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幼女「とうもろこし、いる?」 part3

2010/10/04 21:31 | CM(0) | 創作・男女系 SS
関連:幼女「とうもろこし、いる?」 part1
関連:幼女「とうもろこし、いる?」 part2



505 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 19:58:24.70 ID:6NeKsvfc0
ただいま、保守ありがとうございます。
今夜はエビチリソースでした。

さるにならない程度で投下していきます。


506 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 20:07:26.19 ID:6NeKsvfc0
ワイワイ

ガヤガヤ


先生「ごっめんね、みんな。このプリント、ほんとは先週渡すはずだったんだけど……先生ちょっと忘れてて」

男の子「しっかりしろよー!」

先生「ごめんごめん、おうちの人に渡してね」

幼女「はーい」



507 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 20:10:46.54 ID:6NeKsvfc0
先生「それから、最近物騒な事件が増えてるらしいわ。みんなも気をつけてね」

「事件?」

「ほらコナソくん、さっさと帰るでやんす」

女の子「事件ってなーに?」

先生「えーっと」

幼女「?」

先生「なんだっけ……」

男の子「ほんっと、先生しっかりしろよー」

先生「とにかくっ、みなさん無事でいてください!」

「はーい」

先生「それじゃあ今日は終わります、さようなら」

「せんせー、さようならー! みなさん、さようならー!」


508 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 20:14:07.85 ID:6NeKsvfc0
保護者「迎えに来ましたの」

女の子「おかあさん」

保護者「かえりますのよ」

女の子「あのね、えっと。さっき先生が」

保護者「なんですの? わたくしは忙しいんですの、さっさと帰りますのよ」

女の子「あ……うん」

保護者「ほら、さっさと車に乗りますのっ」

509 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 20:16:50.09 ID:6NeKsvfc0
女の子「おかあさん、おやすみ」

保護者「まったくあの人ったら今日も帰ってこないんですのっ!」

女の子「おかあさん」

保護者「まったく何を考えて……、ん? どうしましたの?」

女の子「おやすみなさい」

保護者「ん? もうこんな時間ですの?」

パタン

女の子「……はぁ」

510 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 20:18:21.25 ID:6NeKsvfc0
保護者「まったく、……あの人の事だけでも忙しいのに」

保護者「あのクソ生意気な若造を思い出すだけで虫唾が走りますの」

保護者「何かないですの?」

保護者「あのクソ生意気な青二才に一泡拭かせる方法は無いですの?」

保護者「……やはり私が直々に」

保護者「いや、それじゃあバレバレですの」

保護者「かといってまた誰かに任せて失敗したら……」

511 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 20:20:48.60 ID:6NeKsvfc0
ピラ

保護者「ん? このプリントは……学費の納付のお知らせですの?」

保護者「げ、明日までじゃありませんの!」

保護者「まったく、もっと早く知らせて欲しいですの。仕方ない、明日の帰りにでも銀行に……」

保護者「!」

保護者「良い事を思いつきましたの」

保護者「この方法ならわたくしがその場に居てもなんら不思議ではありませんの」

保護者「あの男の吠え面をリアルタイムで拝むことができますの!」

514 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 20:27:56.20 ID:6NeKsvfc0

保護者「ふっふーん♪」

保護者「そうと決まればさっそく準備ですの!」

保護者「必要なものは、覆面とあとモデルガンもあればリアリティが増しますの」

保護者「ちょっとびっくりさせてあげますの」

保護者「あの青二才の恐怖に怯える面が思い浮かびますの、きひひっ」


516 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 20:39:53.80 ID:6NeKsvfc0
幼女「おじさん、これ。先生が渡してって」

男「ん? なんだ?」

『お食事のお誘い、待ってます』

男「うげ、忘れてた」

幼女「なんて書いてるのー?」

男「先生、怒ってたか?」

幼女「ううん、ご機嫌だったよ?」

男「そっか……、後で電話するか」

幼女「あとこれ渡してって言われたの」

男「ん? 学費の納入か、明日にでも銀行いくか」

幼女「ぎんこー?」

男「ああ、帰りに寄ってもいいかい?」

幼女「いいよー!」


519 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 21:09:35.87 ID:6NeKsvfc0
ワイワイ

ガヤガヤ


保護者「あら?」

男「どうも」

保護者「あなたも学費の納付に?」

男「えぇ、まぁ」

保護者「奇遇ですの、わたくしもですのよ」

男「そうですか」

521 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 21:17:32.35 ID:6NeKsvfc0
「3番でお待ちのお客様──」

保護者「そういえば今日は比較的空いてますのね」

男「そうなんですか?」

保護者「えぇ」

男「こんなもんじゃないんですか? 銀行って」

保護者「おかしいですの」

男「なにがです?」

保護者「他の親御さん達も納付のプリントを貰ってるはずですの、なぜこんなに少ないんですの?」

男「先生が渡すのを忘れてたって聞いてますけど」

保護者「まぁ、そうですの? まったく、若い先生はこれだから困りますのね」

男「はぁ……」

522 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 21:19:43.69 ID:6NeKsvfc0
「4番でお待ちのお客様──」

男「そういえばお子さんはどうしたんですか?」

保護者「車で待たせてますの、振込みが終わったらすぐ帰りますの」

男「そうですか」

保護者「あなたこそ連れ子ちゃんはどこに居ますの?」

男「退屈だって言うんで横の公園で遊ばせてますよ」

保護者「あらそうですの?」

男「ええ」

525 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 21:29:46.26 ID:6NeKsvfc0
「5番でお待ちのお客様──」

保護者「あなた、作家先生って聞きましたの」

男「ええまあ」

保護者「どんな本を書かれてますの? 参考までに教えて欲しいですの」

男「どんな……と言われましても」

保護者「まっ。まさか人様には言えない様な恥ずかしいものですの? ああいやですの」

男「よければ贈呈しましょうか?」

保護者「いりませんの、興味がありませんの」

男「そうですか」


526 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 21:33:26.16 ID:6NeKsvfc0
ザワザワ

ザワザワ

保護者「それより──」

男「なんだか騒がしいですね」

保護者「そうですの?」

男「なんでしょうか?」




「全員静かにしろ!」


528 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 21:37:28.51 ID:6NeKsvfc0
銀行員「ひっ?!」

「こいつが何だか分かるよな。おねーさんよお、風穴を開けられたくなかったら大人しく言う事を聞いてもらおうか」

銀行員「け……拳銃っ?」

「このバッグに有り金全部入れろ、全部な」

銀行員「ひっ」

「はやくしろ!」


530 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 21:42:51.57 ID:6NeKsvfc0
「あー、人質のみなさん。誠に残念なお知らせだがよ、今からこの銀行は俺たちが占拠した」

「大人しくしてろよ、騒いだり暴れたりしたら手が滑ってコイツの引き金を引いちまうからよ」

「俺も本当はそんな事したかないが、不幸な事故が起こらないとも限らないからな……へっへ」

「まだ五体満足で居たいだろ? そうだろ? ケガはしたくないもんな、わかったら一箇所に固まれ」


保護者「ちょっと! どういう事ですの! 話とちが──」

「あぁ?! なんだこのババア!」

ドガッ!

保護者「きゃっ?」

男「……女性に暴行を加えるのは感心しませんね」

「なんだお前! この銃が見えないのか! 大人しくしてないと──」

男「わかりました、大人しくします」

「……っち、わかればいいんだよ。はやくあっちに行けっ」

男「保護者さん、大丈夫ですか?」

保護者「え……えぇ、大丈夫ですの……でもあなた」

男「これくらいなんでもないです、平気ですよ」

531 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 21:45:55.12 ID:6NeKsvfc0
「おい! まだか!」

銀行員「ひっ」

「はやくしてくれよ、俺は急いでるんだよ。わかるか? 早くしないと車に乗ったこわーいおじさん達が俺を追っ掛けにきちまうからよ、へっへ」

銀行員「あの……でも……」

「口ごたえしてる暇があったらとっとと手を動かしやがれ!」

銀行員「ひぃ」

533 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 21:49:59.22 ID:6NeKsvfc0
保護者「ご、強盗ですの……ほ、本物、本物の」

男「静かにしていましょう、彼らを刺激するのはあまり得策ではないです」

保護者「……彼ら? 犯人は一人ですのよ?」

男「最初に’この銀行は俺たちが占拠した’って言ってたじゃないですか。少なくともあと1人は実行犯がどこかに潜んでいるはずです」

保護者「そんな……」

男「とにかく今は静かに──」


「はやくしろっていってんだろうが!」


保護者「ひっ」ビクン

男「……」


535 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 21:53:35.72 ID:6NeKsvfc0

ザワ

ザワ


「ねーねー、なんか騒がしくない?」

「見て見て、パトカーがいっぱいきてるよ」

「事件とか?」

「まさか銀行強盗だったりして」


幼女「……ぎんこー?」


「やだー、こっわーい」

「ちょっと聞いた? 拳銃もって立てこもりだって!」


幼女「……おじさん?」

537 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 22:00:02.42 ID:6NeKsvfc0
「はい、ここから立ち入らないでください」

「危険ですので、みなさんは下がってください~」



警部「……状況は?」

「従業員、客を合わせて少なくとも15人以上が内部に取り残されたままです」

警部「犯人の人数は? 要求は?」

「確認されているのは1名、要求などは現在届いておりません」

警部「……ふむ」

「いかがいたしましょう、警部」

警部「何か要求があった場合は最大限譲歩しつつ人名の救出が最優先だ」

「はっ」

警部「隙があればいつでも制圧できる準備を整えておけ、いいな」

539 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 22:06:06.79 ID:6NeKsvfc0



「あーあーあーあー、まったく。ねーちゃんがトロトロしてるから車に乗ったこわーいおじさん達が到着しちゃってくれやがったじゃねえの」




銀行員「そんな……、私は何もっ」

「お前、通報しやがったな?」

銀行員「ひっ?」

「死ぬか?」

銀行「……いや……いや……」

「はっは、嫌だよな。そうだよな、よーし、それじゃあ今から言う番号に電話をかけろ」

540 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 22:11:37.43 ID:6NeKsvfc0
男(あの男、……巧妙だな)

男(もう一人犯人がいる事をちらつかせて私達を動かせないように仕向けた)

男(潜んでいるとしたらこの、人質の中に紛れ込んでいるのだろう)

男(……、もし騒いだり暴れたりした場合、最悪射殺……)


男(だが、あの言葉が嘘だったら?)

男(実行犯は一人だとすれば、上手く隙をつければ……)

男(いや、……何をバカな、危険が大きすぎる)

男(くそ、打つ手がないな)

542 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 22:21:00.40 ID:6NeKsvfc0
『よーーーーーーう、俺が誰だかわかってるよな?』

警部「あぁ、だいたいな」

『だったら話は早い、早速逃走経路を用意してもらおうか』

警部「そんな要求がのめると思っているのか?」

『あらー? そんな事言っていいのかな? こっちには人質が居るんだよ? 俺と違って善良な一般市民がよ、へっへ』

警部「く……」

『15分後にまた連絡する』

543 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 22:27:05.18 ID:tbNP+CQB0
よーーーーーう!

544 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 22:27:32.85 ID:6NeKsvfc0
「ち、話のわからねぇおっさんだぜ」


子供「えっ……えっ、びえぇぇぇぇぇぇ~~~ん!」

母親「こらっ、静かにしてなさい」

子供「えぇぇぇぇ~~~ん!!」

母親「お願いだから静かにしてちょうだいっ」


「あー? なんか騒がしいなあ」


母親「……」

「お前が親か」

母親「……はい」

「黙らせろ」

母親「……、はい……」


545 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 22:31:43.34 ID:6NeKsvfc0
男「ちょっと待ってくれ」

「なんだぁ?!」

男「子供に手を出すなんて最低だぞ」

「あんだと?!」


ザワザワ

ヒソヒソ

ソウヨネ

「お前ら黙れっ!」

ザワザワ

546 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 22:33:35.35 ID:6NeKsvfc0
男「まだこんなに小さいんだ。お腹が空いたら泣く、お漏らしをしたら泣く、当たり前だろ」

「うるせえ、黙れっ!」

男「その子に手を出して見ろ、私が許さないぞ」

「く、……言わせておけば! 撃てるんだぞ、お前なんか簡単に──!」

男「撃てるものなら撃ってみろ、本当に撃てるのならな」

「なめやがって……!」


犯人B「待て、熱くなるな」

547 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 22:37:41.48 ID:6NeKsvfc0
犯人B「無駄弾を撃つんじゃない」

犯人A「でもよっ」

犯人B「黙れ」

犯人A「……っち」


犯人B「おいお前」

男「はい?」

犯人B「お前の首に俺が当ててるモノ、何かわかるな?」

男「……」

犯人B「こいつはただの包丁だが、昨日俺が丹精込めて磨いたものでね。さて、どんな切れ味なのか試してみたい気分だ」

男「そいつで料理を作れば最高に美味しいんだろうな」

犯人B「まだディナーの一品にはなりたくないだろ? 大人しく座っていろ」

男「……わかった」

548 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 22:45:26.31 ID:6NeKsvfc0
犯人B「そろそろ時間だな、もう一度電話をかける」


警部「……俺だ」

『やあ』

警部「……さっきの声と違うな」

『そこは今気にしなくても良い』

警部「……なんだ」

『要求は聞き入れられましたか? 警部さん』

警部「いま上と相談中だ」

『随分と悠長なんですね、あまりに遅いとあらぬ行動を取ってしまうかもしれませんよ?』

警部「まて! はやまるな!」

『なーんてね、冗談ですよ』

警部「……く」

『5分後、水と食料を寄越してください。正面玄関前に警部さん、あなたが一人で置きに来るんだ。こちらは私が受け取りにいきましょう、もちろん、妙な真似をすれば……わかってますね?』

549 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 22:49:22.43 ID:6NeKsvfc0
犯人A「ほらよ、水だ。飲ませろ」

母親「……」

犯人A「……っち」



男「すみません」

犯人A「またお前か! なんだ!」

男「その子、随分と苦しそうにしてると思いませんか?」

犯人A「あぁ?!」

男「頬も随分赤い、熱があるみたいだ」

犯人A「だから何だって言うんだよ!」

551 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 22:51:35.75 ID:6NeKsvfc0
男「人質なら私が請け負う、だから女性と子供達を開放してほしい」

犯人A「お前、何を勝手な事を──」

犯人B「まて」

犯人A「でもよ、こいつ生意気だぜ?」

犯人B「確かにこれだけの人数を俺ら二人で見るのはあまり現実的じゃない、こいつの言うとおり人質は少ないほうが良い」

犯人A「……っち」

男「どうなんだ」

犯人B「いいだろう、その通りにしよう」

男「ありがたい」

犯人B「ただし──」

552 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 23:00:40.37 ID:6NeKsvfc0



「ちょ、ちょっと。だめですよ、入ったら!」



幼女「おじさん、おじさんが中に!」

「警察に任せて、下がっててください」

幼女「いやっ、離してっ! 助けにいくの!」

警部「どうした?」

「いや、この子が……」

警部「ん~? お嬢さん、どうしたのかな?」

幼女「おじさんが、中にいるの」

警部「おじさん?」

幼女「あたしのおじさん!」


553 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 23:01:39.25 ID:6NeKsvfc0
警部「そうか、君のおじさんは必ず私達が助けるからね」

幼女「う~~~~~」

警部「市民を守るのが警察の仕事だ、任せてくれ。お嬢さん」

幼女「む~~~~~」

警部「約束しよう、必ず助け出してみせる」

幼女「……わかった、よ」

警部「誰か、この子を頼む」



「警部、犯人から連絡です」

警部「わかった」

554 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 23:03:17.80 ID:6NeKsvfc0
『よーーーーーーーーーう、俺だ。逃げ道作ってくれた?』

警部「今、調整中だ」

『調整中ね、言葉をコロコロ変えちゃって役者だねえ? そんなに自分の首が大事?』

警部「何を……」

『良い知らせをくれてやる』

警部「何だね?」

『いまから女と子供を解放する』

555 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 23:09:16.65 ID:KxXbJNfw0
追いついたしえn

556 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 23:10:01.95 ID:6NeKsvfc0
保護者「……どうしてあたくしだけ……」

男「すみませんね、てっきり私以外は解放してくれると思ってたんですが」

保護者「……いえ」

男「幸い水も食料も届いています、じっくり助けを待つことにしましょう」

保護者「あの」

男「はい?」

保護者「どうして、あなたはそんなに平然としてますの?」

男「昔ね」

保護者「?」

男「ちょっと……色々ありまして」

保護者「何ですの?」

男「姉が──」



犯人A「よーーーーーーーーーう、楽しくお話してるところ悪いな。どうやら警察はお前ら救う気は無いらしいぜ?」

557 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 23:13:14.45 ID:6NeKsvfc0
保護者「なっ? そんな事ありませんのよ!」

犯人A「せっかく人質を一部解放してやったのによ、俺らの要求に応える気は無し」

保護者「それはっ」

犯人A「お前らの命なんざ、結局あいつらには関係ねーって事だ」

保護者「そんな……そんなはず……」

犯人A「へっへ、お前も哀れだよなぁ」

保護者「……く」

犯人A「おっと、あんまり動かないこった。こいつが火を噴くぜ?」

保護者「……」

560 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 23:17:15.96 ID:6NeKsvfc0
男「それくらいにしないか」

犯人A「あぁ?!」

男「あまり人をからかうもんじゃない」

犯人A「ったくよ! お前、ほんっとに生意気だよなあ! 居たぜ、俺の知り合いにもお前みたいなやつがよ! あーもう思い出しただけでも反吐がでそうな程良い人ぶったヤツがな!」

男「それは良い、その人とぜひ知り合いになりたいものだな」

犯人A「残念ながらお前はここでお終いだけどな」

犯人B「やめろ、バカ」

犯人A「……っち」

犯人B「つまらない事で熱くなるな、目的を忘れるな」

犯人A「わーったよ」


561 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 23:21:56.69 ID:Wd+4uRDa0
>居たぜ、俺の知り合いにもお前みたいなやつがよ! あーもう思い出しただけでも反吐がでそうな程良い人ぶったヤツがな!

フラグ!?


565 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 23:25:31.87 ID:6NeKsvfc0
ザワ

ザワ


先生「……ハァ……ハァ」

幼女「あ、先生」

先生「……ハァ……、無事?」

幼女「あたしは、外で遊んでたから……でもおじさんがまだ中に居るの」

先生「そんなっ、さっきニュースで人質は解放されたって」

幼女「おじさんが……がんばってるみたいなの」

先生「え?」

幼女「おじさんが、みんなを助けたんだって。けーぶさんが言ってた」

先生「そうなの?」

幼女「だから、あたしも、がんばっておじさんを待つの」

先生「……そう、でもこのままだと風邪をひいてしまうわ」


566 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 23:28:34.03 ID:6NeKsvfc0
幼女「へーき」

先生「でも」

幼女「へーき」

先生「……じゃあ先生もここで待つわ」

幼女「せんせ?」

先生「無事くらい祈らせてもらってもバチは当たらないでしょ?」

幼女「うんっ」

先生「お願い……無事で居てっ」

567 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 23:32:15.52 ID:6NeKsvfc0
女の子「おかあさん……遅いなあ」

女の子「でも車から出ちゃいけないって言われてるし……」

女の子「もうかなり経つよね」

女の子「……ちょっと、ちょっとだけなら良いよね?」

女の子「出ちゃえ」

パタン

女の子「うぅ、さむいなぁ」

女の子「はぁ……おかあさん、なにやってんだろ」

569 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 23:35:12.99 ID:6NeKsvfc0
ザワ

ザワ

女の子「なんだろこの人だかり……」

女の子「う~ん、背伸びしても見えないや」

女の子「すみません、とおして……」

女の子「ぷは」

女の子「やっと出た」

女の子「あれ、……あそこに居るのって」

幼女「……」

先生「……」

女の子「二人してなにやってるんだろ? おーい」

570 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/28(火) 23:43:11.51 ID:C2nL61nZO
Wktk

575 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 00:02:10.59 ID:itsA5ADt0
先生「────というわけなの」

女の子「え?」

先生「あなたのお母さんは、あの中よ」

女の子「そん……な……」

先生「辛いでしょうけれど、今は待つしか……」

女の子「……うそ、うそだ……」

女の子「おかあさん、さっきまで、そばにいたのに」

女の子「ねえ、なんで?」

女の子「なんで?」

女の子「わたしがおかあさんの言う事守らなかったから?」

女の子「わたし……わた……たしがっ」

576 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 00:03:15.33 ID:6NeKsvfc0
幼女「大丈夫だよ」

女の子「おかあさん、ほんとはね、ほんとは、いい人なんだよっ」

幼女「大丈夫」

女の子「本当はずっと怖がりで、いつも誰かにかまって欲しくて、寂しがりやさんなのっ」

幼女「うん」

女の子「ちょっと……お父さんとケンカしちゃって……最近はずっと大変で……でもっ、でもっ」

幼女「うん、わかるよ。大丈夫」

女の子「わたしが、わたしが……うぅ……」

幼女「大丈夫だよ、おじさんが何とかしてくれるよ」

女の子「うぅ”……う~、うえぇぇええええ~~~ん、おかあさあああああん」

幼女「よしよし、こわくない。こわくないよ」

577 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 00:08:37.90 ID:itsA5ADt0



幼女「おじさん、……大丈夫だよね?」



保護者「ちょっと、大丈夫ですの?」

犯人A「るっせぇ! ほっとけ! こんなのかすり傷だ! 畜生、バリケード張るのも一苦労だぜ」

保護者「いいから見せますの!」

犯人A「……なんでもねぇっていってんだろ」

保護者「確か絆創膏が……ありましたの、これを張っておきますのよ」

犯人A「……っち」

保護者「ふん、大人しく言う事を聞きますの」

578 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 00:10:21.59 ID:KnOOk1kh0
保護者さん可愛い

579 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 00:12:38.31 ID:itsA5ADt0
男「おい、これはこっちで良いのか?」

犯人B「ああ」

男「よ……っしょっと」

犯人A「……良いのかよ」

男「何がだ?」

犯人A「俺らはお前らを人質に取ってるんだぜ? なんつーか、そのよ、なんで協力的なんだ?」

男「これから共同生活が始まるわけだしな、仲が悪くてはお互い損しかしないだろ?」

犯人A「……」

男「そういう事だよ」

580 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 00:20:08.90 ID:itsA5ADt0
保護者「そういう事ですの」

犯人A「……っち」

保護者「わかったらさっさと絆創膏を張りますのよ」

犯人A「あーもう、わかった。わーったよ!」


犯人B「……」

男「なあ」

犯人B「なんだ?」

男「あんた、子供がいるのか?」

犯人B「……なぜそんな事を聞く?」

男「子供が泣いた時、水を要求してたから。優しい人だと思ったよ」

犯人B「はっ、強盗に優しいもクソもないだろう」

男「ははは、そりゃそうだ。言えてる」

犯人B「……ガキが、一人」

男「そうか、元気で?」

犯人B「さあな、別れた嫁についていったよ。もう10年以上会ってない」

581 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 00:24:24.20 ID:itsA5ADt0
男「10年か、そしたらもうかなり大きくなってるんじゃないか?」

犯人B「もう……見てもわかんねえよ」

男「実は私も今、子育て真っ最中なんだが」

犯人B「お前が……?」

男「なかなかどうして、手間がかかるものだな。子供というのは」

犯人B「そりゃそうだ、腹が減ったら泣くし、小便を漏らしただけで泣く。夜はうるさくてかないやしねぇ」

男「まったくだ」

犯人B「まぁ……悪くはなかったがよ」

男「そうだろ? そういうもんだよな」

犯人B「ふ」

男「会いたいとは思わないのか?」

犯人B「思ったさ」

男「なら」

犯人B「今更こんな親父に会ってどうする、わざわざ失望させてやることはないさ」

582 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 00:28:44.50 ID:itsA5ADt0
男「そうかい」

犯人B「……時間だ、電話をする」




犯人A「どわっ」

保護者「もう! 何をやってますの! 殺人的に不器用ですの!」

犯人A「さっきからうるせぇんだよ! 何様のつもりだよ!」

保護者「いいから貸しますの!」

犯人A「あ、ちょ」

保護者「こんなもの、こうすれば」

犯人A「……この女……瞬間接着剤、鍵穴にぶちこみやがった」

保護者「何を言ってますの、あなたがあまりに下手糞だから代わりにやっただけですの!」

583 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 00:31:41.38 ID:itsA5ADt0
ザワ

ザワ


警部「内部の様子はどうだ?」

「人影が動いているのが確認できますが、それ以外は……遮蔽物が邪魔をしています」

警部「くそ! あまり長引くと人質にも悪影響が出る……」

「警部、どうされますか?」

警部「ぐ……、上からは待てと言われている……」

「ですが!」

警部「わかっている! このまま長引けば長引くほど我々は不利だ……」

「だったら」

警部「軽率な行動に出て人命が失われたらどうする!」

「っ」

警部「耐えるんだ、機会を待て」

「はっ」

584 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 00:38:27.93 ID:itsA5ADt0



保護者(……これでいいんですのね?)



男『ちょっといいですか?』

保護者『なんですの?』

男『し、あまり声を大きくしないで聞いてください。犯人達に聞かれたくない』

保護者『……はい』

男『リマ症候群という言葉に聞き覚えは?』

保護者『ありませんの』

男『なら、今から極力犯人側に協力的な態度をとってください』

保護者『なっ』


585 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 00:41:34.70 ID:itsA5ADt0
保護者『そんな事……危険ですの』

男『大丈夫、彼らも罪を大きくはしたくない様ですし。我々を傷つける事は考えにくい、大切な人質ですからね』

保護者『でも……そんな事をしてどうなりますの?』

男『少なくとも、このまま膠着しているよりはマシな程度です』

保護者『そんなっ』

男『でも。そこからなにか糸口をつかんでみせます、必ず』

保護者『……わかりましたの』

男『生きて帰りましょう』

保護者『当たり前、ですの』

636 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 13:12:23.79 ID:itsA5ADt0
TV『さて、続きまして昨日からお伝えしているニュースですが……○○市の銀行に強盗二人が立てこもる事件が発生しています』

TV『現場からお伝えします、そちらの様子はどうですか?』


『はい、現場です。時折中で人影が動いているのがこちらからは確認できますが、警察側と犯人側で膠着状態が続いております』

『冬空の下、現場には緊張と疲労の色が見て取れます』

『情報によりますとまだ人質二名が中に取り残されたままという事で、安否が心配されます』

『事件発生から36時間、一向に解決の糸口が見出せないまま、事態は平行線を辿っております。現場からは以上です』


TV『ありがとうございました。捕らわれている二名は子供を近くの幼稚園に通わせている親という事で、子供達も相当心配されているのではないでしょうか』

TV『なお、この実行犯は先月のショッピングモールへの強盗事件、先々月のATM襲撃事件と同一犯かと目されており────』

TV『────続きまして専門家の方の意見を聞いてみましょう』


プチン

637 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 13:13:59.74 ID:itsA5ADt0
──フッ


男「ん……? 電気が」

犯人A「消えた?」

男「停電か?」

犯人A「ブレーカーを見てくる、妙なマネはするなよ」

男「わかったよ、懐中電灯をもらってもいいかな?」

犯人A「あぁ、ほら。つかえ、お前も」

ポイ

保護者「わ、わ。いきなり投げるなんて危ないじゃないですの!」

犯人A「ったく、うるさい人質だぜ」

保護者「ふん」

638 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 13:14:41.35 ID:itsA5ADt0
カチ

カチカチ

カチ


男「ん? ちょっと壊れてるのかな?」


カチ

カチ


男「あ、ついた」

保護者「わたしくのと交換しますの?」

男「いや、いいですよ」

保護者「ああはやく明るくなって欲しいですの」

男「大丈夫ですよ」

保護者「……」

男「きっとね」


640 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 13:20:49.15 ID:itsA5ADt0
ゴト

保護者「ひっ」

男「大丈夫、怖くないですよ」

保護者「はぁ……、なんだかどっと疲れましたの」

男「ちょうど外も暗いですし、少し睡眠を取られては?」

保護者「あなたが起きているのにわたくしだけ眠るわけにはいきませんの」

男「そうですか」

保護者「そうですのよ」


641 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 13:23:50.38 ID:itsA5ADt0
保護者「それにしても、ただでさえこんな状況で停電とか……勘弁願いたいですのよ」

男「大丈夫ですか? お手洗いとか」

保護者「……」

男「あまり我慢なさらない方が……」

保護者「……そうですのね」

男「なあ」

犯人B「なんだ?」

男「女性がお手洗いに行きたいそうだ」

犯人B「……好きにしろ」

男「わかった。ほら、立てますか?」

保護者「ありがとう、ですの」

643 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 13:37:00.20 ID:itsA5ADt0
保護者「大丈夫、一人で行けますのよ。懐中電灯もあることですし」

男「わかりました、お気をつけて」



犯人B「……」

男「エアコンも切れたみたいで、少し寒いですね」

犯人B「……あぁ」

男「ついてませんね、停電なんて。向こうの仕業ですか?」

犯人B「これが計画的な停電なら警察がこの隙に突入してるだろ、そうじゃないってことはどっかに落雷でも落ちたか」

男「あるいはケーブルが焼ききれたか」

犯人B「……どっちにしろ、状況は変わらんさ」

男「そうですか」

644 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 13:42:17.05 ID:itsA5ADt0
犯人B「お前も……子供が居るんだったな」

男「そうですね」

犯人B「すまないな」

男「何を?」

犯人B「……いや、あの時間お前がここに居なければ、巻き込む事もなかったと思ってな」

男「あの子は、強い」

犯人B「?」

男「子供ってのは、大人が思うよりも、もっとずっと強いものですよ」

犯人B「あ? ……あぁ、そうだな」

男「きっと今も私の無事を祈ってくれていると思いますよ」

犯人B「はっ、それはそれは」

男「あなたのお子さんも、……同じ気持ちなんじゃないでしょうか?」

645 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 13:45:51.00 ID:itsA5ADt0
犯人B「さあな」

男「……」

犯人B「もう顔も思い出せないんだ、何を考えているかなんてわからねえよ」

男「どんなお子さんだったんですか?」

犯人B「……そうだな、子供のくせにやけに強気で、よく転んで、よく泣いて、よく喋る……どこにでもいる子供だな」

男「特別ですよ」

犯人B「あん?」

男「あなたにとっては、ね」

犯人B「……」

646 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 13:50:52.69 ID:itsA5ADt0


ドン!



犯人A「いてっ?」

保護者「いったたたたたた。もう! どこを見てますの!」

犯人A「あぁ?! お前こそ何勝手にほっつき歩いてんだよ!」

保護者「お手洗いですの、許可はいただいてますのよ」

犯人A「……っち」

保護者「停電、直りそうですの?」

犯人A「ちょろいもんだぜ、これをこうして、こうして……」

保護者「随分慣れた手つきですのね」

犯人A「昔、仕事でな」

保護者「まぁ! 昔から強盗を?」

犯人A「バカ、ちげーよ。ちゃんと給料もらって働いてたさ」

保護者「そんな真面目な人がどうしてこんな事を?」

647 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 14:00:32.93 ID:itsA5ADt0
犯人A「……」

保護者「わたくしで良ければ聞きますのよ」

犯人A「……友人を一人、だましたんだよ。俺は」

保護者「ご友人を?」

犯人A「儲け話──、まぁ。金がすぐ手に入るから協力してくれっていったらホイホイ付いてきやがってよ」

保護者「まぁ」

犯人A「その時俺はギャンブルで作った借金でヤキが回っててな、どうしても金が欲しかったんだよ」

保護者「お金……」

犯人A「まったくバカなヤツだ。今思い出しても笑えるくらいにな」

保護者「でも、素敵なご友人ですのね」

犯人A「……バカだよ、あいつは最後の瞬間まで自分が騙されてるなんてこれっぽっちも思っちゃいなかった」

保護者「それは、あなたを信じていたからでは無いですの?」

648 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 14:01:43.27 ID:itsA5ADt0
犯人A「……信じていた、か」

保護者「そうですのよ、世の中そんな人はあまり居ないですのよ?」

犯人A「……」

保護者「それだけあなたとその人の間に絆があったんじゃありませんの?」

犯人A「……ずっと、後悔してるんだ」

保護者「?」

犯人A「どれだけ悪い事をしたかわかってる、これが成功したら海外でやり直すつもりなんだ。時期がきたらちゃんと償いだってする」

保護者「それなら……」

犯人A「ただ」

保護者「?」

犯人A「俺はあいつになんて顔して会えばいいか、わからねえんだ……」

650 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 14:11:32.10 ID:itsA5ADt0
「お嬢ちゃーーーーーん!」

幼女「あ、お兄さん!」

「ハァ……ハァ……テレビで見やしたよ!」

幼女「すごい汗、大丈夫?」

「いやもう、居ても立ってもいられなくなって走ってきたんすよ。お嬢ちゃんこそ、ずっとここに?」

幼女「……うん」


先生「あの、どちら様で?」

「おっと、申し遅れやした」

「あっしは、幼稚園のお隣で農家をやっとるもんでさあ。以後お見知りおきを」

先生「あ、雷さんのところの?」

「へいそうです、いつも父がお世話になってます」

先生「いえ、いつも新鮮な野菜を届けてくださってありがとうございます」

畑の兄さん「へへっ、お役に立てて光栄ですぜ」

651 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 14:23:21.26 ID:itsA5ADt0
キキーー

バタン


畑の兄さん「父ちゃん!」

「バカ息子が一人で先に突っ走りよってからに! 老人に運転させよって!」

畑の兄さん「で、でもよ」

「なにをボサっと突っ立っとるんじゃ?」

畑の兄さん「え?」

「さっさと手伝うんじゃ、新鮮な野菜のカレーを作って皆さんに体力をつけてもらうぞい」

畑の兄さん「合点承知だ!」

652 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 14:28:56.58 ID:itsA5ADt0
先生「あの、私も手伝います」

幼女「あたしも!」

女の子「わたしも!」

畑の兄さん「よーし、全員協力してやるっすよー!」


「おー!」




653 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 14:34:21.43 ID:itsA5ADt0
幼女「けーぶさん、これたべて」

警部「ん? カレーかい?」

幼女「みんなでつくったの」

警部「ありがとう、いただくよ」



「警部っ、中の様子がっ」

警部「……ん? 電気が消えたな」

「どうします?」

警部「待て、なんだ……? 光が……?」

654 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 14:40:28.42 ID:itsA5ADt0
--・・
-・
--・

--・・
・・
--・-・


警部「……」


--・・
-・
--・

--・・
・・
--・-・


警部「メッセージだ……人質は二人とも無事だっ」

幼女「おじさん!」

女の子「おかあさん!」

655 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 14:41:32.19 ID:7GDC/nXL0
もうすぐバイトだ
頼む夜までsageないでくれ

656 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 14:41:56.18 ID:oToEXsK3O
保護者は25~29くらいかな…

657 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 14:48:44.69 ID:itsA5ADt0
男(さて……、私にできる限りの事はした)

男(子供を上手に使って人質を解放して、犯人のもう一人を炙り出した)

男(犯人側からある程度の信頼を得る事もできた、少なくともトイレに行くくらいの自由を勝ち取った)

男(電気を落としてこちらの意思も外に伝えた)

男(だが……まだ向こうには拳銃がある)

男(……くそ)

男(あと一手で良い、突入の機会を作りさえすれば……)

男(……何か、何かないのか……?)

658 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 14:49:03.19 ID:yfcNU/Hp0
モールスの最後
・・
がないよ。

660 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 15:01:39.19 ID:itsA5ADt0
パ


保護者「あ、電気が付きましたの」

男「ほんとですね」

犯人A「ちょろいもんよ」

犯人B「……」

保護者「おなか空きましたの……」

犯人A「あいつら、何か美味そうなモン食ってやがるな」

保護者「この香り……カレーですの?」

犯人A「ったく、暢気なもんだぜ」

661 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 15:07:51.01 ID:itsA5ADt0
犯人B「そういやあいつも……カレーが好きだったな……」

保護者「ま、そうですの?」

犯人B「嫁が入院してた時な、俺が作ったカレーをうめえうめえって食いやがるんだよ」

男「当たり前ですよ」

犯人B「あん?」

男「あなたが丹精込めて作ったカレーが不味いわけありません」

犯人B「……」

男「子供は意外と、そういうところに敏感なんですよ」

犯人B「そうか……、そうだったのか……」

663 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 15:28:07.47 ID:itsA5ADt0



チクタク

チクタク




男「なあ」

犯人B「……なんだ?」

男「今からでも自首しないか?」

犯人A「ばっ! 何言ってんだてめぇ!」

男「これ以上罪を重くする事はない、今ならまだ。やり直せる」


664 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 15:30:24.78 ID:itsA5ADt0



チクタク

チクタク


先生「はい、これ食べて元気だしてくださいね」

畑の兄さん「まだまだあるっすよー」





665 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 15:31:49.70 ID:itsA5ADt0




チクタク

チクタク


警部「中の合図でいつでも突入できるようにしておけ」

「はっ」





666 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 15:32:42.03 ID:itsA5ADt0




チクタク

チクタク


幼女「おじさん……」

女の子「おかあさん……」




667 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 15:36:43.55 ID:itsA5ADt0



チクタク

チクタク



男「どうなんだ」

犯人B「……」

男「なあ?」

犯人B「そうだな……、もう疲れた……か……」

犯人A「ちょ、待てよ。お前! それでいいのかよ!」

犯人B「……」

男「お前はどうするんだ?」

犯人A「決まってるだろ! お前らがそのつもりならこの銃で……」

669 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 15:40:08.85 ID:itsA5ADt0
チクタク

チクタク



犯人A「あれ? 銃が無い、どこに──」

保護者「お探しのものはこれですの?」

犯人A「なっ」

保護者「形勢逆転ですの!」

犯人B「……俺達の負けだ、もう……ここまで、だ」

犯人A「ばか……な」

保護者「大人しくしてもらいますのよ!」

男「さあ、外に電話をかけてもらおうか」



「突入! 突入だ!」


670 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 15:44:01.74 ID:itsA5ADt0
「ほら、暴れるな」

「大人しくしろ!」

犯人A「いってぇ! いてえよ! 暴れねえから押さえつけるの辞めろって!」

「静かにしろ!」

「ほら、さっさと歩け!」



犯人B「……ありがとう」

男「はい?」

犯人B「俺たちは、本当は……誰かに引導を渡して欲しかっただけなのかもしれない」

男「まだやり直せますよ、きっと」

犯人B「そうだろうか」

男「諦めちゃだめです」

671 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 15:46:49.34 ID:itsA5ADt0
男「保護者さん! すごいじゃないですか、一体いつの間に奪っていたんですか?」

保護者「ふふ、敵を欺くにはまず味方からですの」

男「いやぁ、もうダメかと思いましたよ」

保護者「これで一件落着、ですのよ」

男「ですね」

保護者「帰りますの、わたしく、少し疲れてしまいましたの」

フラッ

男「あ、」

ガシ

保護者「かたじけませんの」

男「いえ」

672 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 16:00:19.14 ID:itsA5ADt0
保護者「これで、生きて帰れますのね」

男「そうですね」

保護者「……今回はあなたに助けられましたの、だから借り一つという事にしておきますの」

男「は?」

保護者「あたくし、借りたものはキチンと返す主義ですのよ」

男「はは、そうですか」

保護者「ま、まぁ。これから特別に仲良くして差し上げてもよろしくってですの」

男「はい。これからもあの子共々、よろしくおねがいしますよ」

673 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 16:05:34.47 ID:itsA5ADt0



畑の兄さん「いやー、良かった。良かったっすねぇ」

先生「無事に解決してくれて、本当に……」

畑の兄さん「あっしはもう、ハラハラドキドキで……」

先生「私も……」

畑の兄さん「ところで犯人ってどんな人なんっすかね」

先生「さ、さあ?」

畑の兄さん「ちょっと見にいくっすよ」

先生「あ、ちょ」

674 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 16:06:19.84 ID:itsA5ADt0


犯人A「──お前っ」

畑の兄さん「……」

犯人A「……」

畑の兄さん「……久しぶりっすね」

犯人A「……」

畑の兄さん「面会! 絶対いきやすよ!」

犯人A「……」

畑の兄さん「元気してるっすよ!」

犯人A「……っち」

畑の兄さん「わかってるんすか!」

犯人A「ったく、いつまで経ってもとんだお人好し野郎だぜ……」

「さあ、歩け」

犯人A「あーもう、わかった。わかったってば」

677 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 16:08:41.11 ID:itsA5ADt0



先生「……あのひと」

犯人B「……」

先生「ちょ、ちょっと待ってくださいっ」

犯人B「なんだ?」

先生「あ……あのっ」

犯人B「……」

先生「……」

「ほら、行くぞ。とっとと歩け」

犯人B「……あぁ」

先生「……」




バタン

犯人B「……そうか……、知らない間に……大きくなったんだな……」

678 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 16:14:36.09 ID:itsA5ADt0


幼女「おじさん! おじさん!」

男「ただいま」

幼女「おかえり!」

男「すまないな、随分待たせた」

幼女「あのね、あのね!」ギュ

男「うん?」

幼女「あたし、ずっと。信じて待ってたよ! ずっと! おじさんなら大丈夫って!」

男「あぁ……」

幼女「おじさん! おじさん! おじさんが……ぶじ……ぶ……ふえぇぇぇぇぇ~~ん」


679 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 16:20:35.85 ID:itsA5ADt0
男「よしよし、怖かったかい?」

幼女「ごわ”ぐな”い”……」

男「ほら、私は大丈夫」

幼女「おじさん……おじさん、ずっと、ずっとあたしのそばに居て……」

男「……」

幼女「ずっと……離れないで……」



先生「ずっと泣かなかったんですよ、この子」

男「先生」

先生「おじさんを待つんだって、ずっと。むしろ女の子を気遣ってさえいました」

男「……そうですか」

先生「でも、安心して溢れてきちゃったみたいですね」

680 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 16:21:55.23 ID:itsA5ADt0
先生「私も……ずっと不安だったんですよ」

男「先生」

先生「怪我はないですか?」

男「えぇ、おかげさまで」

先生「痛いところは?」

男「ずっと座っていたからお尻が少し痛むくらいですね、ははは」

先生「もう!」

男「すみません、ご心配をおかけしました」

先生「心配くらいさせてください」

男「……はい」

682 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 16:27:13.61 ID:itsA5ADt0


女の子「おかあさん!」

保護者「あら」

女の子「おかあさん、おかあさん、おかあさん、おかあさん、おかあさん!!」

保護者「はいはい、おかあさんですのよ」

女の子「うぅぅぅぅうううう~~~~~~」

保護者「不安にさせてごめんなさいですの」

女の子「おかあさん……」

保護者「わたくし、あなたに謝らないといけない事がありますの」

女の子「え?」


683 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 16:28:48.40 ID:zIii2tVnO
しえん

685 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 16:36:12.79 ID:itsA5ADt0
保護者「振り返るとわたくしの自分勝手であなたに随分辛く当たってしまった事が沢山ありますの」

女の子「そんな……良いよ、そんな事」

保護者「いいえ、わたくし、間違ってましたの。今回の事で色々気づかされましたの」

女の子「おかあさん」

保護者「あの人を見習って、わたくしも今日からがんばりますの……だから、ついてきてくれますの?」

女の子「そんなの……」

保護者「?」

女の子「そんなの、当たり前だよっ! わたしのおかあさんはおかあさんだけなんだからっ!」

686 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 16:38:02.83 ID:itsA5ADt0


「お前……」

保護者「あなた……どうして……」

「よかった……無事で……、心配したんだぞ……」

保護者「仕事で東京だったのでは……」

「お前の命より大切なものが他にあるか!」

保護者「ふふ……、うれしい事を言ってくれますの」

「すまない、今までつまらない意地ばかり張ってしまって……」

保護者「わたくし達、今まですれ違ってばかりで……もっと話し合うべきでしたのね」



688 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 17:00:27.11 ID:itsA5ADt0



警部「それでは後日、色々とお話をお伺い致しますので──」

男「ええ、わかりました」

警部「あの」

男「?」

警部「新人の頃、あなたの姉上には色々とお世話になっておりました」

男「あぁ、そうですか」

警部「今は、お元気で?」

男「……えぇ、まぁ。向こうで元気にしてますよ」

警部「そうですか、それは良かった。よろしくお伝えください」

男「わかりました」

警部「それでは、失礼致します」

男「お疲れ様でした、警部さん」


693 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 17:14:03.92 ID:itsA5ADt0
二箇所間違ってました。
申し訳ない、どうやら疲れてるのは自分の方みたいです。

>>638
×保護者「わたしくのと交換しますの?」
○保護者「わたくしのと交換しますの?」

>>671
×保護者「帰りますの、わたしく、少し疲れてしまいましたの」
○保護者「帰りますの、わたくし、少し疲れてしまいましたの」

694 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 17:24:46.19 ID:itsA5ADt0
保護者「大団円ですのよ」

男「さ、我々も帰りましょう」

保護者「ですのね」

幼女「かえろっ、おじさん」

保護者「かえりますのよ、二人とも」



「あの~……、お取り込み中すみません。ちょっといいですか?」



695 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 17:26:09.73 ID:itsA5ADt0
保護者「ん? 誰ですのあなた?」

「えぇ、すみません奥さん。あの男性をちょっと脅かす仕事を請け負ってたんですが……」

保護者「……」

「ちょっと寝坊しちゃいまして、へへっ」

保護者「……ナンノ事デスノ? 誰デスノ、アナタ」

「えぇっ、そりゃないですよ」

警部「む。あやしい人物だな」

「ちょ……やべっ、にげろっ」

警部「あいつを追えっ!」

「ひえぇぇえぇええ~~~~!!!!」

696 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 17:28:31.52 ID:itsA5ADt0
とりあえずここまでで、
また晩御飯たべたらもどってきます。




698 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 17:35:25.78 ID:EvMYG/Sh0
楽しみにまっとります

700 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 17:58:37.17 ID:bSPkLJu90
いいな

703 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 18:10:12.41 ID:sO/P1wt40
>>693から>>1は男のような性格と推測した!

704 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/09/29(水) 18:44:20.79 ID:UBCQHOUP0
狭い世界すなあ

8つの物語―思い出の子どもたち
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