


119 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 14:03:09.38 ID:aLH+wWZo0
濃厚なホモスレになるんですね(歓喜)


120 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 14:03:31.11 ID:TZZsaqvG0
「でも、じゃあなんでエレンには効かなかったんだろう?」

 ミカサの話で飲ませても効果がないから失敗した物だと思っていたのに、
エレンに効かずコニーに効いたのはなんでなのか。
少なくともミカサがエレンに質問をしたのは飲ませた直後で、
効果がでている筈のタイミングだった筈だ。

 いや、それとも惚れさせるというのが薬の効果だから
効果がでてもでてなくても変わらないとしたら……。
――なんて、あの鈍感のエレンがそんな事ある訳ないか。

「しかし効果があると思ったら急に捨てるのがちょっと勿体無く感じちゃうなぁ」

 けどこんな物があったら危険だし、
危うくライナーが大変な事になる所だった訳で。

「真相はわからずじまいって事だね」

 僕は残った惚れ薬を布に包んで裏のゴミ捨て場に放り込み、
昨日の騒動の事を教官になんて誤魔化せばいいのか悩みながらその場を去った。


121 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 14:03:40.64 ID:ZaA5AFkw0
ライナー…


122 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 14:07:39.19 ID:TZZsaqvG0
―――

「うぅ~、お腹すいた……」

 行軍演習から帰ってきたばかりの
お腹を空かせた私はふらふらと歩いていたら自分の足につまずいて
ゴミ捨て場に突っ込んでしまいました。

「あいたた……。あれ? これは……」

 私がぶつかって散らかったゴミから転がってきた布に包まれた何か。

「食べられるものだったらいいなぁ……」

 なんとなく、私はそれを解いて中を確認してみる。
すると中には不味そうな何かが入っていて……。


        ―――終わり


123 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 14:09:53.36 ID:p+csoriM0
おつ


124 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 14:11:48.81 ID:ssO3WRHB0
エレンに鈍感とか言ってた奴はごめんなさいしないといけないよね


125 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 14:11:54.10 ID:WCU56PrrP



126 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 14:12:25.99 ID:fvp447px0

結局両思い設定かよくそが


127 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 14:13:23.35 ID:ZwDwSArGO
進撃SSで一人称視点初めて見て新鮮だった乙


128 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 15:07:25.28 ID:ip0b9vWg0
ターちゃんのヂェーンじゃないかw


129 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 15:11:18.37 ID:TZZsaqvG0
 ――After

「またやっちまった……」

 俺は布団の中で一人頭を抱えていた。

「なんで俺はこう素直にいえねぇかなぁっ」

 寝息と風の音だけの部屋に小さな俺の声が響く。

「くそっ、絶好のチャンスだっただろ」

 思い返すのはミカサと二人になったあの時。ミカサに薬を飲まされた後の質問。
正直頭に血が昇って心臓がバクバクしていまいちぼんやりとしか覚えてない。
「いつもありがとう。好きだ」という簡単簡潔な短い台詞が、もう何年も言えてない。

「あぁー! ちっくしょー!」

 傷つけたかもしれない。ミカサが俺の事をどう思ってるかはわかってるつもりだ。
でも、いまの自分にはそんなことをしてる暇はないと気づかない振りをし続けてる内に、
本当に本音を言えなくなってしまった。

 いつ死ぬかわからない。その日が近づくにつれて、やっぱり言うべきだと思うようになった。
必ずいつか、正面きって言ってみせる。

「イェーガー、……こんな時間になにを騒いでいる」
「ひっ」

 明日が来れば、だけどな……。


130 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 15:50:22.45 ID:TZZsaqvG0
__
    ̄ ̄ ̄二二ニ=-
'''''""" ̄ ̄
           -=ニニニニ=-


                          /⌒ヽ   _,,-''"
                       _  ,(^ω^ ) ,-''";  ;,
                         / ,_O_,,-''"'; ', :' ;; ;,'
                     (.゙ー'''", ;,; ' ; ;;  ':  ,'
                   _,,-','", ;: ' ; :, ': ,:    :'  ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                _,,-','", ;: ' ; :, ': ,:    :'     d⌒) ./| _ノ  __ノ


131 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 16:50:56.72 ID:du98LtI20
続けるんだ


132 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 17:36:52.04 ID:N485PLIn0



133 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 17:50:21.69 ID:WWspWyv6O
サシャオチにワロタ



134 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/30(火) 18:10:56.62 ID:cQrdWuCb0



転載元

ミカサ「アルミン、惚れ薬を作って」

http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1367248933/






進撃!巨人中学校(1) (講談社コミックス)
中川 沙樹
講談社 (2013-04-09)

関連記事
2013/05/01 02:44 | CM(2) | 進撃の巨人 SS
    コメント一覧
  1. オシラ774 [ 2013/05/01 11:40 ]
  2. チーハン=チーズハンバーグか
    おっちゃんもう若い子らの流行語にはついていけんよ
  3. 774@いんばりあん [ 2013/05/01 11:47 ]
  4. 何だかんだ、ミカサを守れるのはエレンしかいないと思います
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