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空条徐倫「ここがッ!765プロ……」 【前編】

2014/04/22 12:00 | CM(0) | ジョジョ SS
2 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/02(水) 06:47:55.41 ID:3HWJn+C00
――プロローグ――

社長「ん~。ただいま帰ったよ!」

小鳥「あら社長、おかえりなさい。
   このたびはアメリカへの出張お疲れ様です」

社長「うむ。やはり海外のプロダクションは参考になるな…。
   我々も今の現状に満足せず、より一層精進しようと思うよ」

小鳥「そうですね…。あ、お茶を出しますね。
   お部屋に行かれますか?
   夕方にはプロデューサーさんや律子さんも帰ってくる予定ですし」

社長「そうだな…。二人の帰宅は待つ必要がある」

小鳥「?」

社長「まあ、その前に……。
音無君には先に伝えておいてもいいだろう。
実は、朗報がある」

小鳥「え…?もしかして!
   海外でのロケとか決まったんですか!」

社長「いやいや、それはちょっと難しかったよ…。
   そうじゃあないが、しかし。それ以上の朗報かもしれん」

小鳥「えっと…。なんでしょうか」

社長「はいってくれたまえ」

ガチャリ…。

???「…………」

小鳥「この子は…?」

社長「自己紹介を、お願いできるか?」

徐倫「どーも。私の名前は空条徐倫。日本語は喋れるけど日本人じゃあない。
   これからこの765プロのアイドルとして…。
   お世話になります…」

社長「空条君は、あっちでたまたま出会い、スカウトに成功した。
   つまり、彼女は今日から、我々765プロに所属する新アイドルだ!」

小鳥「新…アイドル!!つまり、そういうことですか!」

社長「うむ。今日から早速仕事をしてもらおうと思っている!
   プロデューサー君が帰宅したら早速専属でお願いしようと考えているよ」

徐倫「お願いします……」

小鳥「えっと!空条さん…ですよね?
   え…でもでも。どうしたんですか社長…?
   海外で知り合って今、ここに居て…あれ?」

社長「そうだな…。その下りもしっかり説明するべきではあるな。
   まあ、それは皆が帰って来てから改めて説明するとしよう。
   とりあえず、空条君。長旅で疲れただろうから、向こうの応接間でゆっくりしていなさい」

徐倫「とりあえず、寝てもいい?
   飛行機には初めて乗ったし、予想以上に疲れがキてんの……」

小鳥「それじゃあ毛布を用意しましょうか」

社長「ああ、そうしてくれ」



1 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/02(水) 06:46:52.39 ID:3HWJn+C00
 空条徐倫(ジョジョの奇妙な冒険)
      ×
   アイドルマスター

 のクロス小説です。

注意事項
・アイドル達は、アニマス最終話以降の想定です。
・徐倫は、第6部終了後に生きていた想定です。
・ここに出てくるPは、アニメの赤羽根Pです。

・スタンドバトルはありません…

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1380664012


3 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/02(水) 06:48:51.43 ID:3HWJn+C00
春香「えー!新しいアイドルですか!!」

小鳥「しーっ!春香ちゃんそんな大騒ぎすると空条さん起きちゃうわよ?」

春香「あ、ごめんなさい…。向こうの応接室にいるんですよね…?」

小鳥「ええ、飛行機で疲れたみたいでよく寝てるわ」

春香「ちょっと見てきます」

小鳥「起こしたりしないでね?印象が悪くなっちゃうわよ」

春香「わかってまーす」


コソコソ…

ソロォー……。

春香(あ、あの人かな…。うわぁ、結構スタイル良いし凄い綺麗な人…。
  やっぱ外国人…なのかな…?
  髪型も凄く…なんていうか…個性的だな…)

徐倫「誰?」

春香「ひゃうぁ!」

徐倫「女の子の寝てる姿を覗くなんて。
   悪い趣味持ってんのね……」

春香「いえいえいえいえ!別に覗いていたわけじゃあないんです!
   ごめんなさい。新しいアイドルが海外から来たって言われて、どんな人か気になっちゃ……」

徐倫「空条徐倫」

春香「え?」

徐倫「空条徐倫。それが私の名前。アンタここのアイドル?」

春香「あ!はい!私は天海春香です!765プロのアイドルです。
   えっと、初めまして!」

徐倫「聞こえてるからそんな大声で話さないでくれる?
   飛行機で軽く酔っちゃってんの」

春香「あ、ごめんなさい」
春香(うわぁ…なんかこの人怖そう…。睨んでくるよ…


4 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/02(水) 06:49:20.81 ID:3HWJn+C00

徐倫「で?私と話でもしたいの?」

春香「えっと…。邪魔しちゃうようでしたら…いいんですけど…」

徐倫「別に?目が覚めちゃったし。いいわよ」

春香「え?あ…はい」

徐倫「私も今プロデューサーって人を待ってるから暇なのよ。
   その人はいつ来るの?」

春香「え?プロデューサーさんですか?
   えっと…。夕方には帰ると思うのであと1時間くらいですかね…」

徐倫「ふうん。そう。
   で?そっちも聞きたい事があるなら聞けば?」

春香「え?」

徐倫「私の質問に答えてくれた。だからアンタの質問にも答える。
   そう言ってるつもりなんだけど?」


春香「あ、えっと…。徐倫さんは海外の方ですよね?」

徐倫「まあね。でも、オヤジがハーフだから実質25パーセントは日本人だけど。
   クォーターって奴?」

春香「えっと…日本語がとても上手なんですが、こっちに住んでいるんですか?」

徐倫「私はついさっきまでアメリカに住んでた。日本語がしゃべれるのは…。
   あれ?なんでだっけ…。まあ、いいわ。
   とにかく…。今日からこっちで住むってことね」

春香「そう…なんですか…」


5 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/02(水) 06:50:12.00 ID:3HWJn+C00
徐倫「もしかして、怖い?私…」

春香「いえいえ!そんなことないです!」

徐倫「無理しないで。
   自分でも高圧的な話し方って思うもの。
気に障ったんなら謝る。あと、徐倫でいいわ。敬語も必要ない」

春香「え……?」

徐倫「だって、アンタこの事務所のアイドルでしょ?
   ってことは私の上司じゃんか。いいって、タメ口で」

春香「あ、うん。わかった」

徐倫「アンタ、抜けてそうだけど悪い人じゃなさそうね…。
   安心して、私も悪い人じゃないから」

春香(ニッコリと笑った彼女を見て。
  直感的に同意できた。この人は、悪い人じゃあない)

春香「でも…えっと、徐倫。どうして日本に来たの?」

徐倫「私自身も、それが分からないの…」

春香「え?」

徐倫「って言ったらどうする。アンタ、信じる?」

春香「え…嘘ですか?」

徐倫「嘘じゃあないの…。真実。私、記憶がないのよ…」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 To be continued→



6 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/02(水) 06:51:57.37 ID:3HWJn+C00
第一話『ア ショート タイム アゴー』


――アメリカ――

徐倫が、来日する数日前。
SPW財団のとある一室の、談話室のような部屋。
ベッドの上に寝る、空条徐倫と。
それを囲むように、空条承太郎と、岸部露伴、高木社長が立つ。


露伴「全く…。承太郎さん…。
   本当にいいんですね?」

承太郎「ああ、そうしてくれ…それが一番なんだ」

露伴「娘さんの意見は聞いたんです?」

承太郎「いや、聞いてはいない。徐倫自信は望んではいないだろうからな」

露伴「だったら…」

承太郎「父親らしい…といえば我がままだろうが。
    もう不可能だ。娘をこれ以上、この世界に居させたくはない…。
    例えどこへ行こうが、スタンド使いは惹かれあい、また戦いの場へ巻き込まれてしまう」

露伴「まあ、僕には子供もいないし、そういう親の気持ちは正直、未知数ですよ。
   でもね。最初に言ったように、僕のヘブンズドアーは100パーセントじゃあない。
漫画も古くなれば廃れるように、風化して記憶が戻る可能性だって…」
 
承太郎「君が無理だというのなら……他の人間に頼むが?」

露伴「分かりましたよ…。まあ、約束通り、SPW財団の取材はさせてもらいますよ?」

承太郎「ああ、構わない」

露伴「はぁ…。ヘブンズドアー!」

サラサラ…カキカキ…。

スタンドにまつわる、スベての記憶をナくす
日本語がシャベれるようになる。


露伴「はい。終わりました」

承太郎「ありがとう…。後は…」

社長「うむ。分かった。
   大手の財団から我々のようなタレントプロダクションに話が来たときには首をかしげたが…。
   あなたの娘さん。しっかりと預かりましょう」

承太郎「よろしくおねがいします…。
    これ以上、徐倫を、危険な目には合わせられない…」

露伴「確かに、日本なら安全でしょうね…。
   DIO・ブランドーの部下はそこには居ないようですし。
   でも、こいつも興味本位で聞くんですけど。どうして日本のアイドルに?」

承太郎「徐倫には、贔屓めかもしれないが、そういう世界が似合う。
    こっちでそうさせてやりたいのだが、コッチでは元囚人というレッテルがつく。
    史実や記録上では無くなったが、事実徐倫はそこにいたんだ。
    ここでは隠し通せない」

露伴「成程…」

社長「でも、まだにわかには信じられないな…。その、スタンド?能力という代物は…」

承太郎「無理に信じて下さいとは言いません。安心してください。
    あなたと我々の関係はこれっきりだ。襲われるようなことはない」

社長「そういう心配ではないんだ。
   ただ…。いや、なんでもない」




7 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/02(水) 06:52:28.96 ID:3HWJn+C00
――空港――


徐倫「まだよくわかってないんだけど…」

社長「ううむ。そうだな…。私は空条君の母親から君を預かる身だ。
   君が嫌ならば無理強いはしない。帰ってもいいんだよ?」

徐倫「いや、そういうワケじゃないの。
   ママが嘘をつくわけないし?私自身、ここ数カ月の記憶喪失らしいけど…。
   なんだか、日本に行かなくちゃいけない。ここにいたらいけないって誰かに言われている気がするの」

社長「どうする?最終的には君の判断だ。
   君が飛行機に乗れば、私と共に日本でアイドルをすることになるが…」

徐倫「まあ、状況は分からない事も多いけど。
   私が今いちばんすべきなのは。日本でアンタについていく事。
   それは、間違いないのよね?」

社長「ああ、あなたのお母さんもそう言ったように。我々にウソはないさ」

徐倫「ええ、じゃあ、連れて行って…。
   日本へ…。でも、アイドルなんて出来るのかしら」

社長「それは愚問だよ。君は可愛いし、肝も座っているように見える。
   我々と共に、頑張ろう!」






To be continued →



12 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/02(水) 07:20:55.66 ID:oy1a6NdB0
背景で「ゴゴゴゴゴ」とかいってるアイドルとか嫌だわ。。

美人でも・・・。


15 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/02(水) 09:54:26.02 ID:vBca/xIEO
ViとDa特化だよなあ
ポージングが一つ一つキマってそうだwww


20 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/02(水) 11:09:57.06 ID:TEFE4dk4o
ペッシみたいなファンが付くと思う


31 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/02(水) 15:47:49.93 ID:3HWJn+C00
第2話『空条徐倫、アイドルに会う』

P「ただいま帰りました…」
響「うがー。今日は疲れたぞ…」

小鳥「あら、おかえりなさい。いいタイミングね」

P「ん?どうしたんですか?皆集まって…」

小鳥「社長がさっき海外から帰ってきて。皆にお話があるの」

響「なんだって!もしかして自分達!ついに海外デビューか!」

小鳥「それはちょっと違うけど…。ちょっと呼んでくるわね」

トテトテ…「シャチョー」


P「律子…何が始まるんだ?」

律子「さあ、私もさっき帰ってきたらちょっと待っててって小鳥さんに言われたの」

伊織「なんなのかしら…。もしかして、海外に私たち移転とか?」

亜美「うあうあー。もしそうだったらそれは移転じゃなくてお賽銭だよー」

律子「…多分。左遷っていいたいのかしら?」

真「僕と美希もレッスン後に呼びとめられてさー。
  あ、でも春香は知ってるんだよね?」

春香「え?うん。ちょっと会っちゃって」

千早「会う?その報告ってのは人なのかしら?」


ガチャリ

社長「うおっほん!諸君。久しぶりだな」

P「お久しぶりです。ご苦労様でした」

律子「変わらずお元気なようで、安心しました」

社長「うむ。私も皆の元気な顔が見れて安心だ。
   では、早速本題に入るとしよう」

社長が小鳥に、目で合図をする。

小鳥「はーい。じゃあ、こっちに来てもらえるかしら?」


ザワザワ
「え?誰か来るの?」
「誰だ?」
ザワザワ


徐倫「えっと…。アメリカから来ました…。空条徐倫です。
   今日からこの765プロのアイドルとして働くことになりました…。
   なんていうか…その…。よろしくお願いします」



32 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/02(水) 15:48:16.03 ID:3HWJn+C00
真美「新しい!?」
雪歩「海外からの!?」
やよい「アイドルですかぁー!?!?」

社長「ああ、父親が日本に住んでいるらしく。
   丁度個人的な付き合いで知り合って。アイドルにスカウトしたんだよ。
   今日からは日本で生活し、この765プロのアイドルととして、皆と同じく。
   切磋琢磨してもらおうと思ってる」

律子「凄い!外国人アイドルですね。凄くお綺麗だし!」

春香「あれ?」

 徐倫は、首をかしげる春香に目を合わせ、指を口元に動かし。
内緒のポーズをとる。

春香(あ、そうか…。記憶喪失なのは秘密なんだ…)

あずさ「あらあら、年齢は私と同じくらいかしら…うふふ」

徐倫「19歳」

あずさ「え…。あらあら…。律子さんと同い年なのね…」

律子「そんなあずささん…。露骨に残念そうな顔しないで…」

徐倫「何?私が19ってそんな意外なの?」

あずさ「いえ、その…。やっぱり。同い年の人間が周りに居ないものですから…」

亜美「わーい!新しいお姉ちゃんだー!」
真美「んっふっふ~!楽しみですなー!一緒に仕事するの!」

亜美と真美は、飛びかかるように徐倫を抱きしめる。

徐倫「ブッ飛んだ挨拶ね……。アンタ達も、アイドルなの?
   見たところ凄く幼そうなんだけど」

亜美「そだよー。幼いからって甘く見ないでよねー!」

真美「そうだよー!ここの皆は売れ売れの売れっ子だよー!」

あずさ「熟れ熟れ…」

律子「あずささんは一度深呼吸して!」

伊織「でも、どうして日本なんかに来たのよ…。
   アイドルや歌手なんて向こうでも出来るでしょ?」

徐倫「まあ、なんていうか…。
   元々日本に行こうかなって考えてたのよね…。
   それで、いい感じに話があって、今こうなってるって感じ?」

伊織「ふーん。まあ、これからよろしくね」

徐倫「ってことはアンタもアイドル?」

伊織「もちろんじゃない!日本人なら知らない人はいないほどのスーパーアイドルよ!
   水瀬伊織!」

美希「またの名をデコちゃんなの」

徐倫「へぇ、よろしくね。デコちゃん」

伊織「ちょっと!ナチュラルにデコちゃんって呼んでんじゃないわよ!美希も何言ってんの!」



33 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/02(水) 15:48:42.06 ID:3HWJn+C00
社長「はっはっは。早速打ち解けてくれたみたいだな…。
   日本語は達者なので言葉の壁はないとは思うが、なにせアイドルよりそもそも。
   日本に関して知らない事ばかりだろう。皆、先輩として色々教えてあげてくれ!」

響「はーい!なあ、徐倫…さんだっけ?」

徐倫「徐倫でいいわ」

響「徐倫!これからよろしくさー!自分、我那覇響!完璧なアイドルだから。
  なんでも聞いてくれー!」


社長「そして、プロデューサー君。
   君にはしばらく、空条君の専属プロデューサーとして、活動してもらおうと思う!」

P「え!?僕ですか!」

千早「まあ、私たちはもう個人で動ける立場にはいますし…」

美希「えー。ハニーを独り占めってのはズルいって思うな…」

社長「どうだ?やってくれるか?」

P「え…はい!精いっぱい頑張らさせてもらいます!」


 Pが、徐倫に近づき、手を差し出す。

P「と、いうわけで。突然だけど、今日から君のプロデューサーだ。よろしく頼む」

徐倫「私は最初からその話で聞いてたから。突然じゃあないんだけどね。
なかなかいい男じゃん。飛ぶ気でプロデュースしてよね?
   やるからにはマジでやりたいから…」

P「ああ!」

 握手を交わす。それと同時に、社長が手を叩く。

社長「さあ!皆も空条君に色々と聞きたい事や話したい事があると思うが…。
   空条君も今日こちらへ来たばかりでね…。
   顔合わせも早々で悪いが、プロデューサー君。ここに彼女の家を借りたから。
   連れて行ってくれないか?」

響「えー!まだ話し足りないぞー!」

貴音「響。話す事は明日以降でも出来ます。今は彼女の体を気遣うべきでしょう。
   長旅と、知らぬ土地というのは。予想以上に精神的に疲れます」


徐倫「今日はもう終わり?なーんか拍子抜けね。
   まあ、ちょっと疲れちゃったし。いいわ、どこに帰ればいいの?」

P「え…えっと」

 皆が社長が渡した地図を、プロデューサの横から覗き込む。

P「結構近いな…ここから車で10~20分くらいか…」

春香「私の近所とかだと、毎日一緒に通えたのに…」

伊織「アンタの近所って…。わざわざ家を借りるのにそんな遠くにするワケないんじゃない?」


 アイドル達は、口々に想いを語る。それから逃げるように。
早々に徐倫とプロデューサーは事務所から出る。

P「じゃあ、送ってきます。みんなも遅くならないうちに帰れよー!」
徐倫「ペコリ」

バタン

真「行っちゃった…。明日からあの人とお仕事かー。なんていうか、グラマラスだったね」

雪歩「うん。羨ましい。綺麗だし物怖じしていない雰囲気が…。
   私の方が先輩なのに、逆みたいだよぉ…」

やよい「でもでも、なんだか優しそうな人でしたよー?
    笑顔がとっても素敵でしたー!」

春香「うんうん。私も悪い人じゃないって思うよ!」


34 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/02(水) 15:49:43.64 ID:3HWJn+C00
――Pの車内――

P「改めて、これからよろしくな…えっと…」

徐倫「徐倫でいい」

P「ああ、徐倫。ドタバタしててすまないな」

徐倫「いえ、多分こうなろうだろうってのは思ってた。
   海外から事前に何もなしに来たわけだし。
   あ、そうそう。プロデューサーと2人になったら渡せって、おっさんに言われてた」

 ひょいっと。自分のカバンから1つの封筒を取り出した。

P「これは?」

徐倫「私のプロフィールだったり色々。
   他のアイドル達に見られるとマズイらしいから、私から渡せって」

P「ああ、分かった。これは、今すぐ見た方がいいか?」

徐倫「明日からもうレッスンとかオッサンは言ってたし…。
   その方がいいんじゃない?
   アンタも、私の事を知りたいんじゃないの?色々突然だし…」

P「あ、ああ…。そうだな。じゃあちょっと見せてもらうよ」


 封筒の中から、何枚かの紙が出てきた。

一枚目は、普通の履歴書のようだった。

空条徐倫。
19歳、女性。日系アメリカ人(クォーター)
出身:アメリカ
シングルマザーの元で生活。
過去2回、窃盗罪で捕まる。14歳の頃の出来事であり、本人曰く、幼かったとの事。
一年前、州立G.Dst刑務所に収監。冤罪。

徐倫自身。その時にトラウマがあり、記憶を喪失している。


P「え…?刑…務所…?」

 プロデューサーは息をのんだ。
そこに書いてある事は…。おおよそ予想から大きく離れた履歴書ッ。

徐倫「ええ、そうよ。冤罪…らしいんだけどさ…」

P「らしいってのは…。やっぱりそこの記憶がなくなってるってこと?」

徐倫「ええ、ロメオって言う元彼がヒッチハイクの男をひき殺した…。
   私はその時助手席にいた…。そして、私が運転していたと勘違いした警察は。殺人罪で私をブチこみやがった…。
   冤罪だってわかってもらったらしいけど。
   それ以外、刑務所で過ごした記憶なんかはぽっかり忘れちゃってる。
   ストレスだったりショックだったり、理由は分からないけど…」

P「そ…そうか…」

徐倫「ああ、可哀想とか…聞いてしまった罪悪感とかは感じないでね。
   重要なのはそこじゃない。私が重要なのは。むしろこれから…。
   私は別に、記憶がないから嫌だとかは思わない。っていうか、逆に心配される方が虫唾が走るから」



35 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/02(水) 15:50:30.33 ID:3HWJn+C00
P「まあ、色々あったんだな…。でも、やっぱり疑問なんだけど。
  どうして日本に?」

徐倫「まあ、あっちで仕事を探すって言っても、やっぱり刑務所に入ったって事実が邪魔するから。
   記録はないから、国を変えればバレる事も少ないと思うし…。
   オヤジの知り合いのなんとかって財団と、765プロのオッサンが知り合いで。
   日本でアイドルでもしてみないかって話が出てきてね…。
   刑務所に入った時すら面会に来なかったのに、今更こんなことしてくれちゃって」

P「成程…。君にも色々事情がある事は分かった。
  でも、気にされるのは嫌なんだろ?じゃあ気にしない。
  明日から、俺と徐倫は二人三脚でトップアイドルを目指そう!」

徐倫「ええ、そうして頂戴。
   高校ではケッコーモテちゃってたの。素質は十分よ」

P「自分で言うのはどうかと思うが…」


 こうして、不思議な迫力と魅力を持った女性。空条徐倫の事を少しだけ分かったプロデューサー。
その経歴は重要ではない。ただの紹介文だと、自分に言い聞かせた。

 その後、車を走らせ。運転中にも色々な話をした。


「え~。普通よフツー。あっちじゃみんなやってる」

「いやいや、それはこっちじゃ逆に非常識だぞ?まあ、アイドル業ではいい事もしれないが」

「普通に皆、徐倫って呼んでる。あ、ママはジョジョって呼ぶけどやめてよね。それはママだけ」

「本当に誰とも付き合ってないってば!そもそも俺はプロデューサーだ、誰かと特別な関係にはならない。確かに皆可愛いけど…」




36 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/02(水) 15:51:04.47 ID:3HWJn+C00
P「荷物はどうやら先に部屋にあるらしいから。部屋は…405号室だな。はい、鍵」

徐倫「ありがと……。Pって結構面白いのね。
   今度もっといろんな話をしましょ」

P「ああ、今日は早く寝ろよ」

徐倫「分かってるって。おやすみー」

P「ああ、おやすみ」


バタン…ブロロロロ…


P「なんだ、意外と普通の女子高生じゃないか…。
  よーし!明日から忙しくなるぞー!!」



To be continued →



39 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/02(水) 16:02:01.62 ID:ofRImPtGo
P(グイード・ミスタ)


40 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/02(水) 16:03:18.75 ID:FmUGeq8fo
親戚かな?


46 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/02(水) 20:25:50.50 ID:wvlmSaBoo
やっぱり徐倫はかわいいなあ
FFは死んじゃってるんだろうか


61 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/03(木) 01:45:45.40 ID:5ZSMQ/b30
第3話『ウェザー・リポート』



徐倫「おはよーございまーす」
P「おはようございます」

小鳥「あら、おはようございますプロデューサーさん。徐倫さん。
   朝早くからご苦労様。ミーティングか何かですか?」

P「ええ、ちょっと奥の小部屋、使用しますね」

小鳥「はーい。分かりました。コーヒーでも入れましょうか?」

P「あ、すいません。じゃあお願いします」


――応接間――

P「さて、ごめんな。こんな朝早くからで。
  時差ぼけとか、大丈夫か?」

徐倫「大丈夫かって聞かれたら怪しいわね…。ちょっと眠いかも。
   でも、アンタも私をアイドルにするため頑張ってくれてんでしょ?
   なら、なんでも聞くわ。なんでも従う」

P「ああ、でも。無理はするなよ?キツいと思ったらすぐ俺に…」

徐倫「言わなかった?心配されるのは虫唾が走るって。
   寝不足程度で文句言ってちゃあ、この先駄目だってのは分かるわ」

P「ああ、わかった。
  徐倫、君にはなんていうか、凄味がある。ますます君の…。
  アイドルとしての将来を輝かせてやろうと決めたよ」

徐倫「それはありがと…。で?今日からのお話とかそういう事?」

P「ああ、君のデビューまでの計画を粗方建てた。
  これを見てくれるか?」


 プロデューサーと徐倫の間に、一枚の紙が置かれた。




62 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/03(木) 01:46:12.96 ID:5ZSMQ/b30
『デビュー: 765プロLive☆笑顔を皆に届けM@S!
 3ヶ月後の765プロ単独ライブにてデビュー予定。

 それまでに。空条徐倫専用の新曲制作とレッスン。

 前述のライブでは、徐倫はその新曲だけを歌う。


 スケジュール○日レッスン・ミーティング
       ○日・・・・
       ・・・・・・・
                      』




 それは、徐倫のアイドルデビューへ向けての計画表。
1日ごとの、90日間の細部までのスケジュールだった。

徐倫「もしかして…これ…。夜にアンタが作ったの?」

P「ああ。言っただろう?輝かせて見せるって。
  それに、俺が覚悟を見せないと、徐倫だって不安になる。
  昨日、車の中で話した時。君の覚悟を知ったんだ…だから」

徐倫「素敵。プロデューサーってば素敵よ。とてもgood。
   どこまでもついていける気がする…。
   アンタの覚悟が、今。体で感じる」

P「ああ、正直。急ピッチで事を進める必要がある。
  なにせ3ヶ月後だ。ゼロの徐倫には、もしかしなくてもキツい…」

徐倫「弱音を吐くかもって?」

P「そう思っていたら、このスケジュールを徐倫に見せるか?」

徐倫「ふふ…。そうね。人を見る目があるっていうべきかしら。
   私の事。よく知ってるじゃない」


 立った一晩。いや、数時間しか会話していないハズだった2人。
しかしながら、徐倫の気高き闘争心は、プロデューサーの目にしっかりと映った。

 もしこれが、徐倫でなければ。もしこれが、プロデューサーでなければ。
どちらかが違っていたとしても、この意気込みは変わっていた。

 奇妙な運命は、奇妙な結束を生んだ。
2人は動き出す…。
目指すは3ヶ月後…。765プロの単独ライブへ!




63 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/03(木) 01:47:09.13 ID:5ZSMQ/b30
人影が1人、応接間に顔をのぞかせる。

社長「盗み聞きする気はなかったんだが…」

高木社長だった。



P「社長!いらしていたんですか」

社長「ああ、君たちの真剣なまなざしを見ていると、中々話を割り込む気になれなくてな。
   そのスケジュール。確認させてもらえるか?」

徐倫「あれ?まだオッサンに見せてないの?」

P「あ、ああ…。なにせ昨日の深夜に作ったもので。ひとまずは徐倫に見せようと思ってな」


 社長はふむふむと、その紙を眺める。


社長「プロデューサー君。君なら必ずこうする。3ヶ月後のライブに焦点を置くと思っていたよ。
   でも、スケジュールの変更が必要な点がある」

P「え…?というと…?」

 不安そうに、社長の目を見る。

社長「今日からの2週間。この表では、新曲依頼期間で、空条君には基礎レッスンのみ。
   と、あるだろう?」

P「ええ、やはり、2週間じゃあ新曲依頼は急ですかね?」

社長「逆だよ」

P「え…?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



社長「既にある…と言ったら。どうかな?」

徐倫「オッサン…アンタ…もしかして」


 社長はニコリと笑い、スーツの内ポケットから。一枚のCDを取り出す。

社長「空条君のためだけの新曲を、事前に用意していた。
   君の地元、アメリカでね!」

バァーーーーーン!!




64 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/03(木) 01:47:42.93 ID:5ZSMQ/b30
P「社長!」


社長「これで、すぐにでも始められるだろう?」

 一枚どころではない。社長は、プロデューサーの何枚も上手だった。
彼は、いつもはのんびりとした性格をしているが。そもそもは『社長』。
プロデューサーが来るまでは、高木社長自身が10人を超えるアイドルを育ててきた。

P「ありがとうございます!」

徐倫「ブッ飛んでるわね…。何も相談していないのに。2人とも息がピッタリ。
   互いが互いを信頼している。普通ありえないんじゃない?」

社長「はっはっは。褒めていると思っていいんだよね?
   私だって、空条君の成功を祈る人間なのだから。これくらい朝飯前さ」


P「早速…!いいですか?」

 社長はコクリと頷き、横の棚の上にあるオーディオプレイヤーにCDを入れる。
徐倫は、ジっと見つめ。次第に目をつぶった。

プロデューサーも期待と興奮が混じる表情で、心臓を高鳴らせる。


 カチリ…。

しばしの静寂の後…。その歌。徐倫のためだけの新曲が、音を響かせ始めた。


 アップテンポな曲。アメリカで制作した曲なので、歌詞は全て英語。

日本語訳された意味では。
 土地を離れた女性が、見知らぬ場所で。全く同じ太陽を眺め、天気を歌う。

そんな前向きで、パッション溢れるダンサブルな曲だった。


 徐倫は目を閉じその歌を聴き入る。

プロデューサーに、英語でつづられる歌詞は通じなかったが。
唯一つ。徐倫の歌だという確信は芽生えた。


 その曲のアウトロが、ピアノの音で余韻を残し終わる。


ただ一言。徐倫は言った。

徐倫「素敵…」

ただ一言。プロデューサーは言った。

P「凄い…」


65 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/03(木) 01:48:56.08 ID:5ZSMQ/b30
社長「曲名は『ウェザーリポート』。天気予報という意味合いだが。
   気に入ってくれたみたいだね」



 徐倫とプロデューサーの目がより輝くのを、社長は見た。
早くこの曲を歌いたい。歌わせたい。
早くこの曲を踊りたい。踊らせたい。
早くこの曲を皆の前で…。



P「徐倫」

徐倫「ええ、今すぐにでも。始めたいくらいよ」

P「なら…今すぐだ…!
  ここからが、アイドルとしての…第一歩だ!」

徐倫「今、凄くさわやかなの…。
   不安とか恐怖とかがないってわけじゃない。でも。今は感じない。
   ただ…。まるで。そよ風の中にいるみたいな…。懐かしくて、素敵…」




 それが一歩だった。最初の一歩。
それから全てが始まった。

 こうして、時は動き出す…ッ!


 To be continued→




67 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/03(木) 01:52:55.54 ID:Peqw6R7o0
乙!

ウェザー生きてないのかな……


68 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/03(木) 06:17:39.34 ID:UKu+915ko
乙!
これ6部勢はどうなんだろう
承太郎は生きてるしエルメェスアナスイあたりは生きてるのかな


73 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/03(木) 09:30:23.29 ID:N1WUyXTWo
あまとうはプロ兄貴やな


75 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/03(木) 12:49:29.30 ID:CMhDnirn0
アイドルといえばトリッシュは歌手になったんだよな


94 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/04(金) 00:37:14.44 ID:wS1fr4R90
第4話『LESSON1 敬意を払え』その1

P「なんにせよ。今からさあ振付の練習だってワケにはいかない。
  まだ君は『アイドル』っていうものを知らないからな。君のポテンシャルも確認したいし」

徐倫「でも、アイドルを知るって言ったって。どうすればいいの?
   赤ちゃん言葉で話すとか?わたち徐倫でチュゥって?」

P「いやいや、そんな変なキャラ付けをしようとは思ってないよ…。
  身近に素晴らしいお手本があるんだ。今日は挨拶もかねて見学をする」

徐倫「身近な…?」

P「765プロの…先輩のアイドル達だよ」


 プロデューサーは立ち上がり、資料を封筒に戻す。
徐倫にも立つ事を促した。

P「では、社長。早速行ってきます!」

社長「ああ、他にも困った事があれば…頼ってくれよ」

P「はい!さて、行くぞ!徐倫」

徐倫「ええ」


 2人は足取りを軽く、心の奥底からの闘志を燃やし、事務所を後にする。

バタン…。

社長は、窓から空を眺め、独り言をつぶやく

社長「記憶がなくても。感じられるものなのだな…。
   あなたが作ってくださった歌…。彼女は喜んでいたみたいですよ?」



95 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/04(金) 00:38:19.97 ID:wS1fr4R90
――レッスン場――

トレーナー「はいワンツーワンツー!
      真ちゃん!右手が曲がってる!
      響ちゃん走ってる!」

 ズン…ダダン…ズン…ダダン!

トレーナー「はい!休憩!
      流石765プロね…。ついこの前練習を始めたのに、もうこんなに…」


響「うがー。やっぱダンスレッスンは疲れるぞー…」

真「そうだね…でも、この曲ってやっぱりダンスメインじゃんか?
  だから僕たち3人でまた歌って踊れると思うと。まだまだ練習したくなるよ」

美希「でも、以前に比べてますますハードって思うな…。
   間奏部分のこの動きとか、美希でもちょっとバテちゃいそうなの…」


 レッスン場では、真。美希。響の三人が、765プロのライブに向けて。
『マリオネットの心』の振付アレンジバージョンの練習を行っていた。

 この3人が、自分たちから。さらなる高みを目指したいという希望から。
更にダンサブルな曲に仕上がっていた。

美希「あ、あと響。『Ahもどかしい』のフレーズまだ直ってないの。
   ここの右手のクロールが早いままって思うな」

響「言われなくても分かってるぞ!でも、なんだかここで気持ちが盛り上がって気付いたら…」

真「そうだよねー。僕も毎回サビ入りで右手がこう曲がっちゃうんだよね…」

美希「駄目駄目なの…。もう美希はトレーナーさんに何も言われないくらい完璧。
   ちゃんと私についてきて欲しいって思うな」

響「ピキッ…そうだな。うん。自分しっかり練習しなくちゃな…」
真「ピキッ…だよね。でも、響。やっぱりお手本って欲しいよね?」

美希「今の間は…何なの?」


響「そうだな。『カ ン ペ キ』な美希の振付をお手本にしたいぞ?」

真「うんうん。だって僕たち仲間だもんね。美希だって絶対、口だけじゃないよ。
  本気で僕たちの事を思ってくれての発言に決まってる」

美希「え…?だって、今。休憩…中…」


響「えー?美希は完璧なんだろー?じゃあなんくるないさー!
  自分達『駄目駄目』だからさー?」

美希「怒ってるの…えっと…ごめんなの…」

真「怒ってないよ。ぜーんぜん怒ってない。僕たちもしっかり練習して美希に追いつくから。
  星井先生?ご教授お願いできますか?」

美希「うぅ……わ……わかったの!そこまで言うなら見るといいの!
   美希が踊るんだから。それでも変わらなかったら承知しないって思うな!」


 チャララチャララ…ジャジャジャン…ズン…ダダン!


トレーナー「仲良いなー。
      悪態ついてたかと思うと2人とも必死に美希を見てるし…。
      765プロのアイドルの凄さって…。こういうところなのね…やっぱ」



96 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/04(金) 00:38:49.21 ID:wS1fr4R90
 いつの間にか休憩時間は自然消滅し、3人は踊り始めていた。
そんな中、レッスン場のドアが空いた。

P「皆。お疲れ…邪魔しちゃったか?」

美希「ハニー!」響・真「プロデューサー!」


トレーナー「あら?もしかしてPの横に居るのは噂の新アイドル?」

P「あ、そうです」

徐倫「初めまして。あなたがトレーナーさんですって?
   空条徐倫。徐倫でいいわ。よろしくお願いします」

トレーナー「あら、結構スタイルよさそうで、この子たちに負けないダンスが出来そうな子ね。
      私がトレーナーよ。色々社長から電話で聞いたわ。
      3ヶ月後のライブに向けてもう練習するんだって?」

P「ええ、今日はその手始めってことで。
 美希、真、響のレッスンを見て、吸収してもらおうと思って…」

響「えー?自分たちのレッスンを見るのか?
  練習風景を見学ってなんか恥ずかしいぞ…」

美希「ねーねー徐倫さん。徐倫さんはアッチでアイドルとかしてたのー?」

徐倫「いや、全然。
   もっぱら遊んでたわ。まあ、ストリートダンスを友達とのノリで踊るくらいかしら。
   歌なんて、日本みたいに『カラオケ』があるわけじゃあないし…。サッパリ」

真「へぇ~。じゃあ本当に初めてなんだ…。何を踊るの?」

響「それ、自分も気になった!3ヶ月後のライブってことは、何か一曲ソロなんでしょ?」

徐倫「どんな踊りかは分からないけど、『weather report』って言う曲」

真「そんな曲…あったけ?」
響「うぇざあ?」

P「ああ、徐倫専用の、新曲だ」

 3人は一瞬目を丸くした。
そして、数秒の静寂の後、ほぼ同時に口を開いた。

「新曲!?!?」

真「凄いや!もう決まったの!」

美希「流石、社長が海外から連れて来たわけなの。準備もばっちりなの」

響「それ、聞きたいぞ!今すぐ聞きたいぞ!」

P「コラコラ。今はお前たちもレッスンしなくちゃいけないんだ。
  レッスンが終わったら事務所にあるから聞くといいが、今は集中しろ!」

徐倫「そうね。アイドルって人のダンス。見てみたいもの。
   完璧…らしいのよね?楽しみ」

響「うがー。えっと…その。期待せずにご視聴をお願いいたしましたいぞ…」

真「響…。言葉づかいがどっか行っちゃってるよ?まぁ、ズバァーンとしたダンスで
  ドガーンとするから見ててね!」

美希「まあ、私たちのダンスで、アイドルの厳しさを知っちゃうと、ちょっとかわいそうかもなの」


 トレーナーが手を叩いた。さぁ、やるよ。と一言言って、三人は位置につく。
徐倫とPも、端っこに寄り、3人を見つめた。



97 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/04(金) 00:39:30.08 ID:wS1fr4R90
徐倫「……」


 歌がプレイヤーからなり始める。

その瞬間から。今まで騒いでいた女の子3人が、アイドルに変わる。


『ねぇ、消えてしまっても、探してくれますか?』


 美希を中心に、三人が踊る。
まだまだ荒削り。練習中の楽曲ではあったが。
息をそろえ、ハードな踊りを披露する。


徐倫「………」

 Pは横を向いて徐倫の顔を見る。
彼女は、真剣そのものの顔でジっと見つめていた。


『心が…こわれそうだよ……』


 次第に音は消えていき。曲が終わりを告げた。


響「ふぅ…」
美希「あふぅ…」
真「ひぁ…」


P「どうだ?徐倫……。これが、アイドルだ」

徐倫「素敵………」

P「そうか?お前もこうならなくちゃいけないんだぞ?」

徐倫「正直。舐めていたかも…。私。
   凄く素敵で、感動する。なんていうか、歌詞とかメロディじゃなく。
   ダンスが曲みたい…。ぶっ飛び過ぎ」

響「どうだった?自分たちのダンス」
美希「美希達、こう見えて結構アイドルしてるでしょ?
   キラキラしてた?」

徐倫「キラキラしてた。すっごく。
   アンタ達みたいになりたい。私の心を奪うように。
   私も誰かの心を奪えるように…なりたいッ!」

真「へへ…褒めすぎ…じゃないかな…?」

徐倫「そんなことない。素敵。超ステキ。good!」

響「ありがとー!徐倫。そう言ってくれるなら。徐倫も追いつけるよう全力で手助けするぞ!」

美希「その前に響は自分の振付を頑張るべきなの」

響「うがー!なんでそんなこというのさー!」


 徐倫は3人を見て笑っていた。
国籍も生活スタイルも違うここ、日本。
しかし、彼女は。そこで知った。

 素晴らしいものがある事を。



98 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/04(金) 00:40:19.01 ID:wS1fr4R90
P「徐倫。盗む気で見ろよ。
  1時間くらいしたらお前にも軽く踊ってもらおうと思う」

徐倫「私が…?ここで?」

P「ああ、この『マリオネットの心』をだ。覚えられるわけがないのは知ってる。
  言っただろう?検査みたいなもんだよ。気楽に、どこまで今、徐倫が出来るのかをみたい」

徐倫「わかった。じゃあ、しっかり見るわ。
   今だけでしょ?こうやって見れるの。飛ぶ気で見るッ!」


トレーナー「さて、じゃあいつも通り区切りごとに踊るわよー!
      まずはイントロから…………」……


 それから1時間。徐倫は一切目を離さず、ジっと。3人を見つめていた。




100 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/10/04(金) 00:41:55.38 ID:V7M+YGvt0
兄貴は765のアイドルたちに女として見てもらえるのかな……


108 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/04(金) 23:00:40.31 ID:QxGnLuico
ドレッドヘアじゃ無くせばカッコイイ系でいけそうと思ったが顔の刺青がなー
細かく突っ込んでもしかたないけど徐倫の蝶の刺青も結構やばいんじゃなかろうか


109 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/04(金) 23:08:25.69 ID:tY0b9qZOo
これはアレよォーーっ タトゥーって言ってよ


110 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/05(土) 00:25:26.91 ID:bWCN6iwro
FFはプランクトン駆使すればあずささん越えも余裕だな


126 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/05(土) 22:45:26.58 ID:2Yd4sOQE0
トレーナー「さて、じゃあそろそろ終わりにしましょうか!」

響「ふぅ…。疲れたぞー!」

真「ふぃ~。どう?美希…。右手結構ピーンとしてた?」

美希「美希に聞かれても困るの…。正直、踊る時まだまだ自分で精いっぱいなの…」


 3人はその場に座り込み、レッスンの終わりが来た。

P「皆、お疲れ。クールダウンもかねて差し入れの飲み物もあるから。飲むといいよ」

真「わぁー。ありがとうございます!」

響「頑張った後に飲む牛乳は格別さー!」


徐倫「流石ね…。3人とも」

P「だろ?ウチが誇るアイドルだからな。
  煌びやかに売れっ子アイドルしてるのは、このたゆまぬ鍛錬ってわけだ!」

トレーナー「さて、じゃあ。早速だけど、見せてもらいましょうか?」


 3人が部屋の端っこへ移動し、壁に寄り掛かると、トレーナーが徐倫を見やった。


徐倫「この曲を、3人のまねをして踊ればいいんだっけ?」


トレーナー「そうよ。まあ、当たり前だけど覚えられるわけはないから。
      雰囲気でアドリブとか入れて踊ってもらえたら嬉しいかな。
      空条さんが、どんなふうに踊れるのか。それを確認したいの」

P「出来るか?徐倫」

徐倫「出来る出来ないじゃなくて。やるかやらないかって事じゃないの?」

P「あ、あぁ……そうだな。やれるか?」

徐倫「やらせてもらえる?」


美希「美希も気になるの。アナタがどんな踊りをするのか」

響「自分も、最初踊った時は緊張したけど。
  このトレーナーは凄いから全部見抜いてくれるぞ!」



 徐倫が、無言でレッスン場の真中へ移動し、大きく屈伸を行う。


トレーナー「じゃあ、準備はいい?曲をかけるわよ?」

P「……」

徐倫「ええ…最初の立ち方は、こうだったかしら?」


トレーナー「うん。じゃあ、かけるよ。3…2…1…」


 ピッ。と、電子音が響く。
それの数秒後。『マリオネットの心』が、部屋に響き渡った。



127 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/05(土) 22:45:52.66 ID:2Yd4sOQE0
 徐倫は、見よう見まねで。踊った。
3人と比べれば、単純な記憶力の差で雲泥の差があるが。


P「うおお…」



 彼女の踊りは。繊細だった。
糸のように、繊細。一本一本の毛先まで意識するような動き。
そして、力強さがあった。

 まるで1つ1つのダンスの動きが、絵画のような力強さを持っていた。
それは、ダンスというより、1つ1つのポージングの集合体。



アウトロも終わり。徐倫はダンスを終え、ひとつだけ、息を吐いた。


真「凄い…」
響「うわー…」
美希「あふぅ…」


 3人も声を漏らす。そして、最初に言葉を発したのは。トレーナーだった。

トレーナー「思ったより…」

 しかし、それを遮る形で、美希が声を出した。

美希「ダンスじゃないの…」

P「え?」

美希「なんだか、そう。根本的に違うの。
   すごく惹きつけられて、魅力があるのは認めるの……。
   でも、なんか。ファッションショーで歩いているような。
   自分を見せているだけ。
   徐倫さん、ダンスを踊ってないって思うな……」

真「いや、でも。美希…。徐倫さんは今日アイドルになったばっかで…」

トレーナー「いえ、美希ちゃんにもそう見えてるなら。やっぱりそうなのね?
      確かに。徐倫さんのはダンスじゃなかった…」

徐倫「ふぅん。そう?」



128 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/05(土) 22:46:20.27 ID:2Yd4sOQE0
トレーナー「始めて踊ってもらってこんな風に言うのは駄目なんだけど。
      もっと詳しく噛み砕くと。空条さん。貴方のソレは。
      まるで幼稚園児が始めて踊ったダンスでもなく。
      なんていうか…。『踊る』という行為が、あなたの中で完成しているのよ。
      その完成形が、空条さんの中での結論が。日本のアイドルの『ダンス』とは。
      違う。そう言いたいの」

徐倫「がっつり貶されてるかと思ったけど。褒めてくれてるの?」

真「うん!とってもカッコよかった!」

響「そうだぞ!すっごく感動したぞ!」

トレーナー「ええ、確かにあなたの踊りは想像以上だった。
      すっごく繊細で、自由だった。
      でも、なんていえばいいのかな…。
      アイドル達のダンスを、『絵本』で得られる感動だとしたら。
      あなたのダンスは、『モナリザ』で得られる感動なの」

徐倫「雰囲気とか、オーラとか。そういう感じの類の違い?
   その、魚が空を飛べないように、鳥が海を泳げないような」

トレーナー「そうね…。なんだか、私も今こうやってあなたのダンスに感動しているもの。
      心に響いたの。でも、それは『空条徐倫』という人間に感動しただけ」

P「なるほど…」

徐倫「ちょっと、何納得してんのよ。私はさっぱりなんだけど。
   これ何?私もーアイドル諦めて帰った方が良いの?」

P「いや、違うぞ!そうは言ってない!」

トレーナー「うん。でも、正直。何も知らない一般の女子高生がダンスをするのより。
      はるかに難しいってだけ」


トレーナー「今のあなたはモナリザなの。そこに居る三人は…そうね。くまのプーさん。
      『winny the pooh』に例えるとね。
      プーさんって。キャラクターも魅力だけど。それが紡ぐ物語もすっごく大事じゃない?
      物語を中心に、キャラクターがいるの。でも、あなたはそのキャラクターが、物語を必要とせず、そこに存在している。
      物語って言うのは『歌』。それが見えないの。
      だから、あなたがダンスを踊るには…」

徐倫「自分って言うキャラクターを薄めろってこと?」

トレーナー「逆よ。『モナリザ』に…。空条さんに物語をしっかり付けるの。
      分かる?絵画に物語をつけるの。普通の絵本の主人公じゃなく。
      絵画に…。それがすっごく難しいの」


徐倫「なんだ…。よかった。安心したわ。
   だって、それ、すっごくブッ飛んでるじゃない。『モナリザ』にもし。
   その感動を超える物語が付属したら、大ベストセラー間違いない大長編よ?
   全米が泣くわ。それが、私にはダンスで表現できるってことでしょ?」

P「そうだな。どんなダンスよりも素晴らしいダンスになる」

トレーナー「でも、それには3ヶ月じゃあ本当に1秒を争うハードなレッスンが必要になる…」



129 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/05(土) 22:58:06.89 ID:2Yd4sOQE0
徐倫「無理?」

トレーナー「無理じゃないけど…でも…」

徐倫「そこだけ。私は全て従う。難しいとかそんな事は最初から分かってる。
   たった3ヶ月でこの3人みたいになれるなんて思わないし。
   だから重要なのは、道のりの険しさじゃなく。出来るか出来ないか。
   覚悟は出来てるわ」

P「徐倫……」

トレーナー「面白い子ね…。なぜか、貴方の目。さっきよりますます輝いてる。
      明日から。本格的に始めるわ。さっき社長からデータも貰った。
      『ウェザー・リポート』の振付。明日から始める!」


響「えっと…。自分達でよかったら本当に何でも聞いてね?」

真「うん!でも僕達も負けないよ!どっちがライブで盛り上がるか勝負だね!」

美希「さっきはあんなこと言ったけど。
   徐倫さんの踊る、『ダンス』が、すっごい楽しみって思うな!」

徐倫「ええ、そっちこそ。追いつかれて悔し泣きしても知らないから。
   超ぶっ飛ぶ気で追いかけるから」


 それが始まりだった。
徐倫という人間の【アイドル】への…【ダンス】への第一歩。



To be continued →



138 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/06(日) 09:14:07.91 ID:wdSvLX+Xo
ヘイッ!何やってんだテメェッ


145 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/08(火) 12:14:38.14 ID:28IlDO2V0
第5話「歌う事」

 徐倫は、ひとまずレッスン場を後にした。
アイドルとしての活動の初日故に、車で次の目的地へ走っていた。

P「この後のスケジュールだ。さっきのレッスン中にアポとかは取っておいた
  目を通していてくれ」

 運転しながら、片手で手帳を取り出し、徐倫に見せる。
手帳のメモ書き欄に、消しては書きなおされた、一日の予定表が書いてあった。

徐倫「ん」

 それを一言で受け取り、徐倫は目を通す。


13:30~宣材写真撮影
18:00~ヴォイスレッスン見学
19:00~歓迎会



徐倫「ん?ねえねえ、ちょっと聞いてもいい?」

P「ん?どうした?」

徐倫「時間が間違っているって言うオチとか、スケジューリングに失敗したオチなら。
   ソッコーで理解が出来るんだけどさ…。このヴォイスレッスン?
   短くない?」

P「ああ、それか。それはそれで大丈夫だよ。
  さっき決めたんだ。3ヶ月で君を最高のアイドルにするには。これが一番だって」

徐倫「話が見えないんだけど…?」

P「端的にいえば、ヴォイスレッスンは付け焼刃だ…。
  徐倫にはこの3ヶ月の間、レッスンの比重を大きく偏らせる」

徐倫「歌をおろそかにするってこと?」

P「そう言うと聞こえが悪いが…。理由はいろいろあるんだ。
  この『ウェザーリポート』は英語歌詞だ。日本の歌のトレーナーしかウチにはいないから、専門的なレッスンは難しい。
  そして、もうひとつ。歌においては、短い時間でもそれなりに仕上げることが可能なんだ…。彼女の力を借りれれば…な?」

徐倫「彼女?」

P「君も既に会っている、ウチのアイドルだよ」


 徐倫は一言、「そう」とだけ返答し、無言で前を見つめた。
車は次の目的地へ…。宣材を撮影しに向かった。



146 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/08(火) 12:15:04.84 ID:28IlDO2V0
 午後17:30 
時間は既に日没を迎えていた。
徐倫はひとしきりカメラの前でポーズをとった。

P「いやあ、やっぱり徐倫は写真に映えるよ。とても素晴らしい出来だった。
  ついでに撮れればと思っていた、ライブ用のスチルも撮れたし。
  まずは一安心だな」

徐倫「本当にあれでよかったのー?なんかカメラマンが私を見る目が卑猥だったっていうか、ちょっとエロかったんだけど?
   あれなの?アイドルってのは夜のご奉仕も兼ねるためにそういうフェロモン必要なの?」

P「いや……。そういうわけじゃあないんだが…。まあ、エロさっていうか、色気は必要だな。
 アイドルにも色々あるが、徐倫は少なくともその『色気』って部分は押していくべきポイントだし」

徐倫「じゃあ未来的にヘアヌードとかも出しちゃうってコトー?キャー!ぶっ飛んでる!」

P「そんな崖っぷちの商売戦術はウチは使わないよ…。
 そうしないために俺も頑張るし、徐倫も頑張ってもらわないと…」

徐倫「冗談を真に受けて返されるとちょっとヘコむんだけど」


 写真撮影の後故なのか、徐倫はテンションが高めである。
昨日から日本に来て、緊張が延々と続いた結果だった。


P「さあ、この後は、ヴォイスレッスンだな…」

徐倫「またあのレッスン場?」

P「いや、事務所だ」

徐倫「へぇ~。あんな事務所に歌う場所ってあるのね…。
   しっかり見てないから見落としていたわ」

P「いや、そんな大層な設備はないよ…。設備じゃなくて、そこに居るんだよ。彼女が」

徐倫「その暗に秘めた言い方に突っ込むのもメンドくさいわね…。行けば分かるの?」

P「ああ、分かるさ」



147 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/08(火) 12:15:41.16 ID:28IlDO2V0
―765プロ事務所―

P「さて、ついた。行くぞ、徐倫」

徐倫「ええ、まあ何が来ても驚かないつもりでいる」

 2人は事務所のビルに近づく。
ビルの2階に、事務所の扉があるのだが。プロデューサーはそこをスルーしてさらに上へ昇る。

徐倫「?この上って屋上だけじゃ…」

P「そこに行くつもりだ」

 2人が屋上へ上ると、屋上の扉が空いていた。そして、その空間の先から。
視覚より先に聴覚で気付く。

徐倫「歌声?」
P「ああ」


 屋上で1人、喧噪の街並み。人並みの中で1人。
アイドルが歌を歌っていた。

 下で歩き、遊ぶ人々にはその声は届かないが、空に向かって彼女は歌っていた。

【約束】という名の歌。アカペラであるにもかかわらず、完全なリズムと拍で歌う。
彼女の名前は、如月千早。

 誰といるわけでもなく。ただ1人で歌を歌う。
それを、徐倫は立ち止まって眺めた。

 正確に言うならば、気付いたら眺めていた。
体が動くことを拒否し、歌を聴く。ただそれだけのために全神経を集中させるよう体が強要した。

徐倫「この歌…好き」

千早「誰?」

 千早は、後ろの徐倫の声に気付き、我に返って振り向いた。

徐倫「あ、ごめんなさい。盗み聞きするつもりはなかったんだけど」

千早「あなたは…確か、徐倫さんですよね?プロデューサーとお二人で。
   何か御用ですか?」

P「いや、ただ千早が毎週この時間、ここで歌っているのを知ってるから。
  見学にと思って様子を見に来たんだが」

千早「見学!? そんな……私は別に大層な事をしているわけではなくて……。
   これもレッスンというよりただの趣味というか…その……。
   というよりも!
   見に来るなら事前に言ってください!いつもいつも突然です!」

P「あー。いや、だって事前に行くって言うと、千早は断るだろ?」

千早「それは……。でも、それとこれとは違いませんか!?」

徐倫「でも、凄く良い声だった。聞かれるのは嫌?」

千早「え?……いえ、皆に私の歌を届けたいって気持ちはあるのだけれど。
   ただ、状況というか…。
   って、え?私の声、褒めてくれた?」

P「千早はウチのアイドルの中で一番『歌』に対する覚悟と技量が一番だから。
  その千早の事を知ってもらおうことで、徐倫に何か掴めたらと思って」

徐倫「確かに。仕事やレッスンが終わっても、こういうところで歌う人だもの。
   人並みとは違う気持ちってのはありそうね…」

千早「えっと……。プロデューサーさんは。いったい何を私にさせたいんですか?」

P「その言い方は聞く人が聴いたら誤解を生むからやめてくれ。
  だから俺は単純に、千早の歌を聞かせてやりたいと思った。それだけだ!」

千早「だからそもそも、状況が……。といっても堂々巡りですね。
   では、私はいつも通り歌えってことですか?」

P「ああ、聞かせてくれるか?」

千早「え…ええ。わかりました」


148 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/08(火) 12:16:15.62 ID:28IlDO2V0
 そして千早は再び歌い出す。
徐倫は改めてその声を聞いた。
音階や、そういう機械的な正確さはもちろんだったが。
彼女の歌う歌には、命があった。抽象的な言葉で表すなら、生きた歌だった。


千早「ふぅ…。えっと、これでいいんでしょうか……」

徐倫「凄いのね…アイドルって……。
   さっきの3人、ダンスの時もそうだったけど。人の心を動かすのが凄いと思う。
   ママに絵本を読んでもらうのでも、映画を見た後とも違う。
   なんていうか、クラシックで演奏者の気持ちが見えるような…。そんな感動」

P「これが、アイドルの歌なんだ。
  歌詞の意味や、リズムの意味を超えた。千早の歌。千早が生む感動だ」

千早「えっと…。そんな褒めても、その……。ありがとうございます」

徐倫「でも、私にはこんな歌い方は出来ない……と、思う」

千早「なんでそう思うの?」

徐倫「え?いや、私って。正直そんなに歌って言う物に真剣に考えた事もないし。
   そもそもアイドルになるつもりなんて本来なかった。
   成り行きって奴?だから、そんな歌い方は…」

千早「別にとがめるつもりはありませんが…。
   そんなに難しい事ではないと思いますよ?」

徐倫「?」

千早「歌というのは、本当は。歌いたいから歌うってことだと思います。
   私も、歌いたいんです。ただ、それだけです。
   皆に私の歌を聴いてほしい。私の歌で誰かが感動するのが嬉しい。
   ただ、単純にそれだけなんです」

徐倫「私が、誰かを感動させたい……。それだけ?」

P「ああ、確かに千早は、その感動の重きを『歌』においてる。
  正直、ダンスのレッスンが多少疎かになってるんじゃないかと心配になるくらいにな」

千早「そんな事…!」

P「ああ、今の千早にそれはないのは分かってるよ。
  でも、逆にいえば、歌うってのは。声が素敵だとか、リズムが完璧とかじゃない。
  ソコより一番大事なものがあるんだ」

徐倫「成程…ね…。さっきプロデューサーが、ヴォーカルレッスンよりもダンスレッスンを重視するって言ったけど。
   そう言うことね?」

P「ああ、ヴォーカルレッスンで3ヶ月しっかり基礎を学べば、後はレッスンじゃあない。
  荒削りな部分はそりゃあ出てくるけど」

徐倫「うん。千早さんの歌を聞いて。分かった気がする。
   歌うってこと。プロデューサーの言ったとおりね、彼女の歌を聴けば分かるって」

P「同じ練習でも、自分で考える事でその結果は大きく変わる。
  だから、まずは徐倫には千早の歌と、千早の言葉を聞いてほしかった」

千早「えっと……。よく話が見えませんが……」

P「ごめんな千早。急に押しかけたりして。
  千早が思う以上に、千早の歌は素晴らしいってことだよ」

千早「ええ!?どうして突然そういう話になるんですか?
   でも…。はい。徐倫さん、もし何かあれば、歌の事でしたらお力になります。
   いつでも聞いてください」

徐倫「ええ、ありがとう」



 徐倫の持つポテンシャルは、素晴らしい。
そして、それを引き出すためには。アイドルを知ることに他ならない。
この一日で。アイドルとしてライブで輝くための歌とダンス。
その二つを学ぶ。

 明日からのレッスンをますます有意義なものにするために。

To be continued→


152 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/08(火) 12:43:42.65 ID:6KNvm2m9o
徐倫のヌードって今更って感じだな


154 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/08(火) 15:11:51.35 ID:6KNvm2m9o
徐倫のヌード(笑)


155 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/08(火) 16:30:57.42 ID:jxdjMJhXo
>>154
需要しかないな


156 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/08(火) 16:47:25.76 ID:/gP/+RF+o
承太郎さんがアップを始めました


157 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/08(火) 17:22:34.38 ID:eFIccmODO
ヌード待ちだし、要全裸待機か

あっオラオラはいらないです


158 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/08(火) 21:12:20.74 ID:IP7g0TkK0
第6話『歓迎会に行こう』

P「さて、そろそろお腹が空いたな。
  事務所に戻るか、2人とも」

千早「ええ、そうしましょうか」

徐倫「そういえば、そろそろ19時ね…。
   予定表には『歓迎会』ってあったけど。何か祝ってくれるの?」

P「まあ、行けば分かるよ」

 無邪気な笑みをプロデューサーは見せた。
千早は徐倫に、「行きましょ」っと、はにかみながら歩を速めた。

徐倫「なーにー?特上のスシィとか出てくるのー?」


 会談を降りて、先ほど素通りした事務所の前に立つ。

P「さあ、開けてみてくれ」

徐倫「もう大体何が起こるか予想出来ちゃうんだけど…。
   って、これを言ったらブーね…」


 ガチャリ…。ゆっくりと、事務所の扉が開かれる。


春香「うーわっほい!」


 パパパパパーン!!


 銃声のような音が部屋中に響き渡った。
その音の正体はクラッカー。

春香「えーっと…空条徐倫さん!我が765プロにようこそ!
   僭越ながら、歓迎会を取りしきりゃぃと思います…あー噛んだぁ!」

伊織「もー!台無しじゃない!だから春香に任せるのは嫌だって言ったのよ!」

春香「伊織が考えた言葉が堅っ苦しいんだよお!もっと砕けた感じがよかったんだもん!」

伊織「それと噛む事は違うじゃないの!もう!」


徐倫「…?え?えっと、今の私の反応は。何が正解なの?」

P「あ…あははは…」

春香「ハッ!言い合いしてる場合じゃないよ!えっと!
   徐倫さんの歓迎会がしたくて…。皆に無理言って集まってもらったの。
   でね、プロデューサーさんが色々出前取ってくれて。
   事務所でごめんなさいなんだけど、歓迎パーティーをしようって!」

徐倫「う…うん。それは最初のクラッカーっていうか、プロデューサーが予定表に【歓迎会】って書いていたから知ってる」

春香「えぇええ!?ちょっとプロデューサーさん!サプライズにしようって言ったじゃないですか!」

P「え…え?言っちゃあ駄目だったのか!?」

徐倫「本当…。なんだか今日は色々ありすぎでブッ飛んでる一日ね。
   ここの人たちってなんていうか、優しいしにぎやかね…。やれやれだわ」


 徐倫はため息をつきながら、笑顔を見せた。



159 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/08(火) 21:12:48.49 ID:IP7g0TkK0
社長「んー。では、皆もお腹が空いただろう?早く食事と行こうじゃないか!
   プロデューサー君が、自腹を切って頼んだ品々を、堪能しようじゃないか!」


 社長が一声かけると、皆はテキパキとお皿や箸を配る。
中央に臨時で置かれたテーブルには、ピザやお寿司、更には中華料理など。
色々なものが彩り豊かに置かれていた。


P「まあ、これが765プロだよ。徐倫も、馴染んでくれると嬉しいんだが」

徐倫「馴染むも何も。どうしようと多分向こうの方から迫ってきそうね。
   多分、私に拒否権はなさそう…」

春香「徐倫!何食べるー?よそってあげるよ?あ、それとも自分で選びたい?」

徐倫「ホラね?」

P「はははは……」

春香「うん、そうだね!お寿司とかアッチじゃ見慣れないでしょ?ホラ、選ぼ!」

徐倫「あ、ちょっと引っ張らないでよ。わかったから、行くから!」


 徐倫は、春香に引っ張られて、中央のテーブルへと飲み込まれていった。


律子「流石ウチのアイドル達ですね。
   物怖じしないというか、もう友達みたい…フフフ」

P「ああ、それがウチの持ち味だからな。
  この調子だと、すぐにでも一緒に買い物とか行きそうだな……」

律子「やっぱり、不安もありましたか?」

P「ん?…まあな。親元を離れて国もまたがっての一人暮らしだ。
  同年代の彼女達が支えてくれてホっとしてる」

律子「そうですねー。
あ!!私達も料理とらないと、なくなっちゃいますよ?」

P「え?結構いっぱい頼んだのに…もうないのか!?」


 テーブルの中心では、アイドル達が徐倫にしきりに話しかけていた。


響「すっごいんだぞ徐倫は!ダンスもビシっと決まってたさー!」

真「そうそう!こうバシコーンって来てズババババーンって感じ!」

雪歩「真ちゃん…。全然、伝わらないよ…。あ、徐倫さん。私の入れたお茶、よかったら飲んでみてください!」


徐倫「あ、ありがとう。ついでに徐倫でいいわよ?上司なんだし……」

真「上司かぁー。なんか照れるなーへへ……じゃあ僕の事も真でいいよ!」

徐倫「ん…?このお茶、甘くないわね」

雪歩「え?お茶にはお砂糖入れないよー?」

徐倫「へぇー。向こうだと、お茶に砂糖って普通なんだけど。
   これはこれでおいしいかも…。そもそも緑茶を飲むって習慣があんまり」

雪歩「それは緑茶じゃなくて、玄米茶だよ。お茶にも色々種類があってね?
   今度色んなお茶を作るから、飲んでくれると嬉しいかな…なんて」

徐倫「いいわね、飲ませてよ。
それにしても、あなた結構グイグイ来るのね。
   見た目から…って失礼だけど。もっとオドオドしてるかと思った」

雪歩「ふぇええ!ごめんなさいごめんなさい…。春香ちゃんにすっごくいい人って言われてたから。
   大丈夫かなって思っちゃって…。初対面なのにごめんなさい…私なんて、穴掘って埋まってますぅ!」

徐倫「えー?いやいや、全然オッケーよ?バッチグーよ?
   ここ部屋よ!?ちょっと穴掘ろうとしないでよ!」



160 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/08(火) 21:13:16.76 ID:IP7g0TkK0
亜美「うあうあー。また始まったよゆきぴょんのミスタードリラーが!」
真美「んっふっふ~。もはやプレパラートですな!」

伊織「もしかして、テンプレートって言いたいの?」


徐倫「貴方達もアイドルなのよね…えっと、亜美さんと真美さんとデコちゃんだっけ?」

亜美「そんな堅苦しい言い方はダメっしょー徐倫お姉ちゃん!
   亜美は亜美でいいよー!」
真美「真美も真美でいいよー!よろよろ~!」

伊織「だーかーら!ナチュラルにデコちゃん呼びするのやめなさいってば!
   デリカシーって知らないの?」

徐倫「デリ…カシー…?亜美、真美。知ってる?」

亜美「わっかんない!なんか強そうな名前だねー」
真美「伝説の剣!デリカシー!」

徐倫「あら、イケてるわね。その剣どこにあるのかしら」

亜美「それはそれは深い森の中…。神様が守ってるんだよー!」

真美「その神様こそ、この、水瀬伊織様っぽいよー!」

徐倫「なにそれー!ぶっ飛んでるぅー!ヤッダー!」

伊織「知ってるクセにとぼけてんじゃないわよ!
   年上だからしっかりしてる人かと思ったら、亜美達が1人増えたみたいじゃない!」

徐倫「そんな顔真っ赤にしてると、可愛い顔が台無しよ?いお…」

伊織「?」

徐倫「いお…デコちゃん!」

伊織「今、普通に伊織って呼ぼうとしたじゃないの!無理やりそのあだ名で呼ばなくていいのよ!もー!フンッ!」

徐倫「もう、拗ねちゃったー。亜美、どうするー?」

亜美「どうしよっかー?こんな時には救世主が必要だねー!」
真美「うんうん!やよいっちー!」

やよい「はーい?呼びましたかぁー?」

徐倫「あら、可愛い子ね。誰かの妹?」

やよい「えっと、初めまして、徐倫さん。私も一応アイドルですぅ。
    高槻やよいです!よろしくお願いしまーす!」

徐倫「アイドル?マジ?日本のアイドルってこんな幼い子もやるのね……」

亜美「うあうあー。亜美達の方かやよいっちよりいっこ下だよー?」

徐倫「あ、そう?なんか2人は幼さより別の部分が目立っちゃってて……」

やよい「でもでも!私も、皆に負けないくらい頑張ってますよぉー!」

徐倫「そう?なら、これからよろしくね?やよいさん…」

やよい「ふぇ!やよい……さん……?えへへへー。なんだか私、お姉さんみたいですぅー!
    うっうー!私が教える事何もないかもですけど、一緒に頑張りましょー!」

徐倫「ええ、そうね」

やよい「あれ?伊織ちゃん……なんでムスっとしてるんですかぁー?」

伊織「フンッ!コイツに聞けばいいじゃない?」

徐倫「ごめんってば伊織さん。ちょっと可愛かったから苛めたくなっちゃったの」

やよい「機嫌直そうよぉー伊織ちゃん。折角の歓迎パーティーだよぉ?」

伊織「むぅ、分かったわよー。まぁ、ライブで私の華麗な歌を聞いて、アッと言わせてあげるわ!にひひっ」




161 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/08(火) 21:13:43.17 ID:IP7g0TkK0
貴音「モグモグ…モグモグ……。初めまして…空条徐倫……モグモグ」

徐倫「え?あぁ、貴方もアイドルなのよね。初めまして……。
   あなた、日本人っぽくない顔立ちだけど、貴方も海外から?」

貴音「それは…トップシークレット…モグモグ…です。
   すみません」

徐倫「あ、そう言う感じね。とりあえず口のもの飲み込んでからでいいわよ?
   名前くらいは教えてくれるの?」

貴音「………ゴクン。
はい、四条貴音と申します。これから共に高みを目指す仲間として、よろしくお願いします」

徐倫「ええ、なんだか不思議な雰囲気ね、貴方」

貴音「秘密を持つと、それは魅力へと変わるものです。
   見たところ、徐倫殿にも秘密があるような雰囲気が見て取れます。
   それが、貴方の魅力なのでしょう……モグモグ…」

徐倫「喋ってる最中でも、食べることはやめないのね…。
   ってか、さっきまで貴方のお皿、たっぷり入ってなかった?なんでもう空なの!?」

貴音「それも、秘密です…では、食事を取りに行かねばいけませんので、また……」

徐倫「……えぇ。結構マイペースどころか、ぶっ飛んだ神経してんのね……」

春香「徐倫!食べてる?」

徐倫「ええ、食べてるわ。でも食べる事より、皆と話す方が多いかも」

春香「だよね…。皆徐倫の事が気になるんだよ。新しい仲間だし!」

徐倫「仲間……か…。そう呼んでもらえるのは凄くうれしい」

あずさ「あらあらー?私、まだ挨拶してなかったわー。ごめんなさいー」

春香「あ。あずささん!」

あずさ「初めまして、私。三浦あずさと申します。一応、最年長ですけどあまりお気になさらず接してくれると嬉しいです……」

徐倫「さっきの…貴音…さんだっけ?あの人もそうだけど。
   ここのアイドルの年長者組って結構マイペースなのね」

春香「そうだねー。あずささんは結構おっとりしてるから、ドジっぽいところもあるんだよ?」

あずさ「あらあら。春香ちゃんにドジって言われると、ちょっと心外よ?
    こう見えてもしっかりしているところもあるんです!えい!シッカリ!」

徐倫「……反応に困るわね。でも、まあ、よろしくお願いします」

あずさ「あらあら、そんな畏まって言わなくてもいいんですよ?
    私も、早くご一緒に仕事できる事を楽しみにしております」

春香「えへへ、私も!」

徐倫「そうね。よろしく」



162 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/08(火) 21:14:15.27 ID:IP7g0TkK0
P「どうだー?皆、徐倫とは話せたか?」

 盛り上がっている最中に、プロデューサーは手を振って皆の注目を集めた。

P「ここで、一旦区切って、ちょっと発表したいものがあるんだ!
  聞いてくれ!」

ザワザワ、ザワザワ。

P「実は、徐倫の新曲が。既に手元にある!
  それを、皆に今から聞いてもらおうと思うんだ!」


春香「え!?徐倫の新曲!是非聞きたいです!」
響「そーだ!それを待ってたんだぞー!流してよー!」


P「分かった分かった!じゃあ、今から流すから。聞いてくれ!
  曲名は『ウェザーリポート』だッ!」


 プロデューサーがプレイヤーの再生ボタンを押す。
部屋中に、音が流れ始める。

 今朝、プロデューサーと徐倫自身も聞いたばかりの。
彼女のための歌。『ウェザー・リポート』。



 数分の間、誰一人として声を発することなく。
その曲が部屋を覆った。


 そして、曲が終わると同時に、拍手が響いた。


パチパチパチパチ!

春香「うわー!英語の歌詞だ!カッコイイねー!」

千早「凄く綺麗な歌ね。なんだか温かいわ……」

真「僕たちだと難しそう…。英語の勉強しなくちゃ…」

思い思いに言葉を口にする。


徐倫「次に聞くときは、ちゃんと私の声で歌うわ。
   聞いてもらえるかしら」

春香「もちろんだよ!絶対聞かせてね!楽しみ!」

P「さあ、歓迎会の仕切り直しだ!
  皆が食べ過ぎるから、追加注文もしておいた!時間の許す限り今日は楽しもう!」

春香「わーい!じゃあ、私歌ってもいいかな?」

響「おー!春香の歌かー。若干不安だけど…楽しみだぞ!やれやれー!」

春香「そこ!いらない事言わないッ!」

徐倫「アハハハハハ……」



 楽しい時間は過ぎていく。
明日からの仕事の前の、つかの間の休息。
765プロに今。完全に…。新しいアイドルが誕生した…。



163 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/08(火) 21:14:55.06 ID:IP7g0TkK0
―同時刻・某所―

???「クックックック…。あの765プロに新人アイドルだぁ!?
  笑わせてくれるじゃあないか…。大人しくしておけばいいものを…。
  で?出身はどこなんだ?」

記者「多分…アメリカかと…思います。
   私も聞いた話なんで、定かではないですが…」

???「まあいい。ウチのアーティストの方が素晴らしいに決まってる。
  どうせ高木が選んだアイドルなんぞ、私のアーティストの足元にも及ばんよ。
  クックックック…アーッハッハッハ!!」

記者「で、社長がイタリアで連れて来たのが……彼女ですか?」

???「ああ、あちら側で歌手をやっていると聞いたのでな。
  私のプロデュースの元で日本デビューしてみないかと…持ちかけたのだ」

記者「移籍…ということですか?」

???「いや、違うな。正確にはレンタルだ。
  彼女自身が、色々な国で歌いたいと言うので、私が立候補したのだ。
  当分はこちらで活動する…。事務所も日本に居る我々の方が好都合だろう?」

記者「本当は何と言っているのか…。『黒井社長』。あなたも策士ですね…?」

黒井「ウィー。同時期に、同系列の会社から海外アーティストが売り出されるのだ。
   実力でねじ伏せることなど容易いだろう…。
   なにせ、私の子は、アイドルではなく、『アーティスト』なのだからなぁ」


記者「彼女のデビューはいつです?」

黒井「一週間後だ…。急遽デビューという一面で華やかに頼むよ?
   そのアメリカアイドルの記事をへし折ってでも!」

記者「ええ、わかりました…。見出しはどんな感じが良いですかね?」

黒井「そうだな…………。
   こんな感じはどうだろうか?



   【イタリアの歌姫が日本にッ!歌唱力と美しさを兼ね備えたッ!トリッシュ・ウナ!!】」






To be continued →




164 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/08(火) 21:21:46.16 ID:CNJQeyqe0

そういや恥知らずで歌手になってたな


168 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/08(火) 21:42:26.18 ID:iCFwKEhAO
何故だろう、黒井社長がオラオラされる姿が見えるのだが


170 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/08(火) 21:46:58.71 ID:gCJmvMqJ0
その一週間後輪切りになった黒井社長のホルマリン漬けが!


175 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/09(水) 03:02:02.74 ID:F6cDlFQ1O
WANABEられたか……


179 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/15(火) 14:02:51.93 ID:ILxe6PPw0
第7話『恋する兵士』

黒井「改めて、ようこそトリッシュさん。我が961プロへ」

黒井は、自分の社長室で、桃色の紙の女性。トリッシュと会話する。


トリッシュ「ええ、よろしく。ごめんなさいね、日本語は分からないから…」

黒井「大丈夫だとも。私はこうやってイタリア語が話せるのだから…。
   テレビ出演の際は通訳をつけるよ」

トリッシュ「それにしても、手際が良いのね?もう来週デビュー出来るなんて」

黒井「君はイタリアではとても有名だからね。日本にも少ないがファンはいる。
   事を進めるのは簡単だったよ」

トリッシュ「ふふふ…。でも、良かった。貴方みたいな人がいてくれてて」

黒井「んー?どういう意味かな?」

トリッシュ「いえ?私の素性は知ってるんでしょ?」

黒井「父親の事かい?」

トリッシュ「そう、公には知られてないけれど。私の父親はギャングのトップ。
      それなのにデビュー出来たのは、私の友人が口止めしてくれたおかげ……。
      つまり、そういうことでしょ?」

黒井「君の後ろにはギャングがいると。そう言う事だよね?
   クックックック。大丈夫だと分かっているよ。
   君を拉致監禁なぞすれば話は別だが…。私は真っ当に君を売り出そうと思っている。
   まあ、邪念があると言えば嘘になるがな?」

トリッシュ「それは聞いたわ。なんでも、貴方が個人的に嫌悪するプロダクションが。
      同じように海外から人を連れて来たんでしょ?
      それに被せる形で私を日本デビューさせる。そう言う事でしょ?」

黒井「それも一部だという事を忘れないでくれよ?
   私の思惑の本質は、君のデビューだ。」

トリッシュ「ええ、信頼してないわけじゃない。
      貴方が私を利用するように、私も、この961プロを日本デビューのために利用している。
      言いっこはなしよね」

黒井「ウィ……」



180 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/15(火) 14:03:21.24 ID:ILxe6PPw0
――765プロ・事務所――

伊織「ちょっと!プロデューサーいる!?」

小鳥「あら、どうしたの伊織ちゃん…。そんな血相を変えて。
   プロデューサーさんと徐倫さんなら今はレッスン場よ?」

伊織「ハァ…ハァ…。どうしたもこうしたもないわよ!
   これ!またあの961プロの仕業じゃない!?」

 息を切らして、伊織が握りしめていたのは、芸能雑誌だった。

小鳥「あら、その雑誌。徐倫さんのデビューが書いてある記事よね?
   どんな風になってるの?」

伊織「見れば…分かるわよ……」

小鳥「?……これ…………。社長!!」

 あるページを見ると、小鳥も血相を変えて社長室へ走りこむ。
そのページには……。



181 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/15(火) 14:03:50.47 ID:ILxe6PPw0
――数時間後――

P「ただいま、戻りました!」
徐倫「たっだいま~。お茶ある?砂糖入ってない奴。アレ飲みたい」

 徐倫が入社してから早数週間。
レッスンも上々で、徐倫も事務所に打ちとけて、リラックスしている様子だった。

小鳥「あら、おかえりなさい。お茶かしら?そろそろ雪歩ちゃんが帰ってくるから。
   どうする?私が入れてもいいんだけど」

徐倫「あら?そう。なら雪歩が帰ってくるまで待つことにする。
   彼女が入れたお茶が最高にグーだし」

P「あ、所で小鳥さん。先ほどのお電話の件なんですが……」

小鳥「ええ、その雑誌です」

徐倫「このクッキー…じゃなくてオセンベーだっけ?これも超好き!
   親日家になっちゃいそうよ!」

 徐倫が、事務所のテーブルの上のお煎餅を頬張って、幸せそうにテレビを見ている。
それを横目に、プロデューサーは小鳥さんが差し出す雑誌を受け取る。

 それは、徐倫の疑似的なデビューといってもいい。
初めて公に公開する徐倫の宣伝が乗るはずだった。

 吉澤記者。高木社長の個人的な友人でもある彼に頼んで記事にしてもらっていた。
トップにも大きく見出しを載せて、華やかな宣伝の予定だったのだが…。


 事実の雑誌は違った。


【イタリアを始め、世界で話題のトリッシュ・ウナ!
 有名曲、『恋する兵士』を日本語で歌い直しての、堂々たる日本デビュー!!】

 それが見出しだった。
徐倫の記事はあるのだが、その次のページ。

 特に記事が無くなっていたわけではない。
特に徐倫の誹謗中傷が流れていたわけではない。

 ただ単純に喰っていた。
トリッシュの記事が、徐倫の記事を薄くしていたのだ。


P「これって……。たまたま、でしょうか」

小鳥「そう考えたいものですけど……。
   今までの961プロの、私達への嫌がらせから考えるに。
   今回も、たまたまでは済みそうにはないですね……」

 海外からの日本デビュー。という見出しは、今の徐倫には最大の武器だった。
特に、向こうでは一般人だった徐倫にとっては、唯一無二といっても過言ではない。

 それ故、ここでコケてしまえば。それは徐倫のアイドル生活がいばらの道となることを意味する。


徐倫「で?何の心配があるの?」

P「え?」

テレビを見ていた徐倫が、テレビから目を離さないままに、プロデューサーに話しかけた。

徐倫「大体分かる。オッサンから961ってプロダクションとのイザコザは聞いてたから。
   なんかイタリアから大物アーティストが来るんでしょ?
   で?それに記事を食われて何の心配があるの?」

P「聞いてたのか……」



182 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/15(火) 14:04:27.36 ID:ILxe6PPw0
徐倫「ひそひそ話になってないのよー。私、耳はいいの。
   っていうか分かる。電話の後のプロデューサーの顔色とか見ててもさ。
   で?3回目よ。何の心配があるっての?」

P「あ、いや…。それはだな」

徐倫「私が宣伝1つ失ったくらいで売れないって。
   マジで思っちゃってんの?そんなショッボイ覚悟で私を売り出す気ってわけ?」

P「そんなつもりじゃあないんだが……」

徐倫「じゃあどんなつもりだったワケ?説明が欲しいわね。
   雑誌の記事1つ無くなった程度で血相変えて、まるで私自身は無力みたいね?」

P「ごめん……」

徐倫「謝ったってことは、つまり。認めたってことと等しいのよー?
   謝罪イコール肯定ってことよ?あんたの覚悟は、つまりその程度?」

P「もしかして、徐倫。怒ってるのか?」

徐倫「怒ってるのかー?それ聞いちゃうー?ぶっ飛んでるわね、アンタ。
   ハァ……。うそつき……」

 徐倫は立ちあがり、スラリと事務所から出る。

P「おい、徐倫……待てッ!」

 プロデューサーも後を追う。それに気付いた徐倫は、地面蹴って走りだした。
徐倫の運動神経は、女性というには力強く。プロデューサーが追いつけないスピードで、どこかへ消えていった。

P「オイッ!徐倫…!待てって……!!」


 プロデューサーも全力で走るが。完全に見失った…。


 徐倫は、苛立ちを隠せなかった。
自分が否定されたように思えてならなかったのだ。
プロデューサーの覚悟がハリボテだったと感じてならなかったのだ。

 まるで最愛の恋人に裏切られたような感覚。
それを抱いた徐倫は、その空間から逃げ出した。


 それの片鱗を感じ取ったプロデューサーは。
自らのさっきまでの行動を悔やみ、壁を大きく殴りつけた。


P「黒井社長!おまえのくだらない記事はこれを狙っていたのなら、予想以上の効果をあげたぞッ!」


 プロデューサーは一言だけそう吐き捨てて、徐倫を探すために再び走りだす。



183 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/15(火) 14:04:53.69 ID:ILxe6PPw0
 徐倫は、街を歩いていた。
昼下がりの、街並み。多種多様な人がそこを通る。

 その中でも際立つ徐倫の存在感は、目を引いていた。

徐倫「こうして日本の街を歩くのって、そういえば始めてね…。
   さて、勢いに任せて出て来たはいいけど、どうしようかしら」


 徐倫は、フラフラと行くあてのない散歩を楽しんだ。

不意に。
大きなビルディングのモニターが目に入った。

そこに映っているのは、トリッシュ・ウナ。
先ほどの記事に話で持ち上がった彼女だった。


アナウンサー『素晴らしい歌ですねー。一週間という異例の電撃デビューでしたが。
       ライブチケットも即日完売で、大盛況だったご様子で』

通訳『はい。私も感動しています。日本の皆様に、母国語でこの歌を届けられた事が嬉しいです。
これからも、応援を、よろしくおねがいします』


徐倫「なーんだ。日本語喋られないんじゃないの。甘ったれてるわね」


 悪態をつきながら、そのまま目を逸らして前を歩く。
表路地をふらふらと当てなく歩くと、今度は不意に声をかけられた。


男「そこのお嬢さん!ねぇねぇ、ちょっとイイッスかァ?」



184 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/15(火) 14:05:21.47 ID:ILxe6PPw0
徐倫「お譲さん?私の事?」

男「そうそう君だよ君ィ!なに?可愛いね。外国人?」

徐倫「そうよ、アメリカ。どうしたの?なにか用かしら」

男「まぁ、用ってこともないんだけど。暇なら一緒に遊ばねーかなぁって!」


 話しかける男の周りには、数人の男が付き添っている。
徐倫は一目見て、ナンパだと気付く。

徐倫「あら?私の魅力がわかる?なぁに?私とお茶したいのー?」

男「そうそう!意外と乗り気だね!どう?」

徐倫「素敵なお誘いね。いいわ。すごくいい」

男「おっ!じゃあ……」

徐倫「でも嫌」

男「え?」

徐倫「だってアンタ達冴えないんだもん。私と遊びたかったら。
   トムクルーズくらいのイケメンになるか、金持ってきてよねー?
   ダッサイ癖に外国人ナンパしてんじゃあないわよ。消えなッ!」


 唾を地面にはき、中指を立て挑発する。

男「あ?おいテメー。日本人だからってバカにしてんのか?」

徐倫「何?気に食わないから殴るっての?上等ッ!」

男「チッ!マジでイラつくぜぇえ!ぶっ殺してやる!」


 突然のストリートファイトが始まる。
男が徐倫に右ストレートを当てようと、右足に力を込める。
その後ろに居た付き添い達も、各々殴ろうと構える。

 徐倫もそれに立ち向かうようファイティングポーズをとる。


 その瞬間。

 ドッグォン!



 徐倫と男達の間に、何か鉄のようなものが倒れこんできた。

それは電灯だった。
道の端にそびえ立っていた電灯は、『まるで硬さを失ったように』倒れたのだ。
男達と徐倫を引き裂くように、鈍い音で倒れこんだ。


 それと同時に、徐倫は誰かに手を掴まれる。

「come on」

徐倫「who? (だれ?)」

「an ally(貴方の味方)」


 徐倫は、男たちを尻目に、その場から逃げ出すように女性に手をひかれた。



189 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) :2013/10/15(火) 17:59:49.23 ID:OpQcQw5X0
トリッシュは時系列を考えると25歳くらいかな?


190 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/15(火) 21:47:47.79 ID:ILxe6PPw0
 そして、街中の公園まで2人は走り続けた。

徐倫「ハァ…ハァ…。なんだっていうのよ……」

「あなたアイドルでしょ?あんなところで喧嘩しちゃあ駄目じゃないかしら?」

 お互い英語で話す。
その女性はサングラスにキャップ帽子を被っていたが、外国人だという事は分かった。

徐倫「私の事を知ってる口ぶりね……?貴方一体誰なの?」

「私?私は……」


 そう言うと女性は、帽子とサングラスを取り、素顔を見せる。
その顔は、徐倫は先ほど見たばかりの顔。

徐倫「アンタ…。トリッシュ・ウナ?」

トリッシュ「ええ、そうよ。不思議なものね。たまたま歩いていたら、知った顔が喧嘩をしようとしてるんだもの。
      感謝してほしいわ?あなたのデビューを今。守ったんだから」

徐倫「どうも……。いやホントに。とても助かったわ。ありがとう。
   感謝してる。サンキュー。グラッツェ。
   それじゃ……」

トリッシュ「あら?もうさようならかしら?とても素っ気ないものね」

徐倫「雑誌」

トリッシュ「ん?」

徐倫「雑誌の件。偶然じゃあないんでしょ?
   表紙の見出しも私じゃなくてアンタ。直の前後になるようにページを決めたのも。
   ワザとなんでしょ?臭うわよ?」

トリッシュ「衛生面には気を使っているんだけど?いまでもアルマーニの香りがすると思うんだけど…?」

徐倫「……」

トリッシュ「冗談よ。睨まないでよ。
      質問にはYes。日本で所属する、961プロって所は、どうやらアナタの事務所をコテンパンにしたいらしいからね…。
      でも、たったそれだけ。恨まれるような事をした覚えはないわ」

徐倫「ええ。たしかに『たったそれだけ』かもしれないわね。
   でも、なんかむかつくのよね。アンタみたいな鳴り物入りでデビューする人が。
   わざわざ、私のデビューを知った上で被せてくる事が……」

トリッシュ「そうかもね。私自身も良い気はしないわ。
      私は別に貴方達に恨みはないしね?でも、上の方針には従う。それがルールだから」

徐倫「だから、助けてくれた事には感謝する。
   これ以上はお終い。それじゃね……」

トリッシュ「待って」

徐倫「まだなんかあるの?」

トリッシュ「これで終わりじゃないの。貴方に教えておきたいの……」

徐倫「何を?」

トリッシュ「貴方って。刑務所に入ってんですって?」

徐倫「何で…?それを…?」

 ドドドドドドドドドドドドドドドド



191 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/15(火) 21:48:13.85 ID:ILxe6PPw0
トリッシュ「社長の黒井は、その情報を仕入れている。
      多分もうすぐ、もしかたら既に。そっちのプロダクションに脅しを入れているわ。
      バラすぞって……。それが彼のやり方だから」

徐倫「それを知ってどうしろと……?」

トリッシュ「いえ。私が、そんな事をすれば私は国に帰る。とでも言えればいいんでしょうけど。
      生憎。そうも出来ない。私は日本でデビューしたかったし…。
      彼がいなければ、私のような境遇の人間を扱ってくれるプロダクションはそういないもの……」

徐倫「私への最大限の良心だとでも?」

トリッシュ「偽善ぶるつもりはない。
      あなたを蹴落としてでも私はデビューしたいという精神があるのだから。
      でも、実際に。蹴落とす必要がないのも事実なの。
      だから、知らせたかった。出会ったのはたまたまだけど」

徐倫「成程。アンタ、善人じゃあなさそうだけど、悪人でもないわね。
   なんていうか、芯がある。そんな目つき」

トリッシュ「だから……。貴方も覚悟して。
      普通にデビューは出来なさそうよ?」

徐倫「惹かれあう」

トリッシュ「え?」

徐倫「いえ、そう思ったの。何故かは知らないけど。私とあなたは惹かれあう運命だったってね……。
   ご忠告どうも。でも、大丈夫」

トリッシュ「そう…。わかった。あなたも奇妙な運命ね。私とどこか似ている。
      貴方になら…。ねぇ、ちょっと座らない?」

徐倫「イタリアの歌姫が?私にナンパ?」

トリッシュ「ええ、そうよ。私とあなたはいわば海外からデビューするライバル。
      そんなあなたの、受動的とはいえ弱みを知ってしまったもの。
      私も教えなくちゃフェアじゃないと思って」

徐倫「教える?フェア?不思議な事を言うものね。
   いいわ。聞かせて?」


 徐倫とトリッシュは、公園のベンチに腰を下ろす。



192 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/15(火) 21:48:42.24 ID:ILxe6PPw0
トリッシュ「でね?私はその友人達と父を殺した。いえ、正確には死んではいないのかもしれないけど……。
      とにかく終わり。永遠の終わりへと到達したのよ」

徐倫「……。まるでホルモン焼きを初めて食べた時のように飲み込みづらい話ね。
   ぶっ飛び過ぎ。ギャングとか、スタンド能力とか……。
   やっぱりさっき電柱を柔らかくした半透明のアレって、そのスタンドとか言う能力なのね?」

トリッシュ「ええ、そう。でも、それを隠して私は歌っている。
      バレてしまえば私の今の立場は崩れてしまうわ」

徐倫「なんでこんな話を私に?」

トリッシュ「言ったじゃない。公平さが必要って。
      私の事務所が貴方の事をばらしたのなら、貴方も私の秘密をばらせばいい。
      これで公平でしょ?」

徐倫「さっきと言ってる事が違うんじゃあないのかしら?
   蹴落としてでもデビューしたいはずなのに。それじゃあイタリアにもどることも難しくなりそうよ?」

トリッシュ「ふふ…。そうね。でもバラされたら…ね…?」

徐倫「つまり。アンタにはバラされない自信がある。こう言いたいのね?」

トリッシュ「ええ。そう言ってる。例えどんな方法でも。私はこの事実を隠す。
      そもそも。私の努力ではなく。それは友人がしてくれていることだけどね」

徐倫「イタリアからわざわざ日本に来るっての?」

トリッシュ「そうね。彼らにとっても、それほどの秘密だから」

徐倫「あっそ……。まぁ、仕返しみたいな真似はしないから。
   例えアンタの事務所が私の事を公表しようが、それはアンタのせいじゃない。
   私が仕返しの矛先をアンタに向けるのは…。お門違いって奴よ」

トリッシュ「そう?やっぱりあなた、一味違うのね。
      ごめんなさいね?だろうと思ったからこそ私は話したの。
さてと……。そろそろ帰らなくちゃ、社長に怒られてしまうわ」

徐倫「そうね。私の方もそろそろバカが迎えに来るころだろーし。
   今度会うときも、笑顔で会えるといいわね」

トリッシュ「ええ、それを願うばかりよ。
      Arrivederci……」

徐倫「アリ…え?何て言ったの?」

トリッシュ「イタリア語よ。私の母国語。
      私、英語とイタリア語とフランス語を話せるの。私は甘ったれていない」

徐倫「あの時から傍にいたっての…?なによそれ…ふふふ」


 トリッシュが手を振って徐倫に背を向ける。
徐倫も同じようにトリッシュの背中へ手を振った。



トリッシュ(あれ?なんで彼女はスタンドが見えていたのかしら……。
      いえ、気にしないでおこうかしら)



P「あ!いたッ!徐倫!!」

徐倫「……あ…見つかった……」


To Be continued→



196 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/10/15(火) 23:52:42.02 ID:6vJ2AJvDO
やはり見えなくなっても「惹かれあう」んだな…


210 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/22(火) 18:39:59.92 ID:4Lbig4aK0
第8話『信頼しろ、アイドルにはそれが必要だ』

P「良かった…見つかった……」

息を切らしたプロデューサーが、徐倫に近寄る。
徐倫はその場を離れようとせず、流し眼で睨みつける。

徐倫「見つかった…って言ったの?それは良かったじゃない。ミッションコンプリィィイト!!って感じ?満足?」

P「ハァ…ハァ…。なぁ、横、座ってもいいか?」

徐倫「別に~?このベンチ私のじゃないし…。私がアンタに対して許可をする必要性も義務もないっての」

P「ああ、じゃあ座る」

 プロデューサーは悪態を突かれている事は重々承知だった。
徐倫がため息を吐くその顔をよそ目に、まるで面接に来た入社希望者のように綺麗に着席する。


P「なあ、徐倫……」

徐倫「『ごめんなさい』は欲しくない」

P「えっ……と……」

徐倫「謝ったらどうなるの?私はアンタを許せるの?違うでしょ?
   謝罪で解放されんのはアンタの罪悪感だけ。
   だから『ごめんなさい』は欲しくない」

P「俺……不安だったんだよ……」

徐倫「言い訳?無駄な時間を過ごすのって嫌いなのよね」

P「頼む。聞いてくれ」

徐倫「嫌だと言ったら?」

P「構わず話す」

徐倫「プッ……。面白いジョークね。いいわ。街頭演説みたく話せばいい。
   聞くかどうかは私の自由よ」

P「ああ。それでいい…。
  でな、俺は不安だった。自分で言うのもなんだが、俺は765プロの今の状態に一役買っていると自負している。自惚れだとしても。
  だから、言うなれば慣れてきてたんだ。アイドルをプロデュースすることに。今回も例外じゃなく、今までの経験から何とかなると思ってた……。
  正直に話す。
  俺はロボットのようなルーチンワークで、徐倫と接していた。自分の中の経験則だけで、文字通り『仕事』を遂行してた……。」

徐倫「…………」

P「だからこそ。961プロの些細な行動に、俺は不安を覚えたんだ。
  経験則だけで機械的に動いていた俺にとって。
  君の過去が暴かれるんじゃないかってリスクとか、そんなイレギュラーな事態が起こりうる可能性が怖かったんだ。
  君はアメリカ人で、僕は日本人だ。文化の違いや感受性の違いが多々ある。
  そんな事にもそっぽを向いて、俺はただただ機械的だった」

徐倫「あっそ……」



211 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/22(火) 18:40:26.01 ID:4Lbig4aK0
P「だから。言い訳じゃなく、謝罪じゃなく。俺は正直に話す。
  今までの俺は、『君を信用してなかった』んだ……」

徐倫「自分で何を言ってるかわかってる?」

P「ああ、もちろん。でも、徐倫に隠し事は通用しないだろ?
 だから、なんと思われようが正直に話してる」

徐倫「で?何?
   でも今は信頼してるって言いたいワケ?都合良すぎじゃないかしら?」

P「ああ、都合が良いな。
  違う。俺が言いたいのはそうじゃない。
  徐倫。お前の口からもう一度、一言だけ言ってくれ。もう一度だけでいい。
  俺に信頼させてくれ」

徐倫「はぁ?」

P「上から目線にしか思えない発言だと思う。でも、俺は君を信頼できないんだ……」

徐倫「ぶっ飛んでる…アンタ。マジにヤバいんじゃないの?」

P「覚悟はあるんだ…。元々俺は、担当するアイドルのためなら血を吐く覚悟はある。
  それは徐倫。君にも伝わっていると思う」

徐倫「まあ…ね?アンタが一日でスケジュールを組んだ時には、その。グッと来たわ」

P「だから後1つ。後1つ必要なんだ。俺と徐倫が二人三脚で歩むためには。
  だから、お願いだ。一言だけ。『何があっても諦めない』と!」


 その瞬間。
徐倫は、何かに気付く。ハっと。すべての点を合わせるように。
徐倫は、飲み込む。



212 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/22(火) 18:40:52.94 ID:4Lbig4aK0
徐倫「私が刑務所に居た事…。バラされてもって言いたいのね?」

P「えぇ!何でそれを……」

徐倫「やっぱり……。こういうことでしょ?
アンタは961プロに『既に』脅されていたッ!
   私の素性で、隠すべき秘密を暴露するってね?
   だからアンタは、さっき雑誌の記事で不安を覚えた。いえ、隠しきれなかった」

P「……そう……だ」

徐倫「アンタに覚悟はあるし、私も覚悟がある。
   それでもアンタは躊躇った。私が、ソレをバラされて平気なのかって。
   私にとって嫌な事実だもの。それを公開するくらいなら私はアイドルを辞めるかもしれない」

P「ああ…だから……」

徐倫「だから信じたかった。いえ、知りたかった。
   このアイドルという生活と、平穏な日常。どっちが大事か。
   このままいけば、もしかしたら私はアイドルの舞台に立てないどころか。
   後ろ指を指されながらアメリカに帰国する可能性だってある……」

P「その通りだよ……徐倫。やっぱり君に隠し事は出来ないな」

徐倫「で?逆にアンタは?」

P「え?」

徐倫「さっきから聞いてれば、アンタそれでも人間?
   最初に怒ったのは私。アンタはそれに対する誠意を見せなくちゃいけない。
   名乗ってほしいなら自分からって言うように。信頼をさせたいならまず自分からじゃない?」

P「俺は……。もし君にその覚悟があるな」徐倫「ifなんていらない」

P「すまん……。えっと。
  俺は、お前をトップアイドルにするためなら。どんなに勝率が低くとも。
  自分の人生を賭けて戦う。
  それはルーチンワークでも変わらない。俺の信念だッ!」

徐倫「はあ…。なら、もう一度。セカンドチャンスよ。
   私はアンタについていく。例えもう一度ブタ箱に入ろうが、私はアンタに従う。
   アンタが言えば、私はビルからだって飛び降りる。
   絶対よ?分かってもらえるかしら?」

P「……本当にいいんだな?」

徐倫「ええ。だってその時は、アンタも一緒よ?
   元犯罪者予備軍を、日本に持ってきた、最悪のプロデューサーってね?
   いや、765プロ全体が傾いちゃうのかしら?」

P「それをさせないために俺が居る。迷惑をかけるのは、君と俺だけだ。
  だから、君には……」

徐倫「しつこい男は嫌われるわよ?
   いい?アンタを信頼するから。今度ビビったりしたら…。
   マジでぶっ飛んでもらうわよ?」

P「ああ!わかった!」

徐倫「はあ……。春香もなんでこんなイカレた男が好きなのよ……。
   いや、でも私の恋人もイカレて…ってアレ?私に恋人なんていたっけ?」


P「さあ、そうと決まればレッスンだ!よし!行くぞ!!」

徐倫「はぁ?今から?もう夜って…オイコラ!待てって!」


P(そうだな…。それくらいで負ける徐倫じゃない。
 すまない徐倫。そして、ありがとう!)


 2人は、全力疾走で事務所まで走った。



213 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/22(火) 18:41:21.42 ID:4Lbig4aK0
 ――夜。事務所前――

P「ヒィ…ハァ…ハァ……」

徐倫「いやいや。アンタが走り始めたのに、100mもしないうちに抜かされるって…。
   男としてどうなの?」

P「だって…ずっと徐倫を走って探してたんだ…。俺、結構限界なんだよ……」

徐倫「だからなんで走ったのよ。相変わらずぶっ飛んでんのねー」



春香「あ!帰って来た!」

 お出迎え…と言えるのだろうか。765プロのアイドル総出で事務所から出てきて徐倫に駆け寄った。


響「やめるのか!徐倫やめるのか!?」


徐倫「え?」


雪歩「駄目だよ徐倫さん!まだ私、飲んでほしいお茶もあるし。もっと一緒に頑張ろうよ!」

美希「ハニーは駄目駄目なところあるから。私達に言ってほしいの!
   セクハラとかされたんなら美希が叱ってあげるの!」

春香「折角一緒に頑張る仲間が増えたのに…。嫌だよ…うぇぇん」

貴音「貴方の踊りは素晴らしいとお聞きしました。
   このまま舞台に立たぬまま帰国されるのは、勿体ないと思います!」



徐倫「いや…え?」



真「徐倫のダンス、絶対凄いって!僕たち以外にもファンのみんなに見せてあげてよ!」

千早「空条さん。屋上で話した事覚えてますか?貴方の歌への思いはそれで終わるの?」

やよい「えぇっとぉ……なんて言えばいいのか…とにかく辞めちゃうなんて悲しいですぅ!」

徐倫「ちょっと!ストップストップ!」



214 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/10/22(火) 18:41:49.66 ID:4Lbig4aK0
徐倫「なんで私辞めることになってんの?
   いや、辞めないけど……?」

春香「え?」

・・・・・・・・・・・・・・?

春香「え?でも……」

雪歩「じゃあ、さっきのプロデューサーさんの電話は…?」


《P「春香…ハァ…ハァ…徐倫が………ハァ……
もし戻る……事……なったら……ハァ…そっとしてやってくれ……
後で……俺…ハァ……話す…!」
ガチャリ。ツーツー》


P「あ、いや。あれは、もし徐倫が事務所に戻ってたらひとまずそっとしてやってくれって。
  俺が戻って徐倫と話すからって言っただけなんだが……」

徐倫「私を走りながら探している最中に電話したってこと?」


春香「紛らわしい……」

P「その、えっと。なんだ?
あの……ごめんなさい」

春香「ごめんなさいじゃ済みませんよー!もー!
   皆慌てちゃってパニックになっちゃったんですからね!
   私なんか何故かケーキ買ってきちゃったし!費用で落として下さい!」

P「えっと……。ごめんなさい…………。え?何で?」

徐倫「アンタ本当に……。いや、なんでもないわ。
   さあ、明日からまた頑張るんでしょ?プロデューサー?」



小鳥「ホラホラ、夜に外で話してたら近所迷惑よ?
   春香ちゃんの買ったケーキ。食べましょ!」


響「春香のケーキうまそうだったぞー!あ、自分砂糖菓子欲しいぞー!」

貴音「あ、私のは大きめに切ってください!」

雪歩「行こう、徐倫さん。ケーキにあうお茶。淹れてあげる」

春香「うん!とってもおいしいケーキなんだよ!行こう!」

徐倫「分かったから…引っ張らないでってば……」


P「ふぅ……。でもまぁ、なんとか一安心だな。でも、本当にここからだな…。
  再出発だ!」


春香「あ、プロデューサーさんのは貴音さんに食べてもらいますからねっ!」


P「そんな……面妖な……はぁ……」






To Be continued →



218 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) :2013/10/26(土) 17:38:38.71 ID:v8EuY3Me0
アナスイならCD出たら真っ先に買うだろうな・・・


223 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/11/06(水) 00:55:34.62 ID:ERc2oWor0
第9話『ショッピングへ行こう』

――徐倫宅――

春香「と、いうわけで!行こうよ!」

徐倫「もしかして。状況が呑み込めてないの、私だけ?」

雪歩「そ…そうだよ。春香ちゃん…徐倫さん疲れてるのかもしれないし」

春香「でもでも。折角、徐倫もお休みなんだし!」



徐倫「で?わざわざ家まで迎えに来たと?」


真「ごめんね徐倫。春香が聞かなくてさ」

徐倫「まぁ、確かに今日は初めてお休みで。特に予定もないけど…」

春香「じゃあ!決まりだね!」

徐倫「いや、だから…。ちょっと待ってよ。とりあえず上がって。
   着替えとかしたいしさ」



 お昼過ぎ。突然の来訪が徐倫に迫った。
春香、雪歩、真の三人だった。

 3人は午前中で仕事が終わり、春香の言いだしで。徐倫と街へお出かけへ行こうということになったのだ。
その押しにやられたという感じで、徐倫は3人を部屋に入れた。



224 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/11/06(水) 00:56:01.78 ID:ERc2oWor0
春香「えへへ。お邪魔しまーす」

雪歩「えっと…ごめんね、徐倫さん…突然お邪魔しちゃって」

徐倫「まあ適当にくつろいでよ。そこらへんにあるもん眺めててー」


 春香達は、徐倫の部屋へと入る。
彼女の部屋には、壁にポスターが貼ってあったり、写真が貼ってあったり。
ぴかぴか光るイルミネーション的な何かといった、にぎやかな部屋であった。


春香「うわー。なんていうか、流石徐倫!アメリカンだね~」

徐倫「どういう意味よ?ってかそれ褒めてる?」

春香「褒めてる褒めてる!徐凛らしい部屋だなって思ったの…ってうわわぁ!」

真「ちょっとちょっと!ここで着替えるの!?」

徐倫「え?何?だって女だけだし?」

 徐倫は、部屋の隅に、干した後取り込むだけ取りこんだ。と言わんばかりに放り投げられている服を掴んで、その場で脱ぎ始めた。

 既に下着姿…いや、ブラはヌーブラなので、既に下半身を1つ隠すのみ。


雪歩「えっと…。流石に人の前で脱ぐのは……
   日本じゃあまり普通じゃないかもだよ……、あ!違うよ!
   別に徐倫さんの国を馬鹿にしてるわけじゃ……ごめんなさい!」

徐倫「はいはい雪歩。分かったから意味の分からない謝罪はやめて…。
   でも実際どうなの?春香、私の裸見て興奮すんの?」

春香「え!?わ……私?いや、えっと……とても素敵なボディラインだと思います……」

徐倫「いや、そういうんじゃなくて。まあ、いいや。
   どっちみちここまで見てんだから、後着るだけ。つまり関係ない。
   だからここで着る」

真「でも、やっぱり目のやり場に困るから、早くしてくれると…嬉しいかな……」



 徐倫はそのまま、首をかしげながら服を着た。



225 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/11/06(水) 00:56:42.72 ID:ERc2oWor0
徐倫「まあ、とりあえずコーラでも飲んでゆっくりしなよ。
   どこ行くとかも決めてないんだろうし」

 徐倫は、冷蔵庫からペットボトルのコーラを取りだし、マグカップに分ける。

春香「あ、どうもどうも」

徐倫「ふぅ。コッチ来てから、色んな意味で退屈しないわね。
   でも、丁度私もこのあたり散策したいと思ってたところ」

真「へへっ。じゃあ結果オーライだね!」

徐倫「で?適当に服でも見てみたいんだけど。
   やっぱアイドルっぽい服?とか来てきゃぴぴぴーんとかした方が良いんでしょ?」

真「いいねー。フリフリっとしてて可愛いヤツとか!」

徐倫「グーねグーよ!座りにくそうな花のコサージュあしらったスカート履いて~?」

真「すっごく可愛いよね~。なんかこう…女の子!って感じのヤツ!」


春香「いや……真もだし、徐倫もそういうの似合わないんじゃないかな……あははは」

雪歩「そうだよ!真ちゃんも徐倫さんも、今のままが素敵だよ!」

春香「ん?あ、でもでも。アイドルには服装必要かも」

雪歩「え?」

春香「ほら、アレですよアレ!私達みたいな……変装セット!」


徐倫「私にはまだ早くない?」

春香「ううん。自分たちでいうのもなんだけど。私達765プロは最近色んなお仕事貰うし。
   徐倫は目立つから早いってことはないと思うよ?むしろ今のうちっていうのかな?」

徐倫「なるほどねー。うん。いいわ、じゃあそうしましょう。とっても楽しそうじゃん」


真「そうと決まれば出発だね!行こう!」

春香「うん!しゅっぱつしんこ~!」


雪歩「あ、まってよ3人とも!あ、コーラ残ってた…。ゴクゴクゴク…ゲホッ!」

徐倫「うぉぉい!大丈夫!?」



226 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/11/06(水) 00:57:24.27 ID:ERc2oWor0
―街―

男1「ったくよォ~。これだから億安に任せるのは嫌だったんだよォ~!
   初めっから康一に任せとけばよォ!」

男2「うるせーダボがぁ!てめーだって『2人に任せるー』しか言わなかったじゃねぇか!
   康一だって今日のホテルとか探しててくれてっからよぉ、手伝おうと思ったんじゃねぇか!」

男3「まあまあ、2人とも。折角久しぶりに3人であえて、はるばる首都旅行に来たんだし。
   ここらへんだっていうのは分かってるんだし、歩けば見つかるよ。カフェくらい」

男1「まあ、そうだな。折角グレートな休日なんだ。喧嘩はやめにしようぜ!」

男2「なんか俺が悪いみたいで納得いかねーが。まあ確かに腹が減ったし……」

男3「それにしても、トニオさんの紹介してくれたおいしいフレンチカフェ…。
   実際どこなんだろう」


 中年……というのには早すぎるだろうか。20代後半あたりの男三人が、路上で言い合いをしていた。
1人は、頭にリーゼントを蓄えた男。そしてもう一人はサイドを刈り上げた男。
2人とも、言うなれば『ヤンキー』のような風貌だった。
そんな中、背が低く、高校生とも言い難い幼げな風貌の男が間に居る。

 彼らは東方仗助、虹村億泰、広瀬康一の3人だ。
それぞれ仕事につき、会う機会も少なくなった3人が、たまたま休みがあったので、街まで遊びに来ていたのだ。

 その最中、目的地を見失って路上で立ち往生しているというのが現状である。


仗助「わかんねーんならよォ!聞けば、はえーんじゃねーのか?
   ちょっと聞いて来るわ、康一、地図かしてくれ」

康一「あ、うん。はい……」




227 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/11/06(水) 00:57:58.74 ID:ERc2oWor0
 時は多少さかのぼり、徐倫たち。


徐倫「それにしても、改めてみると、確かに春香達、重装備なのね。
   帽子にメガネに……真はなんでマスク?」

真「だって、こうしないと帽子とかだけだと僕ってばれちゃうんだもん……」

春香「だってそれは真が普通に私服っぽいんだもん。変装してないよ」

徐倫「まあ変装するなら帽子はいいかもね」

春香「特に徐倫は、髪型が個性的だから結い方を変えるだけでも違うんじゃないかな?」

徐倫「あとサングラス?」

雪歩「そこはメガネじゃないんだ……」

真「あ、じゃああそこ行ってみようよ!」

 真が指差した先には、アクセサリーショップがあった。

春香「自分がみたいだけじゃないんですかー?」

真「違うよー!あーいうところの方が、いいメガネとかサングラスあるんだよ?」

徐倫「まあ、じゃあ行ってみようよ」


雪歩「あ~んも~……。だから待ってってばー!」


仗助「あの、ちょっとイイッすかァ~?」




228 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/11/06(水) 00:59:06.42 ID:ERc2oWor0
 3人が歩きだすのについていこうと、数メートル遅れる形で雪歩が駆け出す。
その瞬間を、雪歩の肩に手が乗り。話しかけられた。


仗助「アンタっすよアンタ。道を聞きたいんスけどねー?」


雪歩「………男の…人…怖い…男の人……」

仗助「え?」

雪歩「きゃぁあーーーー!」


真「雪歩!?」

徐倫「ッ!!」



 仗助達が居た場所と、徐倫たちが居た場所はたまたま近く。
仗助が道を聞こうとしたのは雪歩だった。

 しかし、男性にひどくおびえる雪歩に、更に仗助の風貌故、雪歩は尻もちをつく。
振り返った真と春香より先に。徐倫は体が動いていた。


仗助「え?アッレ~?俺が悪い感じ?マジ?
   いや、ゴメンナサイ。そんなビビんねーで欲しいんだけど」

雪歩「カタカタカタカタ……ウルウル」

徐倫「おいコラ、なにやってんの?」

仗助「あ?いやいや、お連れさんっすかァ?どーもこーも道聞こうと思ったらいきな」
徐倫「その髪型ぶっ飛んでるわね?いい年こいて、流行んないわよ?」
仗助「………あ?」

徐倫「うちの雪歩になにするつもりだったのよ?答えねーとブっとばすぞ?」

仗助「……つった?」



徐倫「はあ、聞こえる声で言えっつーの!いきなり雪歩泣かせやがって!
   ぶっ飛んでるのね!マジで!」
真「徐倫ストップ!」



仗助「なんつったかって言ってんだよ?」

康一「仗助クンヤバいよ!」
億泰「止めるぞ康一!」




徐倫「はぁ?」

仗助「俺の髪型の事ォ、今ァ!なんつったかっていってんだよォオオオオオオ!!!!」


プッツーーーーン!!




229 ◆EHGCl/.tFA [saga]:2013/11/06(水) 01:01:45.34 ID:ERc2oWor0
徐倫「はぁ?もう一度言ってやるわよ!ぶっ飛んだ髪って言ったのよ!」
真「ストップストップストップ!」


仗助「クレイジーダイヤモtttttt」
康一「ストップストップストップ!!『落ち着いて!』」


 徐倫の両腕を春香と真ががっしり掴んで引き留める。

 それと同時に、億泰と康一が仗助にタックルする形で止める。



康一「ごめんなさい!ご迷惑を!」
億泰「『落ち着け』仗助!『落ち着く』んだ!」

仗助「………ん?お前ら何やってんだ?」


康一「ふぅ……。露伴先生に内緒でお願いしといてよかった……」

《落チ着ケと言われタラ、プッツンしテいタ理由を忘れル》


真「徐倫!駄目だってこんな街中で喧嘩しちゃ!周りの目があるんだよ!」

春香「そうだよ!徐倫デビュー出来なくなっちゃうよ!?」

雪歩「ごめんなさい、私のせいで…」




康一「あ、あの。本当にごめんなさい。僕たちがご迷惑をおかけしちゃって」


雪歩「え?いえいえ……私が男の人が苦手なのがいけないんです……。
   ごめんなさいごめんなさい!」

康一「え?いやぁ、謝るのは僕たちの方だから……そんな逆に謝られちゃうと……」

仗助「俺らは別に何かしようと思ったんじゃねーんだ。
   こんな顔だからびっくりさせたかもしれねーけどよォ。ただちょっと道がききたかっただけなんスよ」


徐倫「はぁ?そうなの?それならそうと先に言ってよ。ビックリしちゃうじゃない」

真「え?あ、ここか。ここならあそこに見える信号の左に曲がったところですよ」

康一「あ、わざわざありがとうございます!ホラ、行こうよ2人とも。
   これ以上迷惑かけられないし!」

億泰「そ、そうだな。おい、行くぞ仗助!」

仗助「ん?」

億泰「おい、行くぞったら!」

徐倫「何よ、私の顔じろじろ見て。もしかして、惚れちゃったの?」

仗助「いや、改めて見ると、知り合いに良く似てんなーと思って。
   その人は男なんだけどよ……。それにしても似てんなー」

徐倫「誰によ」

仗助「もしかして、苗字が『空条』とかねぇよなァ?」

徐倫「いや、そのもしかしてがビンゴなんだけど。私、『空条』よ?」


仗助「!?!?」
康一「!?!?」
億泰「???」
春香「???」
真「???」
雪歩「???」


To Be continued→


233 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/11/06(水) 04:05:22.51 ID:0UWkLltiO
由花子アイドルデビューフラグか


234 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) [sage saga]:2013/11/06(水) 12:38:34.13 ID:GGxf16Yz0
康一くん達がアラサーだから当然由花子もアラサーなわけで、アイドルデビューにはちょっと…
つか、由花子は既に康一くんの嫁になってそうだw


235 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/11/06(水) 14:47:18.00 ID:OoHIdCljO
>アラサー
わからないわ


236 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/11/06(水) 21:52:23.54 ID:l47DVvUmo
最後、ジョジョ組とアイマス組で反応わかれてんのかと思ったら億泰分かってねぇwwwwwwww


237 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします (SSL) :2013/11/07(木) 23:09:56.44 ID:k+GFRzTl0
地味に露伴もひっでぇ指令書き込んでんのなwww











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